「シャルル・ミュンシュへのオマージュ」


 かなり前に確かタワーレコードで購入したセットだと思うのですが、先日、押入れのCDの塊を漁っていたところ見つけました。そもそもいつか聴こうと思って買ったものか、買った直後に関心が別のディスクに移ってしまいお蔵入りしたものか、いずれにしても聴いていなかった9枚組のセットです。

 輸入盤なのでこれらがどういうディスクなのかよく分からないのですが、常任指揮者をしていたボストン響、パリ管ではなく、フランス国立管弦楽団との演奏で、1962年から1967年の主にライブ演奏を集めてあるものです。このコンビで1966年に来日公演を行っているようで、5枚目のフォーレはその時のライブ演奏です。

1.ベートーヴェン「交響曲第7番」、「交響曲第4番」他
2.ベルリオーズ「幻想交響曲」他
3.ブラームス「交響曲第2番」、シューマン「交響曲第4番」
4.ドビュッシー「イベリア」、「ファンタジー」、「海」
5.フランク「交響曲」、フォーレ「ぺレアスとメリザンド」
6.オネゲル「交響曲第1番」、デュティユー「交響曲第2番」
7.オネゲル「交響曲第2番」、「交響曲第5番」他
8.ルーセル「交響曲第3番」「交響曲第4番」他
9.シベリウス「レジェンズ」

 ご多分にもれず私もミュンシュというとパリ管とのブラームス第1番、ベルリオーズ幻想の名演奏を思い浮かべます。ただ、手兵のオケではない企画モノなのであまり期待せずにベートーヴェンから聞き始めました。

 非常に濃厚な表現に驚かされます。ミュンシュはドイツ系のフランス人でフランスのエスプリとドイツの濃厚なロマンとを併せ持つとか評されますが、ここではフランスのエスプリをかき消すようなドイツ魂全開の演奏です。70歳を超えてここまで情熱的でテンポ、リズムを自在に変動させる演奏にはびっくりです。ミュンシュはスタジオ録音でも陰影の濃い表情付けなので、それにライブ特有の迫力と即興性も加わり、ドキドキするような演奏になっています。
 ただ、1966年の来日公演では、一部音楽が力任せすぎるという批判もあったと読みました。手兵ではないオケだからでしょうか確かにド迫力というより力みを感じる箇所もあり、成る程と思いました。

 これが1枚目、2枚目の印象で、残りはそんなに強烈な印象はないのですが水準の高い演奏で楽しめました。特に、オネゲル、ルーセルは初めて聴いた曲だと思うのですが、魅力的なメロディ、構成で新たな発見がありました。


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