les 60 ans

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  (60歳を前にして 日々思うこと つれづれに:改題)
 小型AT二輪免許とその周辺の話

小型AT限定二輪免許の話 (007) 「教習第一段階 1時間目(3)

2022-07-12 23:38:51 | バイク

 「乗りたい,走りたいと思って乗らないと走ってくれないように出来ている」

                 (「スーパーカブ」:トネ・コーケン)

  バイクとはそのような乗り物なのだそうです.

  40年前の自分にはただのあこがれであり遠い場所にあったものが,いまこの手の中にあります.

  私は乗りたい.走らせてみたい.

  P指導員「ではまずまたがってください.足はつきますか?」  かろうじて両足が地面の届きます.あらためて前頭筆頭の重さを身にしみます.このマシンを相手にするのです.

  P指導員「ミラーを調節してください」 これは教本で見ていました.40年前の4輪の時と同じです.違うのは乗ったまま自分の手で触る必要があることです.

  P指導員「エンジンのキーをまわしてください」 キーをひねります.自動車と違ってこれだけではエンジンはかかりません.

  P指導員「スタートスイッチをおしてください」

 エンジンがかかりました.自分の乗っているシートの下から,エンジンの音が聞こえてきます.60歳前の耳の悪いジジイがヘルメットしていても聞こえてきます.

  P指導員「ではここを1周します あとをついてきてください わたしが曲がるところでおなじように曲がってください」

 指導員が走り始めます.右手のグリップを回し,足を地面から離します.

 

  スクーターが走り始めます.私が操作しているスクーターです.二輪免許が必要なマシンです.

 

  ただ,最初は「おおおおおお」という気持ちだけで指導員のあとを追うことしかできません.前をみるだけです.ただ自転車と同じ操作方法(両手がブレーキ)ということでなんとかなります.左まわりを一周してとまります.私のペアのひとが後から止まります.

  P指導員「では3周します」

 今度は運転している,操作しているということを実感しています.ただ曲がる位置はうまくいきません.かなり膨らんだり,急な曲がり方になります.

  P指導員「では,今度は外周を走ります.私の走るルートのを同じ場所を走って,同じ位置でブレーキをかけて,同じ位置で指示器を出して曲がってください」

 今度は車校内の道を走るのです.4輪の教習車と混じってです.普通車も中型車も,おそらくは2種免許教習生とも一緒の道です.ついていくのみです.

 車校の外周道路に出て走りはじめます.道路を走る,というのは40年4輪車に乗っていますので感覚はわかります.しかし「非常に速い速度で」「自分を守ってくれる車体もエアバッグもなく」「向かいから4輪車が走ってくる」という経験はありません.長い直線で速度計をみると針は(30km/h)をさしています.時速30キロがこんなに早く感じられるとは.しかし「自分が二輪車を操縦しているんだ」という高揚感がそれを楽しいものに感じさせています.

 2周ほど回ると,指導員が右ウインカーを出しています.同じ場所で左手のボタンを押します.実際に左手を見ないとできません.指導員が曲がる場所のセンターラインの場所(とぎれているところ)を同じように右に曲がります.

 すぐに指導員の左ウインカーです.いま右ウインカーを消していなかったことに気が付きます.そして左に入っていきます.二輪用のS字です.速度をおとして入っていきます.信じられないことですが,前頭筆頭をそのまま操って通り抜けることができました.ビギナーズラックです.しかし世の中は甘くありません.出口でおおきくふらついて外側に膨らんで曲がってしまい,4輪教習車の邪魔をしてしまいました.このあとも4輪教習車のかたがたにご迷惑をおかけするのです.

 このあとがクランクです.あらかじめ言います.私は最後までクランクが苦手でした.どうしても左手のブレーキ操作,というのに慣れなかったのです.はじめてのクランクは悲惨な状況です.多くのパイロンにぶつかり,路側に乗り上げ,やはり出口で転びそうになります.私のペアで後ろを走っている方の教習を大きく邪魔しています.前頭筆頭の実力に負けています.

 さらに坂道を一度登って,停止.坂道発進は勢いよく発進してしまいましたが,なんとかなったのでしょう.踏切も大丈夫です.

 今回は慣れるだけ,ということなのでよいようなのですが,この後どうなるのでしょう.

 最後に1回だけ一本橋(平均台)を乗ります.嘘です.後輪が乗りませんでした.落ちたまま地面を走り抜けて終了です.

 とにかく無我夢中の50分.還暦前に「こんなに楽しいことがあるなんて」ということを感じる50分でした.終了後にペアの方に,「大変ご迷惑をおかけしました」と深く頭を下げておわびします. そのかたも「大丈夫です」といってくださいました.

 ハンコをもらっています.指導員のかたに「二輪車の30キロがあんなに速く感じるなんでおどろきました」と感想を述べますと,「初めての教習で速度計をしっかり確認しているのはたいしたものでです」との言葉をいただきました.

 私はいま,ライダーの前座修行に入っているのです.



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