シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

その43・皿川は改修で安全な川になるのか?

2023-09-23 02:00:22 | 日記

1、飯山市の説明では「皿川堤防は改修によって千曲川本堤防と同等になる」。

つまり「幅、高さともに同じになる」と。

従って「千曲川本堤防が決壊するような事が無ければ、皿川堤防も大丈夫だ」と説明しています。

そうしてまた「皿川はフルバック堤になる」と前の市長は言っていました。(注1

つまり「斑尾川の様に樋門構造がない川になるのだ」と言うことです。

そうなれば今度は台風19号の水害状況を検証した市民から「皿川樋門が開いていた」などと「市役所の秘密を暴くようなクレーム」を言われる事も無くなり、「監視員不要の川になる」と言うのです。

さてこれが前の市長と、そうしてまた飯山市の主張でもありましたが、それは本当の事でしょうか?

皿川は斑尾川の様に「安全な川になる」のでしょうか?

 

今やっている皿川堤防の改修状況、そうしてまた新聞報道などを併せ考えますと「皿川堤防は90センチ、かさ上げされる」という事になっています。(注2

そうしてまた「幅も堤防天端を車が2台、ぎりぎりですれ違えるくらいにはする」様です。(注3)

くわえて川の流れも変更され、今回問題になった皿川堤防とJR鉄橋の接続部分は確かに斑尾川に見るような構造、鉄橋本体を堤防で囲みこむ様な構造に本気で改修する計画の様です。(注4)

ただしフルバック堤で必要となるような樋門構造の撤去とそれに伴う千曲川本堤防の構造変更は今回は行われない模様です。(注5

つまり「今回の改修では皿川樋門は相変わらず残る」のです。

 

さてそれで次は堤防高さの件です。

堤防幅については、堤防側面の耐水化と天端部分の舗装によって相当に問題はなくなると思われます。(注6)

しかしながら堤防高さについては「長野県の計画の90センチかさ上げ」では千曲川本堤防の高さには到達しません。

皿川樋門部分での千曲川本堤防の実際の標高は319.5mです。(注7

その数字は次に示す地図のコピーでは標高部分の表示が長い余白を挟んでページの一番下に表示されています。: https://archive.md/zvevc :

同様にして右岸堤防の標高318.0mを地図から読み取ります。: https://archive.md/xrko3 :

 

さてそうであればその差分は1.5m。

0.9mのかさ上げでは実際は0.6m、改修後の皿川堤防の高さが足りないのです。

ちなみに皿川堤防と千曲川本堤防の接続部分を示しておきます。

https://archive.md/Vc9HS  ・・・皿川堤防と千曲川本堤防の接続部を見る。

 

さてそうであればこれは単純計算で分かる事ですが「千曲川本堤防を水が超える前に皿川では堤防を水が超える」のです。(注8)

つまり「今回の改修で皿川堤防の高さは千曲川本堤防の高さと同じになるので安全になる」という「市役所の説明は事実とは異なりウソである」という事になります。

そうして「その結果は」といいますれば市役所や前の市長が言った事は実現されず、つまりは「皿川堤防は改修が終わっても斑尾川の様にフルバック堤にはならず、相変わらず氾濫~決壊する危険な川のままであり続ける」という事なのです。

 

:足立前市長です。

:但し、有尾橋上流の改修された堤防を見る限りその部分では「高さは目視で60㎝ほど上げてお終い」の様に見えます。

ちなみに公称ではかさ上げ後の堤防の標高は318.9m程になる予定です。

注3:従来、有尾橋上流右岸堤防はほとんど「あぜ道程度のもの」でしたが、この部分の幅は大幅に変更されました。

https://archive.md/hMnzc  ・・・有尾橋上流右岸の工事現場をみる1

https://archive.md/eJEwB  ・・・有尾橋上流右岸の工事現場をみる2

しかしながら実際は台風19号襲来のおり、この部分の堤防は全く無傷でしたので、今回の堤防高さのアップは少しは有効でしょうが、堤防幅の大幅な増加は「見た目だけの安全効果」であって事実上は「幅を広げた効果はほとんど無い」ように見えます。

注4:・その30-3・斑尾川の例に倣う事になる皿川堤防かさ上げ :

JR鉄橋と堤防の接続部分の構造は斑尾川に倣う模様です。

:樋門構造を残して、ただ単に「樋門ゲートを下さない」と言うだけでは「フルバック堤にはならない」のです。

フルバック堤にするためには皿川樋門を撤去し、そこで堤防を切断して皿川と千曲川を直結しその部分に橋を掛けなくてはなりません。

そうしてこれは「国の仕事となる」のですが、国は「皿川樋門を撤去して皿川をフルバック堤にする」とは一言も言っていません。

注6:さすがにここまでやって天端を舗装しない、などという事はありえないとは思いますが、この件、まだ確認はできていません。

:これは電子地図の読みで地図のアドレスは「電子地図」でググれば出てきます。: https://maps.gsi.go.jp/#18/36.860284/138.369245/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1 :

それで十字クロスの位置の標高が常に画面左下に表示されます。

それを確認してみてください。

注8:このあたりの詳細な検討結果は: ・その40・「皿川堤防90センチかさ上げ」では皿川氾濫は防げない :にあります。

ただし「その40」の説明ではこれからここで説明する事になる「皿川樋門で発生するバックウオーター現象」を含んだ内容になっています。

それはつまり「より現実に即した検討になっている」という事です。

「そうしてその検討結果は」といいますれば「状況は単純計算よりも相当にひどいものになる」というものです。

 

追伸:2023/10月の飯山市報: https://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/kikakuzaisei/koho/r05.10/2-21.pdf :のトップページに今回の皿川堤防改修についての記述があります。

そこに「皿川堤防高さを千曲川計画高水位+1.5mにする」というイラストがあります。

これはつまり「実際は皿川の堤防は千曲川本堤防と実際は同じ高さにはならないが、それに近いものにはなる」と言い訳をしているのです。

細かく見ていきますと「千曲川本堤防の皿川地点での計画高水位は317.41mである」と長野県=北信建設事務所は公表している資料の中で言っています。

「そこに余裕高1.5mを足すと318.91mとなる。」と。

そうして「千曲川本堤防も計画高水位に余裕高1.5mを足した高さ以上で出来ている」と。

そうであれば少なくとも「現状皿川堤防の公称標高は318.0mだから90センチかさ上げで千曲川本堤防と計算上=計画上は同じ高さになる」と。

しかしながら「実際に同じ高さになるかどうかは知らない」と北信建設事務所は暗に言っているのです

そうであれば実際には上記で指摘したように「皿川ポイントでは千曲川堤防を水が超える前に皿川堤防を水が超える」のです。

 

加えてそのような「素人には分かりにくい、ごまかすような説明をする」飯山市のやり方は「市民に対して誠実な態度である」とはとても言えないものであります。

あるいはそれは前の市長が言っていた事、それはまた飯山市の公式見解でもあったはずですが、「皿川堤防と千曲川本堤防を同じ高さにして樋門は取り払ってフルバック堤にする」という宣言=約束と「現実に出来上がるもの違うものである」という申し開きでもあります。

ちなみにもう一つのせこいごまかしを指摘しておきましょう。

イラストでは千曲川の計画高水位と皿川の計画高水位が随分と違う様に描かれていますが、実際はほとんど同じです。

それを「さも千曲川の計画高水位が高いように描き、今度の堤防改修で皿川堤防は安全になった」と市民に思わせる、ミスリードするようなやり方は前の市長の得意とするところでしたが、江沢さん、あなたも又そのような「市民に対して不誠実な情報の出し方をする」のでしょうか?

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