いきがかり上いたしかたなく・ぶろぐ

寄る年波には勝てないし難しいことは出来ないし、行き掛かり上致し方なくブログに頼ります。

時々

2022-06-21 10:34:00 | 超短編
時々夢に出てくる人がいる。私は昔の同級生だと思うのだが確かではない。その人は何も喋らず顔もぼんやりとしか見えないからだ。夕べも夢を見た。その人は白いミニのワンピースの女性と連れ立って歩いて行く。遠ざかる瞬間その人が振り返る。顔はよく見えない。声だけが聞こえた。「違うよ」 . . . 本文を読む
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手帳

2022-06-21 07:53:00 | 超短編
 手帳を拾った。それは玄関の門柱の脇に落ちていた。私の物ではない。夫の落とし物かもしれない。拾ってエプロンのポケットに入れた。簡単な昼食をすませポケットに入れた手帳を出す。パラパラとめくってみる。小さな字でびっしり何か書き込まれている。最後は庭掃除。すべて私の行動だった。 . . . 本文を読む
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積み木のように

2022-06-17 11:31:00 | 超短編
積み木のように並んだビルが地表を埋めている。展望台には古ぼけた望遠鏡が一つあり私は時々ここに来ては街を眺めている。丸い視界の中の道路をツタが覆い始めている。いつかはあのビル群も緑に飲み込まれてしまうのだろうか。私は顔を上げる。きょうも誰も見つけられなかった。街は静かだ。 . . . 本文を読む
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小さな光

2022-06-12 08:33:00 | 超短編
小さな光が明滅している。川の中州の茂みの中。橋の上に立って徐々に増えていくその光を眺めている。光は一つまた一つと空に向かう。まるで星のようだ。指先に光がとまる。小さなホタルの小さな光。川面から光が渦を巻いて立ち昇る。身体が渦に飲み込まれ舞い上がり光と共にはじけて消える。 . . . 本文を読む
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たくさんの蜂

2022-06-12 08:32:00 | 超短編
たくさんの蜂が周囲を飛び回っている。地面に巣を作る小さな蜂だ。草を引く手を止める。脚に黄色い花粉をつけた1匹が私の掌にとまる。たぶん私が座り込んでいるところに彼女の巣穴があるのだろう。舞い飛ぶ蜂たちの渦の真ん中に座り耳を澄ます。私の長靴がゆっくり地面に飲み込まれていく。 . . . 本文を読む
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その日

2022-06-05 09:56:00 | 超短編
その日はいつもより早く目が覚めた。起き上がると部屋が緑で埋め尽くされている。小さな丸い葉っぱ。細い茎が部屋の中を縦横無尽に這い回っている。テーブルの上に観葉植物の鉢が見えた。夕べ飲んだ帰りにどこかで買った気がする。ベッドが緑に覆われていく。たぶんきょうは会社には行けない。 . . . 本文を読む
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静寂の音

2022-06-05 09:55:00 | 超短編
静寂の音が聴こえる。そっと庭に出る。こんな街中でもよく晴れた夜なら星が見える。プレアデス星団もアンドロメダも。もちろんぼんやりとではあるのだけれど。目を閉じる。風の音がする。突っかけたサンダルが片足ずつ脱げて落ちていく。戻りたくない気がする。もうずっと、夜のままでいい。 . . . 本文を読む
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すきま風

2022-06-05 09:54:00 | 超短編
すきま風が吹いている。実家は古い木造住宅なので仕方がないのだが、台所の暖簾が吹き流しのようにはためいている。実家には今はもう誰も住んでいない。時々様子を見には行っている。自宅に戻るとリビングの暖簾がはためいていた。窓はしまっている。すきま風? ここは木造住宅でもないのに。 . . . 本文を読む
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知らない街

2022-06-05 09:53:00 | 超短編
知らない街に来てしまった。どうやら違うバスに乗ってしまったらしい。途中までは窓の外には見慣れた景色があった。そのまま眠ってしまったようだ。慌ててバスから降りたのはいいがここはどこだ。スマホを出し夫に電話する。「どちら様ですか?」電話に出た夫に似た声が言う。雨が降りだした。 . . . 本文を読む
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さて、そろそろ

2022-06-05 09:52:00 | 超短編
さて、そろそろ寝るか。私は枕もとにスマホを置いた。睡眠分析アプリを入れてみたのだ。このところ寝つきはいいのにどうにも疲れがとれない。このアプリには録音の機能もあるので何かわかるかもしれない。翌朝、さっそく録音された音を再生してみた。私が喋っていた。延々と。誰かに向かって。 . . . 本文を読む
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