昨日の夜は、なかなか寝付けなかった。
トオル君が隣りの部屋で眠っていると思うだけで、胸が締め付けられて眠れなかった。
明け方近くにようやくうとうとし始めた私が、朝起きると、トオル君の姿は既に見えなかった。
彼は何も言わずに去ってしまったんだ……
仕方が無いと、それだけのことを彼にしてしまったんだと、自分に言い聞かせようとしたけど、胸が痛み、涙が零れた。
私は朝食を辞退し、広い部屋で独り帰り支度を始めた。
きちんと畳んで置いてあったトオル君の浴衣の隣りに、自分の浴衣を並べて置いた。
宿を出ると、タクシーには乗らずに、駅までの道をゆっくりと歩いた。
既に開いているお店で、トモと、ママと、カズトに美味しそうなお土産を買った。
駅に着き、切符を出し、改札口を通った。
新幹線が滑るようにホームに入ってきた。
荷物を持ち、乗ろうとした瞬間、耳を疑った。
「ハルナーーーー!!!」
「……トオル…君……」
トオル君は、体を曲げ、肩でゼーゼー息をすると、「良かった……。間に合った」と笑った。
「宿に戻ったら、君はもう出たって聞いたから、焦ったよ」
トオル君は、ポケットに手を入れると、「これ……」と私に小さな包みを差し出した。
「何?」
私はその包みを手に取ると、開けようとした。
「新幹線の中で開けて」
彼は両手で、私の手を包むと、
「僕はもう少し、京都を散策してから帰るよ。1人で大丈夫?」
と、尋ねた。
頷く私の手を握り締めながら、彼は言葉を続けた。
「僕は来週アメリカに帰るよ」
「来週……?!」
そんな急に……そう言い掛けて、目を瞑った。
「君に会えて良かった。一緒に京都にまで来れて……」
でも、殆ど何も見れなかったね。
心の中で、彼に語り掛けた。
発車を告げるベルの音に、私は新幹線に乗った。
「元気な赤ちゃんを産んで!」
彼の優しい言葉に、私は精一杯頷いた。
「幸せに……幸せになるんだ!ハル……」
彼の言葉を遮るように扉は閉まった。
その瞬間、私の瞳から真実の想いが零れ落ちる……
トオル君は、突然目を見開き、動き始めた新幹線を追って駆け出した。
私は、扉に背を向け、号泣した。
トオル君……
たった一度でもいいから……
あなたに抱かれたかった
トオル君の腕の中で幸せな未来の夢を見てみたかった……
きつく結ばれた両手を開き、震える手でトオル君から貰った包みを開けた。
「安産祈願のお守り……」
これを買うために彼は今朝いなかったんだと、その彼の優しさが目にしみて、私は泣きながらその場に崩れ落ちてしまっていた。
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トオル君が隣りの部屋で眠っていると思うだけで、胸が締め付けられて眠れなかった。
明け方近くにようやくうとうとし始めた私が、朝起きると、トオル君の姿は既に見えなかった。
彼は何も言わずに去ってしまったんだ……
仕方が無いと、それだけのことを彼にしてしまったんだと、自分に言い聞かせようとしたけど、胸が痛み、涙が零れた。
私は朝食を辞退し、広い部屋で独り帰り支度を始めた。
きちんと畳んで置いてあったトオル君の浴衣の隣りに、自分の浴衣を並べて置いた。
宿を出ると、タクシーには乗らずに、駅までの道をゆっくりと歩いた。
既に開いているお店で、トモと、ママと、カズトに美味しそうなお土産を買った。
駅に着き、切符を出し、改札口を通った。
新幹線が滑るようにホームに入ってきた。
荷物を持ち、乗ろうとした瞬間、耳を疑った。
「ハルナーーーー!!!」
「……トオル…君……」
トオル君は、体を曲げ、肩でゼーゼー息をすると、「良かった……。間に合った」と笑った。
「宿に戻ったら、君はもう出たって聞いたから、焦ったよ」
トオル君は、ポケットに手を入れると、「これ……」と私に小さな包みを差し出した。
「何?」
私はその包みを手に取ると、開けようとした。
「新幹線の中で開けて」
彼は両手で、私の手を包むと、
「僕はもう少し、京都を散策してから帰るよ。1人で大丈夫?」
と、尋ねた。
頷く私の手を握り締めながら、彼は言葉を続けた。
「僕は来週アメリカに帰るよ」
「来週……?!」
そんな急に……そう言い掛けて、目を瞑った。
「君に会えて良かった。一緒に京都にまで来れて……」
でも、殆ど何も見れなかったね。
心の中で、彼に語り掛けた。
発車を告げるベルの音に、私は新幹線に乗った。
「元気な赤ちゃんを産んで!」
彼の優しい言葉に、私は精一杯頷いた。
「幸せに……幸せになるんだ!ハル……」
彼の言葉を遮るように扉は閉まった。
その瞬間、私の瞳から真実の想いが零れ落ちる……
トオル君は、突然目を見開き、動き始めた新幹線を追って駆け出した。
私は、扉に背を向け、号泣した。
トオル君……
たった一度でもいいから……
あなたに抱かれたかった
トオル君の腕の中で幸せな未来の夢を見てみたかった……
きつく結ばれた両手を開き、震える手でトオル君から貰った包みを開けた。
「安産祈願のお守り……」
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