スズキ目サバ科に分類される大型の海水魚で重要な食用魚。学名は、Thunnus orientalis。日本近海など太平洋北部、大西洋暖海域など北半球に多く、南半球にはほとんどいない。分類上では大西洋産のタイセイヨウクロマグロと同種、または、亜種(タイヘイヨウクロマグロ)とする見解もある。寿命は20年以上にもなり、中には体重400キロを超えるくらいに成長するものもある。肉食魚でカツオやイワシ類、イカ類などをエサとする。
食用になるマグロ類はクロマグロのほか、ミナミマグロ、キハダマグロなど7種あるが、クロマグロがもっとも北方にまで回遊し、もっとも大型になる。魚介類として流通する場合にはホンマグロの名称も用いられる。このほか地方名としては、シビ、クロシビなどがあり、また、特に幼魚を指す地方名としてメジマグロ、ヨコカワなどもある。一本釣り、曳縄(トローリング)、延縄、巻き網、定置網などで漁獲される。用途は刺身、寿司種、焼き魚など幅広く、日本での消費がほとんどを占めている。
日本の輸入量が多くなったこともあり、近年は未成魚を中心に資源が衰退してきたため、日本は2010年より「中西部太平洋まぐろ類委員会」における国際合意に基づき漁獲制限を行うなど資源回復に取り組んできた。更に、2014年に国際自然保護連合(IUCN)がレッドリストでクロマグロを絶滅危惧種?類としたこともあり、2015年からは30キロ未満の小型魚の漁獲量を、2002年から2004年までの年平均漁獲実績の半減とする措置を講じている。
なお、飼育の難しさから完全養殖は不可能と考えられていたが、2002年、近畿大学が卵からの完全養殖に成功、2012年からは商業化が開始された。