かずにぃは、車道を横切って、私たちの方へ走ってきた。
「ハルナ!大丈夫か?さっき、おばさんから連絡があって、丁度病院へ迎えに行くところだったんだ」
そして、かずにぃは、雨に濡れた髪をかきあげながら、
「車に乗れよ」
と、私の肩に手を回して連れて行こうとした。
その時、初めて私の隣りに立つトオル君に気付いたようだった。
「誰?」
と、トオル君はかずにぃを睨むと、私の手を掴んで自分の方へ引き戻した。
「トオル君!」
私は咄嗟にそう叫んでいた。
「トオル?!君がトオル君か?」
かずにぃは、意外だといわんばかりの反応をした。
「オレは、てっきり日本人だとばかり・・・」
「僕は日本人ですけど・・・。あなたこそ誰ですか?」
二人はお互いを訝しげに見合った。
かずにぃは私の方を一瞬見た後、
「初めまして。トオル君。オレは、片岡和人。こいつの・・・」
私は心臓をドキドキさせながら、かずにぃの言葉を聞いていた。
「ハルナの兄貴みたいなもんかな。兄妹みたいに育ったんで」
それを聞いたトオル君はほっとした様子で、
「そうだったんですか。すみません。失礼な態度を取ってしまって」
と、素直に謝っていた。
告白するタイミングを失ってほっとしたのは事実だ。
だけど、これ以上、トオル君に真実を告げないままでいることは苦しかった。
「とにかく、車に乗れよ。雨もひどくなって来たし」
そう言って、かずにぃは私の肩を抱いて車まで連れて行こうとした。
私は、そのかずにぃの手を払って、トオル君の前に進み出た。
心の中で、祈りながら・・・・・・。
(神様・・・。本当にいるのなら、私に勇気を下さい)
「違うの!トオル君、この人は・・・かずにぃはお兄ちゃんみたいな存在じゃないの。
私がずっと、好きだった人なの!」
「何、言ってんだよ!ハルナ!!
トオル君、違うから。
こいつ、今ちょっと情緒不安定なだけだから」
私は頭を振って、かずにぃの言葉を否定した。
(トオル君を永久に失ってしまうかもしれない恐怖に打つ勝つための勇気を・・・下さい)
「ごめんなさい。私、ずっと、気付かなくて。ううん。気付かない振りしてて・・・。
でも、気付いたの・・・」
「ごめんな。トオル君、とりあえず、こいつ、連れて帰るわ」
私の前に立ちはだかるかずにぃの背中を押して、私は続けた。
「気付いてしまったの・・・。かずにぃを、愛してるって・・・」
「ハルナ・・・。っかやろぉ・・・」
かずにぃはそれだけ言うと、顔を背け、もう何も言わなかった。
「・・・だから、私、抱かれ・・・たの・・・。昨日・・・かずにぃに・・・」
トオル君の目は一瞬宙をさ迷い、手で頭を抑え、口を抑え、乱れる気持ちを必死で食い止め様としているかのようだった。
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「ハルナ!大丈夫か?さっき、おばさんから連絡があって、丁度病院へ迎えに行くところだったんだ」
そして、かずにぃは、雨に濡れた髪をかきあげながら、
「車に乗れよ」
と、私の肩に手を回して連れて行こうとした。
その時、初めて私の隣りに立つトオル君に気付いたようだった。
「誰?」
と、トオル君はかずにぃを睨むと、私の手を掴んで自分の方へ引き戻した。
「トオル君!」
私は咄嗟にそう叫んでいた。
「トオル?!君がトオル君か?」
かずにぃは、意外だといわんばかりの反応をした。
「オレは、てっきり日本人だとばかり・・・」
「僕は日本人ですけど・・・。あなたこそ誰ですか?」
二人はお互いを訝しげに見合った。
かずにぃは私の方を一瞬見た後、
「初めまして。トオル君。オレは、片岡和人。こいつの・・・」
私は心臓をドキドキさせながら、かずにぃの言葉を聞いていた。
「ハルナの兄貴みたいなもんかな。兄妹みたいに育ったんで」
それを聞いたトオル君はほっとした様子で、
「そうだったんですか。すみません。失礼な態度を取ってしまって」
と、素直に謝っていた。
告白するタイミングを失ってほっとしたのは事実だ。
だけど、これ以上、トオル君に真実を告げないままでいることは苦しかった。
「とにかく、車に乗れよ。雨もひどくなって来たし」
そう言って、かずにぃは私の肩を抱いて車まで連れて行こうとした。
私は、そのかずにぃの手を払って、トオル君の前に進み出た。
心の中で、祈りながら・・・・・・。
(神様・・・。本当にいるのなら、私に勇気を下さい)
「違うの!トオル君、この人は・・・かずにぃはお兄ちゃんみたいな存在じゃないの。
私がずっと、好きだった人なの!」
「何、言ってんだよ!ハルナ!!
トオル君、違うから。
こいつ、今ちょっと情緒不安定なだけだから」
私は頭を振って、かずにぃの言葉を否定した。
(トオル君を永久に失ってしまうかもしれない恐怖に打つ勝つための勇気を・・・下さい)
「ごめんなさい。私、ずっと、気付かなくて。ううん。気付かない振りしてて・・・。
でも、気付いたの・・・」
「ごめんな。トオル君、とりあえず、こいつ、連れて帰るわ」
私の前に立ちはだかるかずにぃの背中を押して、私は続けた。
「気付いてしまったの・・・。かずにぃを、愛してるって・・・」
「ハルナ・・・。っかやろぉ・・・」
かずにぃはそれだけ言うと、顔を背け、もう何も言わなかった。
「・・・だから、私、抱かれ・・・たの・・・。昨日・・・かずにぃに・・・」
トオル君の目は一瞬宙をさ迷い、手で頭を抑え、口を抑え、乱れる気持ちを必死で食い止め様としているかのようだった。
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