穏やかな1月５日 （１）

　昨年の大掃除直後から、気になっていることがあった。
窓ガラスに、一筆書きの拭き跡が残っていた。
拭き残しではなない。拭いた跡だ。
　窓ガラスだから太陽に透かせば完璧なガラス磨きなどあり得ない。
でも気になった。よく見ると大掃除から一週間、細かい塵も付いている。
　今磨けば本当にきれいになる。

　カミサンは二階で開け払って家の中の物をベランダや窓辺に出して掃除を始めた。
「掃除機かけてちょうだい」。
　掃除機仕事はすぐ終わり、やっぱり窓拭きがしたい。
「何始めるの？」。「気になってさ」。
　掃除嫌いの、片づけべたが、おかしなことをすると思ってるな。
　

穏やかな1月５日 （２）

　カミサンがどう思うかより、
５日に窓ガラス拭いてところを、通りがかりの人が見たら変に思うに違いない。
　でも私には妙な安堵感があった。
暮に追われている時にやるガラス拭きと、今とでは雲泥の差がある。
今のガラス拭きは別にやらなくても良いことだ。
　でも思いついてしまったのだ。人生思いつきが楽しいのだ。

　カミサンも、天気が良ければ「出かける」とせかせるばかりの私が、
ガラス拭きなんぞをやってるから、心穏やかに掃除をしている。
二階から「どうしてこんなに毛が落ちるのかね、頭に少し戻したら」。
　いらんことだ。

穏やかな1月５日 （３）

　外から、ザクロの枝越しに窓辺の鳥寄せを見る。　
植木鉢に粟やヒマワリの種を置く。
その横にミカン。１００金で買った水鉢。
スズメやシジュウカラの重さではひっくり返らない。
　水浴びする奴もいる。

　窓拭きが終わってコーヒータイムになった。
　お皿に輪切りにした半分のミカンが乗っている。
　「なんなの」と聞いたら、
　いたんだミカンの半分を切って鳥用に置いた残りだという。
　　納得。ミカンは甘かった。

穏やかな1月５日 （４）

　年末に買った、ミニ鉢植え。

穏やかな1月５日 （５）

　開け払った玄関からの明り。

穏やかな1月５日 （６）

　年賀状を一枚だけ、近くの郵便局に出しに行った。
　その帰り道。
　　今年は柿が木に残っているのが多いと聞いた。
　柿の渋がなかなか抜けないのではないかという。
　この木、二、三日前からムクドリが来るようになった。
　甘くなったのかな。

　お天気も心も穏やかな１月５日。