フラワーガーデン

ようやく再会したハルナとトオル。
2人の下す決断は?

親友

2005年11月18日 23時19分04秒 | 第8章 恋愛鼓動編
「後、何分ある?」
「・・・・・・」
「僕が死ぬまで後何分あるの?」
僕は銃の先にいるMr.アンダーソンを凝視した。

「5分だ・・・」
「OK。じゃ、一回しか教えられないからちゃんと聞いて。
まず、この布を緩めるには・・・」

僕は止血法をMr.アンダーソンに教え始めた。
「・・・おい!」
「・・・それで、必ず患部に近い部分を止血して。でないと・・・」
「おい!!!」
「黙って!5分で終わるから聞いてよ!」
僕はMr.アンダーソンを救いたい一心で必死で止血法を教えた。

「待てよ!オレはこれからお前を殺すんだぞ!!」
「うん」
僕は手を伸ばし銃口を自分の眉間に当てた。
「僕はあなたを救いたい。だから、黙って聞いて!」
それから、彼は黙って僕の説明を聞いた。

「約束の5分だ」
そう言うと、Mr.アンダーソンは銃を持つ手に力を込めた。



「残念だったな、トール・・・。
どうやらお前は3回も神様にそっぽを向かれたらしいな」
Mr.アンダーソンは、銃を持つ手を下に降ろすとその銃を僕に手渡した。
「神様はよっぽどお前をお側に召したくないんだなぁ」
そう言うとくつくつと笑った。


「3回って?!」
「今と、誘拐された時と、飛行機のトラブルの時だ」
「なんで、あなたが知っているの?」
「オレも、乗っていたのさ。あの飛行機に」
「あなたが?!」
「全く、相変わらず肝の据わったクソガキだぜ、お前は・・・」
Mr.アンダーソンは憎憎しげに僕を見ながら笑った。

「その銃はお前でも扱えるタイプのもんだ。それを持って逃げろ!」
「あなたは!?」
「ここで助けを待つよ。助けを連れてきてくれるか、トール」
僕は、黙って頷いた。

「あの辺にお前が1人やっと通れる位のダクトがある。そこから逃げるんだ。
そのダクトはそのまま裏の雑木林に続いている。・・・いいな、絶対捕まるんじゃないぞ」


僕は、唇をきゅっと噛むと、「分かったよ」と答えた。
そして、ずっと胸に抱いていた疑問を初めて彼に投げ掛けた。

「Mr.アンダーソン。どうして、僕を殺そうとしたの?」
「・・・お前は危険だからな。奴らはこの研究所の人間を皆殺しにするつもりだ。
だが、お前は違う。例外だ。奴らはお前を捕縛し、利用するつもりでいる・・・。
だから、オレはクライアントにお前が奴らの手に落ちるくらいだったら殺せと命令されていた・・・。
さぁ、もうこれで説明は終わりだ。行け!トール!!」
「僕が逃げたら、あなたは困るんじゃないの?」
僕は彼の身を按じた。

「お前が捕まったら、オレの職人としての評価が落ちる。無事逃げ果せたらお前と親友として再会できる。
それだけのことさ」
と、僕の頭を叩いた。

「さぁ!行け!!ミラクルボーイ!!」
彼は僕の背中をどんと押した。

僕は、銃を手に強く握り締めると、
「絶対!絶対!!助けに来るからね!!Mr.アンダーソン」
そう叫びながらダクトを目指した。

「ジョージだ!トール!!」
「え!?」
「これからはそう呼んでくれ!親友なんだろ?オレ達は・・・」
僕は彼のこの言葉が心底嬉しかった。


「うん!」
僕は大きく頷いて、「必ず助けるよ!ジョージ!待ってて!!」
そう言って、素早くダクトに身を投じた。


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