ムーティ/シカゴ交響楽団「ベルリオーズ 幻想交響曲」

            


 秋になるとたまにはコンサートホールで音楽を聴きたいなあと公演予定を見てみます。今年のシーズンで行くのであれば、ムーティとシカゴ交響楽団の来日公演がいいなあなどとつらつら考えるのですが、踏み切れません。
 何故かというと公演日である来年1月中旬に気分がクラシック音楽モードかどうか自信がないからです。


 3年前、インバルと都響の新マーラーチクルス、1番から5番までの5公演セット券(横浜みなとみらいホール)をおそらく3万円くらいで購入したのですが、9月以降、音楽を聴きたい気分ではなく、結局、一度も行きませんでした。どれも名演だったようでディスク化もされています。しかも、4番のソプラノは大好きな森麻季で、今から考えると痛恨なのですが、当時の気分からはどうしようもありません。


 先日、山野楽器に立ち寄り、クラシックの新譜コーナーを眺めていると、ムーティ指揮シカゴ交響楽団のベルリオーズ「幻想交響曲」のディスクがありました。ムーティの幻想ってなんじゃそりゃと、その時はそのまま帰ったのですが、久しぶりに大好きなマエストロの演奏を聴いてみたくなり、調べると、このコンビでの「オテロ」、「ヴェルディ・レクイエム」も発売されていました。折角なので3組とも聴いてみることにしました。


 ムーティというと、2000年のミラノ・スカラ座との来日公演を観ました。その時の「リゴレット」と「運命の力」は私の僅かなクラシック音楽生鑑賞体験の中ではベストのものです。チケットは、確か5万9千円だったように覚えています。大変な金額ですが、当時独身最後の時期で自由に使えるお金があり、ムーティ指揮のヴェルディのオペラはミラノ現地でも入手困難と読んでいたので思い切りました。同時期にアバド指揮ベルリンフィルの「トリスタンとイゾルデ」もあり、こちらも思考停止してエイヤで買いました。
 すると、なんと広島への転勤。結局、3公演とも新幹線代、ホテル代が追加となり、1回あたり10万円×3回というとんでもないことになりました。常識的金銭感覚をオーバーした出費に、間違ったことをしているのではないかと漠然とした不安に襲われましたが、今となってはいい思い出です。余談でした。



 純音楽的なアプローチ、録音もよく弦がレガートで歌っているのが耳に心地よいです。ただ、あまりムーティらしくないというか特徴がないかなあと聴いていたところ、第4楽章、第5楽章ではムーティ節炸裂で、荒々しい追い込みが随所に聴かれて、これこれと満喫できました。




コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 「九州じゃん... ムーティ/シ... »