急制動の終了.はじめてこの車校で二輪車に乗ったコースのとおりに左カーブをして平均台(一本橋)へ.
検定員はすでにスタート/終了ののポールの位置に帰還.平均台に向かって走っていくのは私一人.
白線.
台(一本橋)に中央になるようにまっすぐにリード125を停止.意識しない大きな呼吸.
台の入口までの間の地面には,はっきりと見えるわだちの跡.台の出口のコンクリートはきれいなまま.
首を大きく右,左.
奥深く座りなおしたシート.両手を地面に水平に.視線は足元の仕切り線ではなく,平均台を降りたときに停止するパイロン.
右手3本+親指を手前に回して発進. 大丈夫. 後輪さえ乗れば高い成功率.
実はこのあとのことははっきりとは覚えていない.
後輪が平均台終端を降りた時に,耳の後ろで発進時より激しい脈拍の感覚と大きな呼吸をしていたことはおぼえている.
落ちなかった.
パイロンで一時停止.そのあと終了のポールへ.
左ウインカー.首を曲げて左側を確認.左側に車体を寄せる.両手じわじわブレーキ.ポール前で停止.
左右確認.キーを回してエンジン停止.もう一度左右を確認.両手でハンドルを握ったまま降車.
スタンド.ハンドルを左に向ける.もう一度右確認.
二輪車から離れる.
「はいおつかれさまです.ゼッケンを外して講習室に戻ってください」
一気に緊張がとけました.まだ脈拍が高い状態です.汗さえもかけず,また何かを飲む必要があることを忘れるほの口の中が乾いています.
季節外れの真夏のような青空,強い日差しと高い気温です.
ヘルメットをはずして二輪コースから出るべく歩くのですが,ふらついて歩けません.ヘルメットを片手にひっかけて両膝に両手をのせてかがみこみます.
そのまましばらく息を整えてから二輪校舎へゆっくり戻ります.私が最後の受験生です.一人でゼッケンやプロテクターをはずし,着替えて私物をロッカーから出します.
身体,特に足の震えを感じます.自販機で缶コーヒーを買って飲みますが,むせてしまって飲みきれません.
長い時間をかけて四輪校舎に向かいます.強い日差しと高い気温.息切れとふらつく足.これは助けを求める必要があります.
二輪の検定試験には,体調管理が必要です.その準備をしてきたつもりですが59歳の身にはそれが不十分だったようです.
四輪校舎の受付でヘルプを求めます.
「いま二輪の検定を受けてきたんですが,体調が悪くなって... どこか救護所はありますか?」