ぴてのひとりごと

法務や福岡ソフトバンクホークスの話題など、徒然なるままに書き込んでいるブログです。

正しい日本語?(その6)「削る」と「削除」

2006-02-03 22:23:34 | 正しい日本語?
 2月に入り、いよいよ株主総会へのカウントダウンが始まりました。そろそろ会社法施行に伴う定款変更の詰めの作業に入っている会社も多いのではないかと思います。もっとも会社法施行規則の公布が遅れており、しかも内容がパブリックコメントからだいぶ変更になるということで、施行規則公布後にもう一度施行規則を読み直してから最終的な読み合わせに入ることになります。

 さて、定款変更の作業をやる際に気をつけなければいけないのは、「削る」と「削除」の使い分けです。「削る」と「削除」はなにが違うのか疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、文書・株式の世界では一応使い分けられています。

 「削る」は条項そのものを丸ごとなくしてしまうこと、「削除」は本文はなくしてしまいますが条項そのものは残ることを言います。つまり、「削る」では後ろの条項の番号が繰り上がりますが、「削除」では条項の番号はそのままになるので、条文番号(第○○条)等を変更したくないときは「削除」を使います。
 刑法を見ると「第二○○条 (削除)」と書いてあり、条文の本文はなくなっていますが、第二○○条という条文番号だけが残っているため、後ろの条文の番号も繰り上がらずにそのままになります。

 法律では、一般によく知られている条文番号が変更されると混乱を招くので、それを変更しないために「削除」は使われます。しかし、会社の定款ではそんな必要はないので、ほとんどの場合「削る」を使います。

 本当に使い道のない豆知識でした。