多分駄文のおじさん日記

我輩は駄文を書くおじさんである。旅、音楽、MLB、株式投資、etc., 日々想いつくままに思いを巡らすのである。

Ground Zero Part-6

2005-06-05 07:41:38 | New York
広い世界の中には「とんでもない奴」がいるもんだ。
「とんでもない奴」には、「とんでもない舞台」が良く似合う。
WTCは、その「とんでもない舞台」の代表格になっていた。

1970年代、完成したツインタワーは世界中の命知らずの格好の標的であったという。
数年の間に二棟のビルの間で綱渡りが行われ、パラシュートを使った飛び降りがあり、最後にはタワーへの登頂が試みられたという。

特に驚かされるのは、二棟間での綱渡りだ。
1974年4月、というから、我輩が丁度田舎から上京して大学生になった頃だが、フランス出身の当時24歳の青年が、或る夜、警備員の目を盗みツインタワーの間に綱を渡した。
これだけでも実に恐ろしい作業だが、彼は翌日早朝にその一本の綱の上を渡ったと言う。
朝の7時過ぎには、「とんでもない事件」に、タワーの下に人が集まり始めた。

聴衆は400メートル以上の頭上を歩く黒の衣装の青年を見上げたという。
どうもその青年は以前にもパリのノートルダム寺院の塔の間や、オーストラリア・シドニーのハーバーブリッジのタワー間の綱渡りもやっているお騒がせマンであった。
何と、WTCのツインタワーの間の110メートルを75分間に渡り7,8往復もしたという。
途中では彼は綱の上で飛び跳ねたり、寝転んだり、という離れ業も演じたらしい。
高所恐怖症ならずとも、考えただけでも身震いする行動であるが、世界は広く、「とんでもない事」を考え実行する人間が出現していたことに改めて驚く。
それだけ、このツインタワーは人のイマジネーションを刺激する威光ある存在でもあり、また注目の的でもあったのだろう。

この綱渡りや、「セミ男」と呼ばれるビルの壁面登頂ら(スパイダーマンの原型か?)、数々の冒険がこのツインタワーで行われた。
こうした離れ業はいつか伝説となり、人々の思い入れも増幅し、結果としてツインタワーに随分の人間味を与えることになったに違いない。
当初はただ馬鹿でかい単純無骨な建物、という散々な評価だったこのツインタワーもこのような伝説に彩られ、次第にエモーショナルな存在となり、大衆に受け入れられる力が備わってきた。

キングコングがその映画でWTCを襲うシーンがあったように記憶するが、日本で言えば、ゴジラが東京タワーを倒したようなものか。
やはり、数あるNYの摩天楼ビルの中でも、WTCのツインタワーの存在感は圧倒的なものであったようだ。

最新の画像もっと見る