あめ~ば気まぐれ狂和国(Caprice Republicrazy of Amoeba)~Livin'LaVidaLoca

勤め人目夜勤科の生物・あめ~ばの目に見え心に思う事を微妙なやる気と常敬混交文で綴る雑記。
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漢文featuring猫

2007-12-11 23:52:30 | 不本意ながら勉強の話題
学校の漢文の授業で問題演習をいくつかやったのですが、その中でなかんずく生徒の人気を博したのが次の文章。

司徒北平王家猫有生子同日者。其一死焉。有二子飲於死母。母且死、其鳴。其一方乳其子、若聞之。起而若聴之、走而若救之。銜其一、置于其棲。又往如之。反而乳之、若其子然。噫、亦異之大者也。夫猫人畜也。非性於仁義者也。其感於所蓄者乎哉。北平王牧人以康、伐罪以平、理陰陽、以得其宜。

(書下)
司徒北平王の家の猫に子を生むこと日を同じくする者有り。其の一死せんとす。二子有りて死せんとする母に飲む。母まさに死せんとし、其の鳴くことたり。其の一まさに其の子に乳するに、これを聞くがごとし。起きてこれを聴くがごとく、走りてこれを救わんとするがごとし。其の一を銜えて、其の棲に置く。又往きてかくのごとくす。反ってこれに乳すること、其の子のごとく然り。噫、亦異の大なる者なり。夫れ猫は人畜也。仁義を性とする者にあらざるなり。其れ蓄なう所の者に感じたるか。北平王人を牧するに康をもってし、罪を伐つに平をもってし、陰陽を理えて、もって其の宜しきを得たり。

(訳)
中唐の宰相馬燧の家で、同じ日に生まれた二匹の猫がいた。そのうちの一匹が死にそうになったが、その時その猫の子供が二匹死にそうな母猫から乳を飲んでいた。母猫は今にも死ぬという時に哀しげな声で鳴いたのだが、その時もう一匹の猫の方はまるでそれが聞こえたかのように起き上がり、その声に耳を傾けその猫を救おうとするかのように駆け出した。そして子猫の片方をくわえて自分の居場所に置き、もう一往復してもう片方の子猫も連れてきた。そして自分の子供にするかのように二匹の子猫に乳を与えたのだった。いやはや、獣のことながら実に感心である。そもそも猫というものは家畜なのであって、人としての仁義をわきまえるような類の生き物ではないのだが、飼い主に感化されたのだろうか。馬燧は安らかな心で人民を治め、公平に罪を裁き、陰陽の二つの気の均衡を、適正なものに保ったのである。



これが人気を博した理由として何よりもまず文章としてわかりやすいということがあるのですが、それともう一つ「姪猫を助けたけなげな猫が萌え萌えだから」というヲタクな生徒もいまして。

期末試験のとき、授業の演習でやった文章のうち二つが出題されるという話だったので、この文章が出ますようにと願った生徒が多く、問題用紙が配られたとき、透かして見てこの文章があるとわかるや「ぬこキター!」「ぬこーぬこー」という叫び声があちこちで起こり実に異様な雰囲気になったのでした。


やはり変人学校なのだということを実感した出来事だったことだなあ。(詠嘆風味)



(なお「猫」「聴」などを新字体に改めたことをお断りしておきます)

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