いきがかり上いたしかたなく・ぶろぐ

寄る年波には勝てないし難しいことは出来ないし、行き掛かり上致し方なくブログに頼ります。

高層ビル

2008-08-11 12:07:57 | 超短編
 久しぶりに街に出た。知り合いから個展の案内が届いたのだ。このところずっと軽い引きこもりの状態だったので、人ごみの中にいると妙にオドオドしてしまう。駅前にはいつの間にかバベルの塔のような高層ビルが建っている。下からずっと見上げていくとそのまま後に倒れてしまいそうだ。と、白い何かが目にとまった。ビルのちょうど真ん中あたり。人だ。高い窓に腰かけている。両足を窓の外に投げ出して、白いワンピースのような洋 . . . 本文を読む
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カナヘビ

2008-08-07 11:44:51 | 超短編
 細長い小さな影がいくつも芝生の上を横切っていく。それは笑ってしまうくらいの結構なスピードで、まるで超低空を飛ぶ小人の国のドラゴンみたいだ。  うちの狭い庭には雑草のように伸び広がるミントやローズマリーや、宝石のような青い実をつける竜の髭の茂みがある。そこを住みかにしているのか以前からカナヘビはよく見かけたのだが、今年はずいぶん多い気がする。春先には小さな赤ん坊だったカナヘビたちももうすっかり若 . . . 本文を読む
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ネクロフィリア

2005-12-31 01:01:11 | 超短編
 ブルーマウンテンが嫌いなわけではない。ただスーパーの棚の前に立つと、その値段の差が気になって、ついモカやオリジナルブレンドの方に手が伸びてしまう。そのオリジナルブレンドで私が丁寧に入れたコーヒーのカップを手に、恭子が立っている。 「それで祐ちゃんはさ、ホントはどんな人が好きだったの?」    恭子はこういう話が好きだ。 「ホントはどんなものが欲しかったの?」 「ホントは何が食べたかったの?」 「 . . . 本文を読む
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流行っている

2005-02-21 01:02:16 | 超短編
 会社から出たところで足を止める。亀だ。  甲羅の長さ20センチ以上はありそうな緑がかった灰色の亀。そいつが電柱の陰からこちらを覗いている。近づくと、亀は亀とも思えぬ速さで逃げ出した。思わず後を追う。亀が向かっているのは、ちょうど私の家のある方角だ。  いくら速いといってもそこは亀なので、追いつくのは簡単なのだが、亀がどこへ行こうとしているのか知りたくて、亀の歩く速度に歩調を合わせる。家か . . . 本文を読む
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