10/2(月)千葉劇場にて。NHKなどでも紹介され話題になったためか、異例のロングラン上映になっている。わたしは、この事件に関しては、千葉県流山市にあった地方出版の崙書房から出ていた辻野 弥生著『福田村事件 : 関東大震災知られざる悲劇』(初版2013年7月)を読んでいたので概要は知っていた。
デマに翻弄される民衆を描いた労作。この作品、観終わって「重要な二つのポイントが描き切れていない」と感じた。一つは、登場する千葉県の農民も、香川県からの行商人達も、ほぼ標準語だったこと。100年前の震災当時、双方の当事者達は、ほとんど言葉が通じなかったと言われている。それが事件を生じさせる大きな一因だった、と指摘されており、そこを描けなければ作品として不完全と言わざるを得ない。なぜ時代考証を重視しなかったのか、せめて千葉出身の房総方言を知る俳優さんを使って欲しかった、残念だ。もう一点は、加害者側のその後の裁判や刑期が異常に簡単なもので短く、恩赦を理由にさらに短期間で出所したこと、そこを簡単な字幕で終わらせていたことだった。個人的には、この事こそが事件の最も重視すべき点と考えている。事件後の加害者、そして多くを語らなかった残された被害者のこと、そこに焦点を当てた作品にしてほしかった。
以下は、千葉劇場のホームページより転載。
『「A」「A2」「i 新聞記者ドキュメント」など、数々の社会派ドキュメンタリー作品を手がけてきた森達也が自身初の劇映画作品として、関東大震災直後の混乱の中で実際に起こった虐殺事件・福田村事件を題材にメガホンを取ったドラマ。1923年、澤田智一は教師をしていた日本統治下の京城(現・ソウル)を離れ、妻の静子とともに故郷の千葉県福田村に帰ってくる。澤田は日本軍が朝鮮で犯した虐殺事件の目撃者であったが、静子にもその事実を隠していた。その年の9月1日、関東地方を大地震が襲う。多くの人びとが大混乱となり、流言飛語が飛び交う9月6日、香川から関東へやってきた沼部新助率いる行商団15名は次の地に向かうために利根川の渡し場に向かう。沼部と渡し守の小さな口論に端を発した行き違いにより、興奮した村民の集団心理に火がつき、後に歴史に葬られる大虐殺が起こってしまう。澤田夫妻役を井浦新、田中麗奈が演じるほか、永山瑛太、東出昌大、柄本明らが顔をそろえる。(2023年製作/137分/PG12/日本/DCP)』
デマに翻弄される民衆を描いた労作。この作品、観終わって「重要な二つのポイントが描き切れていない」と感じた。一つは、登場する千葉県の農民も、香川県からの行商人達も、ほぼ標準語だったこと。100年前の震災当時、双方の当事者達は、ほとんど言葉が通じなかったと言われている。それが事件を生じさせる大きな一因だった、と指摘されており、そこを描けなければ作品として不完全と言わざるを得ない。なぜ時代考証を重視しなかったのか、せめて千葉出身の房総方言を知る俳優さんを使って欲しかった、残念だ。もう一点は、加害者側のその後の裁判や刑期が異常に簡単なもので短く、恩赦を理由にさらに短期間で出所したこと、そこを簡単な字幕で終わらせていたことだった。個人的には、この事こそが事件の最も重視すべき点と考えている。事件後の加害者、そして多くを語らなかった残された被害者のこと、そこに焦点を当てた作品にしてほしかった。
以下は、千葉劇場のホームページより転載。
『「A」「A2」「i 新聞記者ドキュメント」など、数々の社会派ドキュメンタリー作品を手がけてきた森達也が自身初の劇映画作品として、関東大震災直後の混乱の中で実際に起こった虐殺事件・福田村事件を題材にメガホンを取ったドラマ。1923年、澤田智一は教師をしていた日本統治下の京城(現・ソウル)を離れ、妻の静子とともに故郷の千葉県福田村に帰ってくる。澤田は日本軍が朝鮮で犯した虐殺事件の目撃者であったが、静子にもその事実を隠していた。その年の9月1日、関東地方を大地震が襲う。多くの人びとが大混乱となり、流言飛語が飛び交う9月6日、香川から関東へやってきた沼部新助率いる行商団15名は次の地に向かうために利根川の渡し場に向かう。沼部と渡し守の小さな口論に端を発した行き違いにより、興奮した村民の集団心理に火がつき、後に歴史に葬られる大虐殺が起こってしまう。澤田夫妻役を井浦新、田中麗奈が演じるほか、永山瑛太、東出昌大、柄本明らが顔をそろえる。(2023年製作/137分/PG12/日本/DCP)』