あめ~ば気まぐれ狂和国(Caprice Republicrazy of Amoeba)~Livin'LaVidaLoca

勤め人目夜勤科の生物・あめ~ばの目に見え心に思う事を微妙なやる気と常敬混交文で綴る雑記。
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デマエジンソクラクガキムヨウ

2015-05-26 14:17:02 | 日替わりchris亭・仮設店舗
第九十七回で、中国史に関する本を取り上げることが少ない点について触れました。それからしばらく間が空いてしまいましたが、新書ならばわかりやすかろうと中国史の本を読んでみました。歴史書籍レビュー、第百十八回です。


冨谷至『四字熟語の中国史』(岩波書店)

「歴史書籍レビュー」という通し題は深く考えずつけたものですが、はからずも四字の熟語から始まります。この本の序文によれば、漢字が四文字並ぶことで視覚的にも聴覚的にも安定感や緊張感が生まれるとのことなので、題を考える際にもそういった効果が無意識に影響したかもしれません。
もとより「歴史書籍」というものは四字の熟語ではありますが、四字熟語辞典には載っていません。「歴史」と「書籍」をつなげた以上の意味をもたないので、わざわざ解説の必要がないからです。序文にはこうした「厳密な意味での四字熟語」とは何かについても触れつつ、それよりも広義での四字熟語も取り扱っています。

全体は四部構成で、次第に時代が下っていく形になっています。まずは『論語』を初めとする儒教の文献を取り上げ、儒教において君子の規範とされる伝説の名君たちから、孔子の時代に至るまでのエピソードを紹介。次に儒教と対立する様々な思想家たちの文章から生まれた四字熟語が登場。第三部では司馬遷の『史記』を軸に春秋戦国時代から前漢にかけての政治家や武将に目を向け、第四部では三国志の時代以降の四字熟語が取り上げられます。

やや難しい表現が散見されるものの基本的には読みやすくわかりやすい内容で、また「風林火山」や「親魏倭王」といった、日本に密接にかかわってくる熟語も登場するため読んでいて飽きることがありません。
『兵は詭道なり』の主人公である孫臏も取り上げられており、個人的には読む順番が逆ならよかったと思ったのでした。

「葦編三絶」するまで読むような類の本ではありませんが、「軽妙洒脱」な良い一冊でした。

この春から社会人となり、研修中は全く更新できていませんでした。申し訳ありません。
ぼちぼち復活していきます。

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