les 60 ans

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  (60歳を前にして 日々思うこと つれづれに:改題)
 小型AT二輪免許とその周辺の話

小型AT限定二輪免許の話 (021) 「第二段階 ケーススタディ02」

2022-07-31 20:34:44 | バイク

 

 いま私は前頭筆頭たるHONDAリード125に乗って,急制動の地点に向かってアクセルを握っています.両肩は緊張で上に上がっています.

 四輪車は現在の中型8tMTを40年運転しています.速度が60kmでも100kmでも運転しています.教習コースでは第一段階1時間目から指定速度30kmで走ることができています.しかしこの急制動コースでは速度があがりません.

 速度計を見ます.25km.もっと右手を回して30km さらに右手を握りしめます.視線は前方,速度計.前方,速度計を繰り返し移動していきます.速度計の針が10時近くのの方向:35kmを示しました.

 次は二本のパイロンの手前でエンジンブレーキです.右手をただ緩めるのではなく.前に戻す必要があります.この間本当に1-2秒.60歳近いのによく頭がまわります.これがなぜクランクではできないのでしょう.

 パイロンが手前前2車体分と思われる位置に視線が入ってきました.すくなくともそう感じていました.右手を戻す.直ちに両手でじわじわブレーキ.車体が止まります.パイロン通過時の速度など見ている余裕はありません.

 3本線の一番手前,すなわち本来の停止位置(8m)のやや手前で停止しています.

 しかし,間違っていることに自分も気づいています.ブレーキのタイミングが早いのです.

 指導員「ブレーキのタイミングが早いですようね.でもスピードやアクセルブレーキは完璧でしたよ」

  そうですね...ありがとうございます. でもできたのです.止まれたのです.

 指導員にうながされて右左を確認します.ふたたび松の木のほうに向かいます.もう一度急制動を行うのです.

 前回と同じです.同伴の教習生が急制動を終わったあとに,向こうの合図を待ちます.片手があがります.自分のわきの指導員の指示でスタートです.

 右左の確認.両肘を体に付けます.前頭筆頭に対するには両肘を締めて二本差されないようにしなければなりません.発進.視線は前方,速度計,前方,速度計の繰り返しです.

 32kmでもいいというのです.しかし60歳近い自分は「老化で目が悪い」のです.速度計の針がそんな中途半端な位置を示していることはかくにんできません.「30」と「40」の中間を針がさすことが見えるだけです.

 パイロン手前2車体の位置でアクセルをもどす.ほんとうにワンクッションおいて車体の先頭(前輪の先)がパイロンにかかったと思うところでじわじわブレーキ.

 ほぼ白線の手前で車体が止まっています.大きく息を吐きだします.いままで呼吸をしていなかったのではないでしょうか.

 指導員「パーフェクトです.お見事です.その感覚をわすれないでください」

   ...わすれるとおもいます. 還暦近いのです.「身体で覚える」ことは17歳の方の3.5倍かかるのです.

 しかし急制動において「じわじわ」というブレーキ操作で,8mで停止できるというのは驚きです.転倒しないでなおかつ規定に従う停止方法なのでしょう.

 

 この時点で教習時間の半分であることを安い腕時計が教えてくれます.

 後半は,このタイトルにある「ケーススタディ」というものを行うのです.後でわかったのは,これはシミュレータの3時間目のお稽古であることです.シミュレータに乗るための訓練を実車で行うのです.


小型AT限定二輪免許の話 (020) 「第二段階 ケーススタディ01」

2022-07-29 23:09:20 | バイク

 

 ヘルメット,手袋.中型8tMT限定免許を携えて2輪コースに入っていきます.

 日曜日の午前中.青い空と白い雲が私たちと車校をみおろしています.若い人が将来育っていくことをあらわす言葉が「青雲」.また若い方が将来自らの立身出世,目的の達成をめざすことを「青雲の志(こころざし)」といいます.私のまわりの教習生はそのような方々ばかりです.これから2輪免許を取得して,広がる大地を駆けまわるのです.

