森井教授のインターネット講座(神戸大学大学院工学研究科教授 森井昌克)

1996年から2009年3月まで朝日新聞に連載してました森井教授のインターネット講座のネット版(もどき)です。

著作権と音楽流通

2004年09月11日 15時37分52秒 | Weblog
iPodの流行も後押しして、音楽をCDを介さずに、ネットワークから直接DLする時代が近づいています。まったく異なるようですが、高速道路で使うETCとまったく同じ構図です。人手(高速チケット)を介して料金を払っていたのを、無線通信を使って、料金徴収をダイレクト(口座引き落とし等)に行うものです。現在の技術を使えば、いちいち人の手数を使わずに、経路や料金徴収を行うことができるのです。当初、なかなか普及しませんでしたが、通常の料金よりも一定の割引料金を適用することによって、利用が増えてきました。ETCのほうが高いコストを払わずにサービスでき、そのコストメリットを利用客に還元すれば、自然と増加するはずです。いずれ、駅で自動改札で、人間が張り付いている窓口を利用する人がほとんどいないように、ETCではなく、人が張り付いている料金所を利用する人は皆無になるでしょう。

CDも同じです。現在では、直接やり取りできるデジタルデータをわざわざ人手を介して、CDという、高速道路ではチケットや通行券に対応する箱に入れて、送っているのです。ここに大きなコストがかかっているわけです。このコストを削減し、コストメリットを利用者(音楽を楽しむ人)に与えれば、音楽配信は大いに広まることでしょう。

1曲200円という値段が高すぎるのです。これが20円になれば多くの人が利用するはずです。著作権に関してはDMR(デジタル著作権管理システム)がほぼ完成された領域にあり、CDなどよりもよっぽど著作権管理がしっかりできます。CDでは著作権管理ができないから、そのもれを上乗せしている部分もあるのでは、と考えたくなります。確かに早急な普及のデメリットはあります。第一は、現在の流通に関わる業界、業者が存在できなくなることでしょう。少なくとも現在と同じ形では存在できません。しかし、これは対応せざる得ないのです。

アメリカでは1曲約50円で売り出しており、好評を得て、利用客が激増しています。更に一歩、進めるための業界再編を求めたいものです。