続・エヌ氏の私設法学部社会学科

無理、矛盾、不条理、不公平、牽強付会、我田引水、頽廃、犯罪、戦争。
世間とは斯くも住み難き処なりや?

私の主張が・・・2

2006-03-19 | 社会学講座

 ノーベル平和賞受賞者が、「もったいない」を世界に広めている、と書いたが、テレビ番組「世界一受けたい授業」に、そのワンガリ・マータイ氏が出演し、「MOTTAINAI」を説いていらっしゃいました。やはり、私のブログ同様、資源保護、環境保護を訴えていらっしゃいました。

 道路交通法に引き続き、私のブログ「もったいない」で書いたことが、テレビで取り上げられているなんて、我が意を得たり、という気がします。

 なんだか、とても励みになります。


もったいない

2006-03-09 | 社会学講座
 大日本ドケチ教、というのがあって、もちろん本物の宗教ではないのですが、たしか大阪マルビルのオーナーさんが「教祖」だったと思います。
 そして唱えるお経が「もったいない、もったいない」で、いやはや、筋金入りです。

 教祖さんの逸話をいくつか聞きましたが、私の感じたところでは、教祖さんは節約家ではあっても、決してケチではないと思います。
 節約とケチの違いは説明するまでもありませんね。

 また、「もったいない」という精神は、日本人独特のものらしく、外国には「ムダ」という概念はあっても、その「ムダ」を惜しむ「もったいない」という概念までは至らず、この「もったいない」という日本語の意味を理解した外国人は、一様に感心します。ノーベル平和賞の受賞者までもが、「もったいない」にいたく感じ入り、「MOTTAINAI」を各国の講演で説いて回っているそうです。

 「もったいない」が、経済的な損失を防ぐための概念であることは言うまでもありませんが、そのほかに、資源保護、エネルギー保護などの意味を含んでいる点が、現代社会においては重要になってきます。
 広告の紙を捨ててしまうのはもったいないので、裏をメモ代わりにする、とか、誰もいない部屋の電気はこまめに消す、といった具合に、リサイクルや省エネルギーを奨励しているわけです。

 かつて、「消費は美徳」と言われた時代がありました。
 たしかに、消費することで経済が活性化し、発展するのは間違いないのですが、それは国全体(マクロ)の経済で、家庭(ミクロ)の経済においては、必ずしも消費が美徳ではありません。
 それどころか、家庭の、経済的な破綻をも招いてしまいます。また、国や地方自治体の経済においても、無駄な公共施設や公共事業にうつつを抜かした結果、わが国は借金大国になってしまいました。

 極論ですが、かの「教祖」さんを経済産業大臣に据えたほうが、はるかに日本再生の役に立ってくれることでしょう。

 教祖さんのエピソードをひとつ。
 ある作家との対談中、その作家が、マッチを擦ってタバコに火をつけました。
 作家が、何の気なしに、マッチが燃えて短くなっていくのを眺めていたところ、教祖さんは「早よう消さな、あかんがな」と。
 怪訝な顔をする作家に、教祖さんは、
「マッチの軸をとっておいたら、ツマヨウジにもなるし、台所の付け木にもなる。なぜ、無駄に燃やしはりますねん」
作家も、これには恐れ入ったそうです。

 見事なリサイクル、資源、エネルギー保護だと思いますが、これを見事と感じるか、みみっちいと感じるかが、「MOTTAINAI」精神の分かれ目でしょう。

アメリカ産牛肉

2006-02-21 | 社会学講座
 アメリカ産牛肉問題が喧しいので、私見を。
 先に断っておきますが、私は、唯我独尊的で横暴で、人命を統計で捉えて軽視するアメリカが嫌いなので、以下の文章に、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」感情が、多少入っていることを認めます。

 まず、牛海綿状脳症(Bovine Spongiform Encephalopathy以下BSE)の食肉が原因で、人にクロイツフェルト・ヤコブ病 (Creutzfeldt-Jakob disease以下CJD)が発現し、一旦発病すれば、悲惨な経過をたどった揚句100%死に至る、という認識に異論はございませんね。

 さて日本国内で、CJDが国産牛肉を原因として発生した例は、今までに一度もありません。ただ1例のBSE由来の日本人CJD患者は、イギリス滞在中に食べた牛肉が原因でした。ちなみに、ヒト硬膜移植によるCJD発生はありますが、これも外国製のヒト硬膜が原因でした。つまり日本の食品安全レベルは、この問題に関して少なくとも現在のところ、完璧を保っています。
 次にイギリスでは、日本より甘い基準で、ここ数年、平均して5例のCJD発生をみています。
 さらにアメリカでは、日本の感覚からすれば無いに等しい基準で、平均十数例発生しています。ただしアメリカは、CJDの確定診断をせず、ましてBSEが原因でCJDになったかどうかなどは検証しておらず、アルツハイマー病で死亡した人の中に、CJDとみられる例があるかも知れない、とまでしか、それも(後ほど述べる理由により)非公式にしか表現していません。
 ここまででも、どの国の対応が一番優れているか、どの国の対応が一番劣っているか、そして、人命を守るためにはどうすればいいか、明らかです。