 一部にベテランの二輪車乗りが大型免許のために加わっています.それもまた自らの経験をもとに,制限のない世界へとその足を踏み入れているのです.

  私は?

  40年前の想い出にすがって,ここに立っているだけの「ノスタルジー・じじい」であるかもしれません.衰えた能力と限られた道具で.しかし上をむいて歩こう,いや走ろう.

  例え方がいちいち古いことで,周りの教習生と違うことがわかってしまいます.

 

 いつも通りの手足運動とストレッチからはじまります.そのあとで担当の指導員に名前を呼ばれてその場所に向かいます.今日は指導員2名と教習生2名です.免許証の確認,足が出ていないか確認.正しいヘルメットの装着.手袋をはめて前頭筆頭リード125に4人で向かいます.

 教習は1対1の二組で同じ行動をとります.第一段階と同じに,指導員の後をついて2輪コース内(波状路,スラローム,平均台(一本橋)をかこんだエリアを回ります.最初にスラロームです.これはみきわめ以外の時間すべてで行います.小型ATでも行います.

  指導員「@@@さん 肩肘をはらずに,わきを締めてください」 いったいいつ私の乗車姿勢をみているのでしょう.プロというのは違います.

 スラロームのあとが平均台です.わきを締めて,前方を向き,しっかりとシートにすわって乗っていきます.今日は後輪も乗れています.しかし途中で落下です.

 これを繰り返してから,松の木のほうに向かいます.前述のように松の木のわきに「急制動」のスタート位置があります.いよいよ新しいことを始めるのです.

 一人の指導員が急制動の説明をした後に,先にゴール地点へと向かいます.もう一人の指導員が教習生2人のわきに立って(二輪にまたがって),出発の合図をします.先に出るのがもう一人のほうです.加速をして,2本のパイロンの先で止まるのが見えます.

 指導員「では@@@さん.向こうが合図したらスタートしてください ブレーキは両手でじわじわーとかけてください」 パイロンのわきにもう一人の指導員が二輪車を降りて立っています.片手をあげた合図がでました.右手をひねってスタートです.

 この教習のことは教本,別途購入した「普通二輪免許パーフェクトBOOK」なる本で予習しています.小型二輪は30km/h以上の速度で2本のパイロンの間を通過し,その通過した直後にブレーキをかけて8m以内に停まるのです.第一段階の1時間目「あの距離はスクータではとまることができません」と言われた距離を止まらなければなりません.パイロンを通過するときに30km/hを出している状態を維持するためには,32-35km/hくらいの速度が必要です.

 右,左に首をふって後方確認.両手をハンドルに握りしめて発進です.速度計はなかなか上がりません.25km? もっと出さないと.30km.速度計の針はやっと35kmを示しました.2本のパイロンが近い視野に入ってきます.おそらく両肩は上に張った状態です.

 


小型AT限定二輪免許の話 (019) 「第二段階の教習の流れ」

2022-07-28 21:47:29 | バイク

 

 窮鼠(きゅうそ)猫を嚙む:追い詰められ,いよいよ命がないというたネズミは,自分の前にいる強く大きな猫に傷を負わせるほどの反抗を示すというものです.命の限りを知った弱いものは捨て身で相手に向かっていく,これは歴史上枚挙にいとまがありません.

 一方で「ニワトリも追いかけられて二尺跳び」という言葉もあります.これは昔の家の庭などで,犬か子どもなどに追いかけられて逃げています.普段飛ぶことができないニワトリも,自分の背丈よりも高く跳ぶことがあるのです.とにかくその場をにげるのです.

 わたしはどちらなのでしょうか.

 

 ここでわたくしのC校第二段階の教習予定時間を示します.これは入校時に「卒業までの一括予約」というオプションを別料金でつけたものです.

  日曜日:シミュレータ2,実車ケーススタディ

  火曜日:実車5 (この「5」ってなに?)

