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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
* 花の吉野山(032)
花冷えのする日であった。
曇っていて今にも雨が降り落ちて来そうだった。
そうだ。
こういう日に吉野山へ行けば、
人出は少ないに違いないと思った。
私は、短い脚を振り上げて、Sサヤカに跨がる。
吉野へゆくには、石舞台から抜ける山路の方が、
自然に親しめて楽しい。
芋峠越えの路である。
10km余り、約30分の山路は、
相変わらずくねっている。
途中数台の車とすれ違う。
冬のこの路では、車に会うことは皆無だ。
山のなかの自然にふれるとホッとする。
また、この路は曲がりくねっているので、
何度通っても気が抜けない。
わずか数10分の緊張と弛緩。
これがたまらない。
つづく