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プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

藤原真

2016-08-11 14:10:07 | 日記
1968年

ことしの夏まで大阪厚生年金病院で藤原のからだをみていた松原氏(現在は開業医)の話から聞こう。「腰の方はもう心配ないと思うが、社会人野球にいれば、トーナメント大会で三日連投などはザラだ。それよりもプロ野球にはいってちゃんと登板間隔をあけて使ってもらう方がいい。二十三歳といっても、高校時代は内野手だったので投手寿命はまだまだこれからだ」バッテリーにはすぐれた頭脳が絶対という持論をもつ松原氏は「藤原君のセンスと根性は抜群」とつけ加えた。兵庫県西脇市で鐘紡下請けの織物工場を営む一郎氏(37)の二男として、恵まれた環境の中で育ったが、野球人生に関するかぎり、ドラマ以上にドラマチックな道を歩んできた。三十九年、西脇高から慶大に入学したときは、無名の新人。態度が大きいと上級生にたたかれながらたくましく成長、四年になった昨年春、どん底の慶大を優勝に導いた。このシーズンの投球回数121イニングは六大学史上最高記録。四連戦になった法大との試合では、本当に足元をふらつかせながら、最後まで投げ抜いた。昨年ドラフト会議で一番クジを引いた南海がトップで指名したが、三日後に交渉をはじめようとしたときはもう鐘紡入社が決まっていた。直接説得に乗り出した鶴岡前監督の人柄は、藤原の心を動かしたが、鐘紡との約束が先だった。期待されてはいった鐘紡で三月の選抜大会はヒジ痛、六月の都市対抗予選はギックリ腰でフイにした。「藤原はもうダメらしい。南海はこわれものをつかまされずに得をした」とウワサされたのもこのころだ。だが「最後のチャンス」(藤原)の産業対抗野球で日石、日通などの強豪をなぎ倒して優勝。内容は投球回数39イニング、被安打21、防御率0.92。「やはり一級品」、(巨人・加藤スカウト)「ドラフト戦績異状ありです」(西鉄・渡辺スカウト)とスカウトたちをあわてさせた。ドラフト会議まであと五日という劇的なカムバックだった。優勝後のインタビューで「セ・リーグの球団に指名されたら考えてみたい」という藤原に対し、セ・リーグは大洋をのぞく五球団が獲得のかまえをみせている。田淵(法大)に的をしぼる巨人は別にして「慶大のエースとして神宮のヒーローになった実績は異行価値からもたいへんな魅力だ。球威はまだとりもどしていないが、ピッチングをよく知っており、即戦力になる。ほしい投手だ。(産経・宇高オーナー顧問)「完成された投手としては№1だ。スライダー、シュート、フォークボールなどを自分のものにしている。ウチも上位にあげる」(中日・田村スカウト)「10勝はいけそう。キャリアと度胸も十分だし、先発、リリーフの両方ともこなせるタイプ」(阪神・河西スカウト)「スピード不足を、コントロールでカバーした。このうえ球威を回復すればたいへんだ」(広島・木下スカウト)と、いずれも上位にランクしたようす。いまのところ藤原家に接触をもつ球団はないが、一郎氏は「事前交渉はできないのだから、気にしていません。私は明治生まれだから、ちゃんと筋を通してこられるのが一番弱い」といっており、むしろ「いまは鐘紡の人間だから、会社の了解をとるのが先決問題」(一郎氏)になってくる。この点について鐘紡・本庄監督は「本人から相談にくる前に、会社がどうこうしろということはしないが、藤原が産業対抗野球に野球生命をかけた気持はわかっている」と話している。慶大進学のときからめんどうを見てきた鐘紡の種田前監督(現在長野工場準備課長)も「優勝で義理がすんだという考え方には賛成できないが、本人がプロでやりたいというならいっしょに考える」と積極的な反対はしない意向だ。パ・リーグはどうか。ことし指名するためには本人の同意書を必要とする南海は「縁がなかったんでしょう。同意書はもらいません」(宮本常務)と手を引いた。近鉄、西鉄が候補リストの上位にあげているが、慶大時代に藤原をコーチした上野スカウトでさえ「パ・リーグが本人のハダに合わないことはたしかだ。交渉権をとっても獲得の見通しは五分五分」と弱気。昨年、南海の熱心な勧誘を断り通した意志の強さが敬遠されているようだ。1㍍79、75㌔、右投右打、慶大出、二十三歳。

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