  金曜日:シミュレータ3, セットの学科

  土曜日:第二段階みきわめ

  日曜日:卒業検定予定日

 これがこの8日間に組まれています.かなり以前に書きましたように,ほぼ1日1時間(実車は必ず1時間)」です.年齢等への配慮であり,「コイツきっと再履修があるだろうから,時間に余裕を」という日程です.ありがたい配慮です.私は十分な時間を持て余しています.「入校から九か月で卒業」という規定は決して絵空事ではありません.

  最後の日曜日の「予定」という二文字が現実を見せてくれます.

  おなじように前に書きましたが,二輪車教習は「教習の順序」があります.車校の案内では

「AT小型二輪(短縮)」という私の教習順は

  第一段階 1.小A初回    2.小Aシ    3.小A1み  

  第二段階 1.小Aシ2    2.小Aケ    3.小A5   

       4.小Aシ     5.セット学科  6.小A2み

 です.再履修をしなければならない場合,次の予約日時のまえに同じ教習の空き時間を探し出して予約しなければなりません.これは第一段階でも一度経験しています.

 

 私は「炎の八日間」に足を踏み入れています.

 シミュレータが終わり本当の戦いの場に向かっていきます.前頭筆頭たるリード125と,私の往く手を阻む多くのパイロンが路面で待っています.プロテクターをつけ,手袋とヘルメットを持ち,教習原簿をわきに挟んで2輪教習コースに入ります.ズボンのポケットには身分証明書たる中型8tMT運転免許証が入っています.

 

 この季節には珍しい青空が私を見下ろしています.


小型AT限定二輪免許の話 (018) 「第二段階1時限目(02)」

2022-07-27 21:06:51 | バイク

 

 小型AT二輪教習 第二段階1時間目. シミュレータで街中を走ります.

 教習生3人のうちAT教習は自分ひとりなので,私が最後にのります.50分のあいだに3回乗ります.

 先の2人と同じように,指導員のかたの指示に従います.後ろを確認してまたがり.実際にはないミラーを右手で触るふりをします.また後ろを振り返ってからキーを回します.さらにもう一度振り返ってからエンジンスタートボタンを押します.

 すでに1分は経過しているでしょう.ほかの2人の教習生の貴重な時間を奪っている年寄りがここにい一人います.

 右手でアクセルを回して発進です.右の車線に合流して本線に入ります.

  ......入れません......

 右の車線を走ってきた乗用車に激突しました.前の大きなモニター画面が事故を起こした様子をそのまま示します.

 指導員の方はたいしたものです.しっかりと私が発進したタイミングで乗用車をそばに走らせているのです.何度も後ろを確認したのはなんだったのでしょうか.まさに若い教習生の時間を奪う老害です.「ねえ老害」と昔のことを私に聞いてくれたまえ.

 改めて本線上を走っていきます.信号の交差点,見通しの悪いT字,荷下ろしをしているトラックが道をふさいでいる場所,バスやタクシーのいる4車線市街地.私は40年四輪車を運転していますので,交通状況の判断はできます.しかし,2輪車の視点というのは初めてです.本来なら対向車が行き過ぎるのを待つ場面でも,間をすり抜けていく訓練が必要です.これは勉強になります.四輪を運転していて,2輪車の動き/気持ちを知ることができます.

 4車線の市街地の左側遠くに荷物をもった女性が立っています.先の信号のない交差点の右からタクシーが入ってこようとしています.四輪40年の経験では,まちがいなく右のタクシーはあの女性をお客とみて私の前に割り込んでくるはずです.スピードをゆるめます.

   ... 入ってきません.じっと待っています.ゆっくりとその交差点を通り過ぎると,まさに私の2輪の後ろにタクシーが入ってきて接近してきます.左車線を走っている私には後ろとの車間距離はありません.こちらの速度はゆっくりです.あわててアクセルを回します.

 こういう訓練,シミュレーションができるのですね.それぞれの教習生の経験に応じての場面がプログラムされているのでしょう.HONDAの技術に驚いています.

 このような場面を3回繰り返します.本当に勉強になります.

