4/29日、牧伸二師匠が亡くなった。多摩川に身を投げて自殺したらしい。
ウクレレ漫談で一世を風靡したが、ミュージシャンとしても一流の人だった。
私も何度か演芸場で師匠の芸に接したが、リズム・音程ともに実にしっかりした演奏だった。使用している楽器は、上の写真でも見てとれるようにマーチンの年代物も多く、品質の優れたウクレレで音質も素晴らしいものだった。コード進行は基本的に標準的なハワイアンだが、コードが変わる時には繋ぐ音が入り、演奏が長くなる時にはマイナーに転調させて工夫されていた。歌詞は風刺のきいたものが多く、明治期の壮士演歌の流れを汲んでいたとも言える。
2002年に脳出血で倒れられてからは、やはり指の動きが悪くなっていたらしい。コードを押さえる時に、以前のGのハイポジションからローポジションに換えておられた。ハイポジションでのカッティングが出来なくなっておられるのかな、と思っていたのだが楽器を弾く者の一人として、そのくやしさの一端はわかる様な気もする。
上のCDは、ウシャコダの藤井康一氏がプロデュース・バッキングをして1999-2001年に録音されたもの。実力のあるミュージシャンが集まっており、音の完成度が高い。が、歌詞が軽く師匠持ち前の風刺がいまひとつ効いていないのが残念。
死後2週間が経ち、一部の週刊誌や新聞などで死者にムチ打つ様な記事が掲載され始めている。今となっては死の原因は誰にもわからない。ただ、ひとりのファンとして「おつかれさまでした」と言い、ご冥福を祈りたい。