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ORGANIC STONE

私達は地球を構成する生命を持った石に過ぎないのですから。

人生を変える旅:モーターサイクル・ダイアリース(2004)

2007-07-24 21:22:27 | 映画:ミニシアター系
Diarios de motocicleta(2004)

「セントラル・ステーション」のウォルター・サレス監督、ガエル・ガルシア・ベルナル主演の南米を舞台にした、実話に元づくロードムービー。まことに恥ずかしながら、何の話なのか誰が出ているのかも知らずに見た映画ですが、心に何時までも残る映画があるとすれば、この映画はその一本。

1950年代の南米。アルゼンチンの医学生エルネスト(ガエル・ガルシア・ベルナル)と生化学研究者のアルベルト(ロドリゴ・デ・ラ・セルナ)は、「世界を見る」ために、アルゼンチンからペルーまでの5000キロを一台のバイクで旅します。厳しい自然環境の中、バイクの故障あり、病気有りの過酷な状況を乗り越え、彼らは北上します。その旅は彼らの運命を変える旅。そして最終目的地ペルーのハンセン病患者コロニーで、彼らは彼らの旅の最後に相応しい沢山のことを学んだのでした。


↑ぼろ英国バイクNorton、よく見つけてきました。

喘息もちで発作に苦しみながらも、正義感が強く、聡明で繊細なエルネストと、陽気で短気で、女好きで口が達者なアルベルト。対照的な2人は喧嘩しながらもぼろ2輪で旅をします。途中でとうとうバイクはいかれてしまい、その後は徒歩&ヒッチハイクで旅を続けます。この映画は、アルベルトの書いた本を元にしているとのこと。口が達者でお調子者のアルベルトは、平気で嘘をついて食べ物や宿を確保しますが、憎めない性格。その陽気さが光となり、エルネストの「陰」を際立たせるのです。陰と言っても暗いのではなく、エルネストの繊細な感受性と深い知性、一般の貧しい人たちへの共感といった、その後の彼の行動を決定づける信念を感じる暗い情熱のようなもの。


↑マチュピチュで考えた。

ご存知の方も多いと思いますが、このエルネストは、若き日のキューバの英雄チェ・ゲバラです。チェ・ゲバラがアルゼンチン人だったのも医学生だったのも、金持ちの息子だったのも知りませんでした。実は私は最後のシーンまで、エルネストが誰かを知りませんでした。知っていて見ればまた印象は変わったのでしょうか?いや、あまり変わらなかったかも。この映画は極力政治思想を排除しています。エルネストが旅の途中でであった共産主義者の夫婦を筆頭に、いかに下層の人々が搾取されているかを身をもって感じ、自分は何をすべきかを見つけて行く様子は胸を打ちます。彼の目指す理念とは共産主義そのものではなく、苦しむ下層の人々を救いたい、その方法の一つとして選んだのがたまたま「共産主義」だっただけで、人間は平等であるべきである、出身や、政治理念、性別などで差別されるべきではないとのメッセージが伝わってくるのです。


↑最後はいかだ。凄い旅です。

母国語での演技のせいか、ガエルの際立って素晴らしいこと。目の演技が凄いです。遠くを見る目や考え事をする目の表情が。特に最後のパーティの演説、あの小柄な青年にどうしてこれほどの迫力があるのかって思いました・・この映画の素晴らしいのはそれだけではなく、映像も奇麗。時々差し込まれるモノクロのポートレートがまた素晴らしいです。一般の人々の何気ない表情は本当に素晴らしく、この映画を特別な「ロードムービー」にしています。音楽も素晴らしくて、特に最後の「El Otoro Lado Del Rio」。この曲を歌っているウルグアイのJorge Drexler、即CD買いましたもん。南米に行きたくなっちゃう一本!


↑映画のプレミアで。ガエル君どこにでもいそうな若者ですね?

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12 コメント

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Unknown (shit_head)
2007-07-25 10:39:26
お!

出ちゃいましたか!「モタサイ」!!

ガエル君とゆー素材の良さを活かしまくった爽やかな一本!!そんで、アルベルトが面白い!最後は感動!!たまらないですね!!

そうそう。チェですよ!チェ!!本名エルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナでしょ??実はボクのブログペットのエルネストは、彼から名前をもらったんです。無断で。(笑)

もーね、チェといえば、パンク!ってイメージが強いです。革命家!反政府!反体制!ってね。Ⅴフォー・ヴェンデッタ!!ってね。そんな感じ。

このバイクも良かったですよね。お別れの場面は涙で画面が見えなかったほどでした。ポデローサ2号ね。そうそう。英国製なんですよね。1号が確か自転車だったんですよ。

ボクも毎日ウダウダと生きてないで、さっさと旅に出ようかな!仕事辞めて、旅に出よ!!革命家になろ!!ptd様も誘いに行くよ!!ついでにdimさんも誘うかな。みんなで旅に出て、どっかの国を革命しにいこ!!仕事なんてしてられっか!!ねー?!
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だからエルネストだったのか~ (ptd)
2007-07-25 12:30:35
Shit_headさまこんにちは。

>ボクのブログペットのエルネストは、彼から名前をもらったんです
そうだったんだ!なんでラテン系の名前なのかなあ~って思ってましたが。私の某メール(アイルランドの革命家の名で登録してます)みたいなもんだ?ああいう強い信念を持ちたいですねえ・・・凡人には無理ですけど。

>チェといえば、パンク!ってイメージが強いです。
彼に関してはあまり知識がなかったので、「人民のための革命」をしようとしたひとなんだな~と、映画の後、BSでやってたゲバラ特集を見て知りました。だからあんなに尊敬されているんですね。

ガエル君、よかったですね!いい演技してました。見直しました。感動の一本!です。すばらしい!彼の最高傑作!(ってあまり彼の映画見てませんが)

>仕事辞めて、旅に出よ!!
この映画見ると旅に出たくなります!革命家になれるかどうかは分りませんが。旅に出るときは誘ってくださいよ!!
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ついで????? (dim)
2007-07-25 14:06:32
shitーーーーー!!!!!
われはついでかーーーー!!!