 時計を見るのも忘れて教習時間が終わろうとしています.指導員「質問などはありますか?」  

 前回同様,最初に話すのジジイです.「私はATなので,ほかのお二人のように曲がるときに体を倒すことはでいないのですが」

 指導員が立ち上がってマシンのわきに立ちます.「ハンドルはこれくらい曲がるんですよ」 指導員がマシンのハンドルを,90度は嘘ですが大きく曲げています.曲がるように出来ているのです.私に度胸/根性/体力がないので曲げることができなかっただけです.これは前回のシミュレータ教習で急カーブを曲がれなかった一因でもあるでしょう.

 今回も掃除道具のお世話にならずに,ハンコをもらいます.

 今日は続けて2時間目の実車教習があります.急いで2輪校舎へ移動です.


小型AT限定二輪免許の話 (017) 「第二段階1時限目(01)」

2022-07-26 21:03:49 | バイク

 

 お休みをはさんで,自動二輪AT限定免許取得のための車校教習のお話に戻ります.場所は駅から徒歩10分のC校です.

 「C」はこの車校の頭文字ではありません.通える距離にある3か所の車校を家から近い順に「A」「B」「c」としただけです.他意はありません.A校には入校を断られ,B校は小型AT教習を実施していません.したがってここではいれてくれた車校:ありがとうございます:をC校と呼んでいます.

 今日は日曜日.今日から第二段階に入ります.オプションの金額を余計に車校に払っているので,卒業までのすべての教習時間:これはストレートに行く,という前提です:と卒業検定の期日が予約されています.卒業検定の日は次の日曜日です.すなわち.今日から7日間ですべての教習を終えて,8日目に卒業検定を受けるひつようがあるのです.

 法規上は1日4時間の教習が可能です.しかし私の年齢では実車2時間以上はは無理である,ということをC校の方は理解しています.この1週間の間に実車3時間,シミュレータ2時間,学科1時間を分散している予約になっています.天気がいいので今日も歩いていきます.いつもどおり同じ車校に通う若い方々に追い抜かれていきます.

 今日はシミュレータ1時間と実車1時間がつながっています.最初はシミュレータです.いつもどおりの衣装で車校2階のシミュレータ室に,ほかの2人の若い教習生の方と行きます.

 大きなモニター,ゲームセンターのようなバイク,PCとモニター,そのわきには,やはり掃除道具があります.

 指導員「このシミュレータでは,実際の公道と同じような条件の走り方を経験していただきます」

 二輪教習は基本的に車校内だけで完結します.二輪の仮免許はありません.指導員が付いてきて一緒に普通の道を走ることはありません.疑問:こういう機械(シミュレータ)ができるまえはどういう教習をおこなっていたのでしょう? 答え:二輪の免許はいまよりずっと簡単にとれたのです.

 1970年代に現在の大型免許取得が厳しくなる前は,かなり楽に二輪車の免許がとれたようです.ただし今のように指導員の方々が親切丁寧に指導してくださることはありません.昭和時代です.いまならばナントカハラスメントに相当するスパルタ指導が当然だったようです.よく事故がおこらなかったものです.

 さて,前回のシミュレータと同じように,3人で順番にマシンにまたがります.前回同様ATは私一人ですので,順番は最後になります.

 最初の方,小柄な女性がマシンを操作します.前回は「3速40km/h」というような指定がありましたが,今回はそのまま走ります.左足は簡単にシフトを変えていきます.

 右の車線へ入っていく合流.市街地,やや郊外の風景などとつながっていきます.信号,一時停止,横断歩道,無理な右折車なども見えます.路肩に停まっているトラックが急に発進するなどの風景もあり,シミュレータとはいえ,かなり驚く内容になっています.

 2番目の方に交代です.同じように走っていきます.やや意地悪な設定(タクシーが割り込んできたり,止まっている路線バスがウインカーをつけて発進したりします)もみられます.

 いよいよ私の番です.前回同様,足のシフトをしまって,足をのせる台を引き出してからスタートです.