クライド・ライト

1977年
「キミらはオレの顔見るたびに調子はどうかと聞くが、いったい開幕を何日だと思ってるんだい」巨人ナインは九州地区でのオープン戦。一足先に帰京、多摩川球場で単独練習を始めているライトの勇ましさは相変わらずだ。ところが口の方も達者だが、やる方もきちっとこなしているのだ。二軍首脳の方が「ことしはやる気だよ」（中村コーチ）と目を丸くするほど。この日の練習をのぞくと、午前十時半にぶらっとやって来て、勝手にランニング。このあと所捕手相手にブルペンで約120球。自慢のスクリューボールを織り交ぜ、カーブと多彩な球種を投げ分ける。「コントロールはもうちょっとだけど、球はなかなか走ってるし、去年よりいいみたいだ」と所のミットを通じての感触。これが終わると、また所と外野で50㍍のジョギング10本。ひと汗かくとクラブハウスへ上がってさっさと帰り支度。練習スケジュールいっさいを自由意思に任され、本人も気を良くして、まさに元大リーガーらしい調整ぶりというところ。