はっ!ワタシったらとりみだしてしまいましたわ、ほほほほほ。

ワタシの友達で、ゲバラに触発されて、アパルトヘイトをぶっ壊す!なんていって世界放浪していたいたヤツがいたけど、今は南アにはマンデラ氏がいるからね。
その友達は今はザンジバルにいるんだけど、現地では「革命児」として結構有名らしい。
ゲバラの死は無駄じゃなかったんだよね~彼の意思は脈々と受け継がれているんだから。
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うぎゃぁ!! (shit_head)
2007-07-25 23:14:46
うぎゃぁあ~~~~~~~~~!!!!

ヤバイです!!

shit失言です!!

dimさんのことが好きすぎるあまり、照れ隠しに「ついでに」とかって言っちゃった。

ホントは「できれば愛しのdimさんも」って書きたかったのに、できなかった。

恥ずかしいから。赤面しちゃうから。

ptdさまぁぁ~ホラ、ホラ、なんとかフォローしてください。フォロ~ォ~。(えーん)

つーか、ゲバラは永遠なりぃいいいいいいいい!!!(ヤケクソ)

ptd様!dimさんの気を静めて!!ここはptd様のオウチなんですから、後は頼みますよ!(責任転嫁)
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まあまあ・・・ (ptd)
2007-07-26 00:38:54
dimさまこんばんはん~

私はこの映画見て、ゲバラってこんな人だったんだ、と初めて興味を持ちましたよ。いやあいい映画でした。

>shitーーーーー!!!!!
>われはついでかーーーー!!!
まあまあ怒らんと。しかしなんでまた「ついでにdimさんも誘うかな。」なんて言っちゃったんでしょね!そこは「dimさんも是非是非是非誘いたいですぅ~」と言わなくてはいけなかったのですね!照れ隠しだったらしいので許して上げてくださいよう。

>その友達は今はザンジバルにいるんだけど、現地では「革命児」として結構有名らしい。
って凄いんじゃないですかそのお友達?本物の革命家ですね~その人は青年協力隊とかのなまっちょろい活動じゃ飽き足らない人だったんですね。自分の人生人のために捧げられるかって、なかなかできんとです。
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大丈夫ですって (ptd)
2007-07-26 00:46:02
Shit_headさま

>shit失言です!!
>dimさんのことが好きすぎるあまり、照れ隠しに「ついでに」とかって言っちゃった。
そうですよ、照れ隠しなんですよね!dimさんは優しいですから、怒ってもすぐ許してくださいますって。観音菩薩のような方。
思わず拝みたくなっちゃいますよ~。

>「できれば愛しのdimさんも」って書きたかったのに、できなかった。
愛の告白ならdimさんと面と向かって!dimさんのとこで堂々と告白コメントしてきてくださいね~
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Unknown (dim)
2007-07-26 01:42:11
shitちゃん、本当はついででも誘ってくれて嬉しかったdimです(って・・・だから人のとこに書くなって?)。
愛の告白、いつでも受けます(笑)。

ゲバラ・・・ワタシはザンジバルにいる友人に「ゲバラ伝」をプレゼントされたもんねえ。あとホーチミンの自伝とか。
今タンザニアの政府に目をつけられているみたいで、現地で柔道を教えている時は「暴動をおこすのでは?」と恐れられ軟禁生活を余儀なくされたこともあるとか。
まあ、でもゲバラほどのレベルの人はそうそういないでしょうね。カストロも結局あんなになっちゃったしねえ。
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だから~ (ptd)
2007-07-26 11:38:18
dimさまこんにちは。

だから愛の告白は本人にってば~(笑)

>ワタシはザンジバルにいる友人に「ゲバラ伝」をプレゼントされたもん
そんな本をプレゼントされたら、読まないといけませんねえ!読んだら人生観ちょっとは変わりますか・・・?私は友人から自分で書いた本をプレゼントされましたが、3ヶ月経った今でもまだ読んでません(涙)。難しいんですもん。

>カストロも結局あんなになっちゃったしねえ。
キューバってカストロ独裁政権のイメージが強くて。ゲバラはそうじゃなかったんですね。ゲバラが生きていたら、キューバも違う国になっていたのでしょうか・・・
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Unknown (nbm)
2007-07-26 14:50:45
手元にありながら、どういうわけかまだ観てないんです、この作品。
だから、こちらの記事も観た後に読みたくて読んでません(笑)
はやく観ろって話ですね。ハイ、すみません。
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早く見ましょ~ (ptd)
2007-07-26 17:57:35
nbmさまこんにちは。

見てませんか。この間BSハイビジョンでやったんですが、とってもいい映画でした。一般の人も出ていて、ドキュメンタリータッチでもあります。
内容は知っている人は知っている訳なのですが、私は全く知らなんだ。それはそれで最後でええぇ~っこの人そうだったのぉ?って驚いた(いい意味での)うれしいオマケがありました。

サンダンス系の映画がお好きなら、おすすめです・・・!
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