羽海野チカ「3月のライオン 5」

            

 こちらも待望の「3月のライオン」最新刊です。今回は作者の前作「ハチミツとクローバー」風の若干甘ったるい内容が多めで少しどうかなあと思いながら読んでいたのですが途中から名人戦が始まり、バランスよい締まった展開になりました。最後は主人公の過去や懇意のひなちゃんへのイジメへの対応などメインテーマの片鱗、次回以降への含みも持たせて終わりました。結果としては満足の一冊です。



 さて、現実の将棋界。竜王戦は第五局まで進みました。渡辺竜王の3勝2敗。羽生名人のまさかの2連敗でスタート、今回も一気かと思いきや羽生名人の巻き返し2勝、逆王手かと思ったら今度は渡辺竜王勝利。戦前の予想とことごとく逆の展開になっています。

 横歩取り3局、矢倉1局、角交換腰掛銀1局となっています。横歩取りの急戦もハラハラ楽しいのですが、第2局の矢倉がよかったです。本格的にがっちり組み合ってのねじり合いは大一番という感じがします。個人的にはタイトル戦の中で一局は矢倉を見たいです。第五局から間隔も短くなってきます。最終的には第七局まで行くことを期待していますが、今回は予想が外れるので分かりません。


 順位戦ではB級1組に陥落した佐藤九段が8勝1敗と独走、あと1勝で復帰確定です。佐藤九段にはA級がふさわしいのでうれしいです。A級では応援していた谷川九段が5連勝とはなりませんでした。谷川九段、森内九段、渡辺竜王が並走でこの3人のうちの誰かでしょうか。応援する棋士はいるのですが、結局、その時一番強い、調子のいい棋士しか羽生名人と互角に戦えないので最後は推移を見守りたいと思います。まさに「3月のライオン」の最終戦まで目が離せません。


 NHK戦もベスト16で佳境に入ってきてこれからは実力者どおしの対戦が続きます。今日は郷田九段と豊島五段の対戦、ゴキゲン中飛車の急戦で先手郷田九段が79手で押し切りました。急戦は時間が余るので収録上感想戦が30分もありました。負けたのが若手とはいえテレビでこの長さは酷です。天国か地獄か、大変です。


 最近は第一線にいた藤井九段、深浦九段、木村八段、鈴木八段が苦戦、山崎七段、松尾七段、阿久津七段、橋本七段ら中堅が一進一退、広瀬王位誕生、豊島五段、糸谷五段などの若手が好調維持で下剋上です。


 女流では里見香奈が18歳で女流三冠となりました。男性プロも認める強さはあるのですがライバル不足が気になります。竹俣紅ちゃんという小学6年生が強くて話題になっています。女性初の奨励会からの四段(プロ)となることを期待したいです。

 スポーツであれば事実上の体格面の男優位を認めたうえで男の部と女の部とを分けています。一方でそれ以外のジャンルでは男女平等・公平ということで同じ土俵での競争があります。将棋は後者で整理していますが今は男女の実力差のかなりある競技です(女流段位は通称との整理で将棋連盟はプロと認めていません)。今後どうしていくのがいいのか。どうすればいいんでしょうか。





            



               





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