あめ~ば気まぐれ狂和国(Caprice Republicrazy of Amoeba)~Livin'LaVidaLoca

勤め人目夜勤科の生物・あめ~ばの目に見え心に思う事を微妙なやる気と常敬混交文で綴る雑記。
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使うは漢字カタカナひらがな 各々感じ方から違うな

2014-12-09 20:27:43 | 日替わりchris亭・仮設店舗
辞書に関する本とか、人名に関する本は数多く取り上げてきましたが、純粋に「言葉」が題材になっている本となると第七十七回くらいでしょうか。奇しくも同じゾロ目、歴史書籍レビュー第百十一回です。


今野真二『振仮名ふりがな歴史れきし』(集英社)

日本語は習得の難しい言語だと言われます。理由は数あるでしょうが、「文字が3種類ある」というハードルはその中でも主要な位置を占めるものと思われます。漢字、ひらがな、カタカナを適宜織り交ぜることで、日本語は多様な表現を可能にしており、またその多様な表現が日本語の難しさにもつながっています。「振仮名」も、3種類の文字を使い分ける日本語ならではの表現でしょう。

この本のテーマは、タイトル通り振仮名の歴史。まずは現代の振仮名を何例か紹介し、振仮名がどのような目的で使われる存在なのかをまとめています。小学生向け参考書からサザンオールスターズの歌詞、青年コミックまで、いろいろな引用元から振仮名の多面性が解説されており、歴史の話に入る前の部分だけでも楽しいです。

続いて本題の歴史に入るわけですが、その起源は平安時代、漢文で書かれた文章につけられた註釈が始まりでした。室町時代には本文の左右両側に振仮名をふってみたり、江戸時代には字体も適宜変えることで表現の幅を広げたりと、時代時代でそれに見合った変化をしながら、現代まで脈々と続いていきます。

著者の専門は国語学、特に明治期の日本語の変化のようで、あとがきでは既刊の『消された漱石 明治の日本語の探し方』のスピンオフであると位置づけが述べられています。そのため夏目漱石の小説の振仮名に多くページが割かれています。高校の授業で『こゝろ』を読んだ際、「不可いけない」「不可いけません」という振仮名表記に面食らった記憶があったので、特に興味深いところでした。
あまり「日本語の勉強」といった肩肘張った雰囲気はなく、気楽に読める一冊で、だからこそ最後に置かれた提言のようなもの(これも漱石についての話題でした)もすっと頭に入ってくる、そんな風に感じました。

ところで、魔法のiらんどのシステム変更によりとりあえず自ブログに掲載場所を移したことで、文字数制限がないとかリンクがつけられるとか、いろいろ機能向上があるのですが、振仮名をつけられるようになったのもその一つ。背表紙のタイトルにまで振仮名を入れている著者のこだわりを尊重し、レビューでもやってみました。上手く表示されているでしょうか?

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