あめ~ば気まぐれ狂和国(Caprice Republicrazy of Amoeba)~Livin'LaVidaLoca

勤め人目夜勤科の生物・あめ~ばの目に見え心に思う事を微妙なやる気と常敬混交文で綴る雑記。
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第7回アメーバ裏書籍大賞

2014-01-07 14:24:31 | 書籍大賞
一年間でつまらなかった本・微妙だった本10冊を選ぶ裏書籍大賞。無事7回目の開催にこぎつけました。
選考対象は第7回アメーバ書籍大賞と同じく、2012年12月28日~2013年12月25日までに読んだ本です。

それでは、興味のある方だけ、どうぞ。

「ジャガイモの世界史 歴史を動かした『貧者のパン』」/伊藤章治
世界の歴史にジャガイモが果たした役割を描き出すために精力的な取材が行われたということはわかる。わかるのだが、その取材に本全体が振り回されてしまったように見える。著者が直に聴いた体験が多く収められているが、それらをつなぐ記述が希薄で、コラム集のようになっている。著者がジャーナリスト畑の出身である弊害か。

「リトル・クラウド」/星野聖良
裏表紙の煽り文に書かれている設定だけで、ラストまでの展開が想像できてしまうタイプの小説。そういう作品でも文章で上手く盛り上げられればよいのだが、視点の一貫性をとろうという気が感じられないので読んでいてストレスがたまる。これは作者というより編集の仕事であるが、文芸社にはこういう前科が多い。

「前門の巫女さん(勝ち気)、後門の守護霊さま(役立たず)」/清水文化
要素を並べてみると、普通の異能系主人公、テンプレなツンデレキャラクター、影が薄い割には邪魔というイメージだけはつくドジっ娘、特に変哲のないストーリー、盛り上がりのないバトルといったところで見どころがない。会話がぎこちないせいで「プラス0」も「マイナス」に感じられてしまうのがなおよくない。

「オルガンの文化史」/赤井励
著者が、既存の音楽史や、評論家の風潮、音楽教育理論などのあり方に改革意識を持っており、それが原動力となってこの本を執筆せしめたのだろうということが大変よく伝わってくる。しかしそのことは前書きくらいで留めてほしかったもの、本文内に文明批評や既存音楽史批判が頻出すると読者はオルガンを見失ってしまう。

「『日本』人民共和国」/井沢元彦
ぶっ飛んだ設定と導入がある割には、あまり世界に広がりがなく、2時間ドラマのように小ぢんまりとしてしまっている。展開上あまり意味の感じられないお色気シーンが挿入されるあたりも2時間ドラマ的と言えようか。セリフ回しのせいか緊迫感が足りず、ヒロインのカミングアウトシーンも重大には思えなかった。

「万能鑑定士Qの事件簿VIII」/松岡圭祐
8巻まで読むくらいにはこのシリーズは好きなのだが、これはシリーズ最低品質と断言してよいのではないか。詐欺事件を追うミステリーだが被害者がいとも簡単に騙されすぎで呆気にとられる。本作の主な舞台は台湾であるが、表紙でヒロインにチャイナ服を着せるために書かれたのではと邪推したくなった。

「縄文の家殺人事件」/風野真知雄
この作者の捕物帳はよく読んでいるが、現代ものを読むのは初めて。シリーズの2巻目であるということが明示されていない造本がまず良くないが、楽しめなかったのは1巻を読んでいなかったからというわけでもない。会話文には時代ものにはなかった不自然さを覚えたし、本格ミステリ風の種も今一つであった。

「僕たちはドクターじゃない」/京本喬介
慢性的な医師不足に歯止めをかけるため少年医師を国家事業で育成する・・・という舞台設定もかすむほど、登場人物たちの理解も把握もできない行動と、これまた理解を拒むような細切れの場面転換が繰り返される。主人公の本名を明かさないのは続き物としての「引き」だろうが、それ以外にもわからないことが多すぎる。

「RAIL WARS! -日本國有鉄道公安隊-」/豊田巧
国鉄が武装するという設定を聞かされたら読まぬわけにはいかなかったが、得られたのは後悔であった。設定は練りこみが感じられずキャラクターも描きこみが足らず、ト書きがほぼ1文ごとに改行されているので見た目の厚み以上に内容は少ない。表紙イラストの構図は良いのだが、これでは撒き餌ではなかろうか。

「唐傘小風の幽霊事件帖」/高橋由太
江戸時代を舞台としたオカルトドタバタコメディ・・・になるはずだったもの。情けなさ極まる主人公に、悪口ばかり達者なヒロイン、鬱陶しさを競うこの2名を前に印象が薄くなる一方のサブキャラクター。特に動きのない短編も多くストーリーの印象まで薄くなっていて、鬱陶しい人が2人いたというイメージしか残らなかった。