あめ~ば気まぐれ狂和国(Caprice Republicrazy of Amoeba)~Livin'LaVidaLoca

勤め人目夜勤科の生物・あめ~ばの目に見え心に思う事を微妙なやる気と常敬混交文で綴る雑記。
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だれかを守るためじゃなし

2014-12-16 21:55:05 | 日替わりchris亭・仮設店舗
「10月の間に報道された事件を一つ選び、それについて考えるところを述べよ」なる課題を出され、北大生のイスラム国渡航問題をテーマに選んだ私は、イスラム国へ渡航するだけで何故犯罪の嫌疑をかけられるかを考えるにあたり、日本人で「傭兵」として活動している人たちについて書かれた本を読んでみることにしました。そのつながりでこんな本にまで手を出したわけですが、ここまでくると単純な趣味です。歴史書籍レビュー、第百十二回です。


菊池良生『傭兵の二千年史』(講談社)

件の課題の「参考資料」として読んだ本の一つ、高部正樹『傭兵の誇り』(小学館)は、実際に傭兵として各地を転戦した著者ならではの意見・体験談がたくさん詰まった興味深い一冊ですが、その中には傭兵が正規兵に比べていかに立場が低いか、という話題が何度か出てきます。
今でこそそのように軽んじられている傭兵ですが、その長い歴史を紐解くと、その歴史の大半において、傭兵が軍隊の根幹であったことがわかります。

冒頭に登場する「世界で二番目に古い職業」というフレーズは傭兵を題材にしたとある小説からの引用のようですが、ともかく傭兵の歴史は古く、古代オリエントまでさかのぼります。そもそもこの時代、「国」はあっても「国軍」があった国は少なく、したがって多くの国は戦争をするならば金で兵士をかき集めるしかありませんでした。

その後時代は下り、権力は移り変わりますが、傭兵はずっと主力であり続けました。前述の『傭兵の誇り』には、「傭兵は儲からない」という記述もまた何度も出てきますが、これはいつの時代も同じことでした。なぜなら、概ねどこの国も「安く上がるから傭兵を集める」ものだからです。できる限り安く済ませるために傭兵に給料を出し渋る国も多く、いきおい傭兵の歴史には「略奪」がついて回ることとなります。

読むまで気がつかなかったのですが、著者は以前にレビューした『検閲帝国ハプスブルク』と同じでした。世界史をしっかり学んでいない私のような読者にもわかりやすく、かつ説得力のある記述はこちらにも共通しています。

課題からだいぶ遠くまで来たものですが、こういう脱線も読書の醍醐味かなと思いました。

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