新宿散歩 １

　映画が終わったのは四時少し過ぎ。
　雨上がりの良い天気だ。
　こんな日はエクレールでも食べて、
　お茶していこう、と言うのがマナーかも知れないのに。
　　「撮って行きたいでしょう」とカミサン。
　「一時間ちょっと撮ってきたいな。一人で帰る？」
　「まっすぐ行けば西武新宿駅だから」。
　　なんてことになりました。

＜エクレール・お菓子放浪記＞

　戦争、敗戦、誰もが生きることに背いっぱいだった時代に
社会の片隅で生きる人たちにはもっと風は冷たい。
生きることに、生きるために、理屈なんかない。
主人公が出合う人たちそれぞれに時代と格闘して生きる姿が描写されます。
　誰も頼らない、自分のことしか考えない誰も信じない。
しかし一方で思い切り信じられる人を求めている。
人の両面が描かれています。
　主人公を利用しようとした婆さんと少年が、思い切り裏切り喧嘩して別れたのに、
その後もお互いに心の隅で、忘れられないでいたことが分かるくだりは涙が出ます。