 さて、日本は、アメリカ産牛肉を「買わない」とは一言も言っていません。「日本の基準に合致すれば買う」と言っているのです。ところが、日本の基準に合致させようとすれば、当然、費用がかさみ、アメリカ産牛肉の価格を押し上げてしまいますから、アメリカ産牛肉のセールスポイントである「低価格」が崩れてしまい、早い話が、アメリカの「商売」にならないので、アメリカは何とか全頭検査など厳しい検査を回避しようとしているのです。そこには、人の健康を守るという意識は微塵もありません。そんな余計な費用をかけるぐらいなら、アメリカ国内で年に十数人が死亡しているぐらいの確率で日本人が死んでもいいじゃないか、というふうにしか聞こえません。「交通事故に遭う確率より低い」発言に至っては、まともな人間の考えることではありません。

 もちろん、日本の基準に合致した牛肉を、どの国よりも安く提供してくれるなら、言うことはありません。(ただし、ウソやゴマカシ、検査ミスなどがない前提で)

 日本の検査が厳しすぎる?そうでしょうか?厳し「すぎる」かどうかは、明確には言えません。ただ、「じゃあ、ちょっと緩めて、死者が出るかどうか試してみよう」というわけにはいきません。しかし、アメリカの検査基準が科学的根拠に基づいているというなら、日本の基準も科学的根拠に基づいています。ただ違いは、適・不適の基準をどこに持ってくるか、という点です。その点の違いが、日・米・英の死者の違いに現れています。そうであれば、世界で唯一、CJDの完全排除を成し遂げた日本方式が「正解」です。

 では、BSE-CJD問題に限らず、アメリカの危険認識度が低いのでしょうか?決してそうではありません。アメリカには、食品医薬品局(Food and Drug Administration以下FDA)というのがあり、日本の厚生労働省とは比べ物にならないほど、素早く、的確に、そして徹底的に、問題に対処します。(この点、さすがアメリカと、私も尊敬しています)このFDAは、自国へ輸入する医薬品について、輸出国の生産現場に、それこそ「箸の上げ下ろしに至るまで」の細かい指示を与え、現場を査察し、改善を要求し、もし要求に応えられない場合は、当然、輸入しません。
 医薬品という特殊な商品であるにしても、なぜこれほど、神経質なまでに、要求をするのでしょうか。それは自国民の生命と健康を守るためです。しかし食品も、生命と健康に直接関わるという点では、医薬品と同等です。それどころか、誰でもが毎日口にする、という点では、医薬品よりはるかに重要です。
 では、なぜ日本へ輸出する食肉に、FDAが他国へ要求するのと同じように、厳しい検査を課さないのでしょうか。それは、アメリカにとって、守るべき自国民の生命と健康ではないからです。それよりも、アメリカが守るべきは、自国の利益です。他国民の生命より自国の利益を優先させた例は、アメリカには掃いて捨てるほどあります。

 さらにもうひとつ、アメリカ国内では、BSE問題そのものがマスコミなどでも取り上げられず、当然、国民の関心もありません。だから、日本の基準では危険な肉が、大手を振って流通し、その結果死者を出しているのです。これは、食肉業界の圧力によるものです。カウボーイの昔から、アメリカは牛肉の国ですから、食肉業界の発言力には非常に大きいものがあります。また、CJDが発病したとしても、いつ、どの牛肉を食べて感染したか証明するのが不可能に近いのをいいことに、BSE-CJDの因果関係さえも、認めたがりません。牛肉の安全性に疑問を投げかける発言をした人を、裁判に訴えて、巨額の損害賠償を請求したこともあります。そこにあるのは、自国民でさえ、利益のためには犠牲にしても構わないという、畜生にも劣る思想です。
 いわんや、パックスアメリカーナ(アメリカによる国際支配)の一部品に過ぎないジャップの命なんかより、アメリカの富のほうが大事なのは、言うまでもありません。

 さて、残念ながら獣医学の知識がないので、どうすればBSE感染牛の発生を防げるのか、私には、専門家ほど確たることは言えないかも知れません。しかし、食人習慣のあった民族にクールー病(後にCJDと判明)が多発し、同じように牛でも、骨粉飼料が異常プリオンを媒介していることには、どうやら異論がないようです。したがって、同じ輸入牛肉でも、骨粉飼料を使用していないオーストラリア、タスマニアの牛肉は、安全なようです。逆に言えば、骨粉飼料を使用している限り、BSE検査は欠かせないということでしょう。
 また、CJDが死病であるという点が、私たちの警戒心をさらに高めています。CJDはただの食中毒とはわけが違うのです。危険が具現化してから、「基準に問題はなかった」とか、「前例がなかった」などいくら言われても、慰めにさえなりません。さらに、予見不可能だったという理由で、誰も責任を負いません。であれば、危険の可能性をできるだけ排除しようとするのは、当然でしょう。

 いずれにせよ、アメリカ並みの対策ではアメリカ並みの死者が、イギリス並みの対策ではイギリス並みの死者が出ることは、火を見るより明らかです。