いきがかり上いたしかたなく・ぶろぐ

寄る年波には勝てないし難しいことは出来ないし、行き掛かり上致し方なくブログに頼ります。

114.「幸せの翼」 ジミー作 宝迫典子訳

2006-03-21 23:36:49 | 絵本
幸せの翼

小学館

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前に読んだ同じ作家さんの『君といたとき、いないとき』より、こっちの方が好きだ。こっちの方がより暗い内容なのだが、でも考えてみたら私の好きな暗さというのはエドワード・ゴーリーのような暗さなわけで、それはもっと救いようがない。

エドワード・ゴーリーの『不幸なこども』なんて、これでもかこれでもかという感じで不幸が押し寄せてきて、最悪の状態のまんま終わってしまうのだよなあ。

この絵本は何不自由なく暮らしてきた1人の男の背中に小さな羽が生えてきたことから始まる。羽はどんどん大きくなり彼には制御できなくなり、やがて彼はどんどん追い詰められていく。

このお話はどうも彼のお抱え運転手だった人が、彼について語っているような形になっているみたいなのだが、最後の「がんばって。あなたはあなたらしく」というのが、なんとも安易な言葉のように思えてしまう。翻訳のせいなのかなあ。

まあ「がんばって」という言葉自体があまり好きではないせいもあるのだろうが。こんなにがんばっているのにもっとがんばれと言うのかいという気がしてしまうのだ。他の言葉を持ってくるとすると何がいいのか、今はよくわからないのだが(なら言うなよ、と言われそうだな)、もっと深い余韻の残る言葉がほしかったなあと思う。最後の一番大事なところでがっかりしてしまったのだよ、私は。惜しいよ。

絵は『君といたとき、いないとき』より、こっちの方が好き。

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