パパが付き合ってくれたのは、虎ホウ泉(漢字が出ません・・・)と、お茶屋さん。
虎ホウ泉は杭州三大名泉のひとつで、龍井茶はここの水で淹れると一番美味しいということになっている。 現在では水量が減っていて、水質も変わってきているのではないか?とウワサされているけれど、山の中のお寺のようなところに、ちろちろと流れる小川があって、遡って行くと源泉がある。 雰囲気がすごくいい。 ちょっといい運動、くらいの程よい距離と傾斜。
源泉を見て、水もの観光地にありがちな、「投げ入れると幸せになる」水溜りにコインを放った。 小川には小魚が泳いでいて、魚好きの私にはうれしいこと。
源泉のそばで、お茶を飲むことになった。
水質がどうとか言われてはいても、そこはお約束。
当然、龍井茶。
そこで、一行は改めて挨拶・・・でもないけれど、おみやげの交換会のようなことになった。 日本からのお菓子とお酒をパパに。 パパからは杭州の名産品をそれぞれ。 シルク製品や、その場に来られなかった私の父に、紹興酒「女児紅」など。
う~ん、母・叔母・友人母も、パパもありがとう。
日本から持ってくるの、重たかったよね。
パパは、ハナ子に内緒で用意するの、大変だったよね。
義鳥の結婚式がキャンセルになって以降、パパはハナ子による厳重な管理下に置かれていたという。
ハナ子は、私たちが代替の式を行うこと、かつ、パパだけが呼ばれることを警戒していたらしい。 パパのスケジュールを可能な限り把握し、仕事以外の単独での外出は一切禁止。
だからこの日も、授業の合間の数時間しかパパと行動を共にすることは出来ないということだった。
当然、おみやげを家に入れることは出来ないため、パパは私たちにくれた品物をすべてお店に取り置きしていて、当日取ってきたということだったし、日本からの品物もまた、職場に置いて、同僚と食べるということだった。
私はそのあたりを事前に夫から聞いていて、同僚経由でハナ子にバレるのではないかと心配していたのだけれど、
「俺も気になったんだけど、ハナ子、職場でも有名だから、わざわざ言う人いないって・・・」
・・・・・・。
「あそこんちの奥さん、おそろしいよね~」というような噂話をされることが、世間の夫たちの間でどの程度不名誉なことなのか、私は知らないが。 思うに結構ツラいのではないだろうか。
まあしょうがない。
とにかくパパは私たち皆と茶を飲んだ。
その席で、パパはおもむろに赤い袋を出して、私と夫にひとつづつ、くれた。
ホンバオだ。
つまり、ご祝儀のこと。
二人に一袋ではなく、二人に二袋。
中国人は奇数を嫌う。
私はすぐにひざをついて、「パパが私たちの家に遊びに来てくれたら、朝のお茶を差し上げます。」・・・と言った。 中国語で。 唐突だったせいか(だと思いたいなあ)、イマイチ通じなかったので、すぐ夫が言い直していたけど。
中国人は、伝統的には、「結婚式の朝、義両親にお茶を淹れる」という習慣があるというのを夫から聞いていたからだ。
結婚登録の日は、ハナ子も含めて、上海の同じホテルに泊まっていたんだけど、そのときは「そのうち結婚式あるいはお披露目パーティーをやるのだ」と思っていたらしく、特に何もしなかった。
それで結婚式はこんなことになっていたから、結局お茶をあげていなかった。
ご祝儀は、後で開けてみたら結構な高額であった。
結婚式以前に夫がパパから聞いたところによれば、「二人いる息子のそれぞれに結婚式費用を貯めていたけれど、
は金持ってるんだからやる必要は無いんだヨォォ!・・・と言われて没収されてしまいました」。 ご祝儀ってそういうもんじゃないと思うけど。 まあ、このご祝儀は、パパがハナ子に内緒で貯めたなけなしのお金だ。
ただでさえ、生活費教育費全額をパパひとりで支払った挙句、息子のための結婚費用も貯めて、更にハナ子実家にかなりの額を吸い上げられて、更にその残額まで日々虎視眈々と狙われているというのに。
そのご祝儀は、実際の金額以上に、パパにとっては大金であるに違いない。
長い年月かかって、岩清水を溜めるよに、しとしとと貯めたんだ。
涙ぐましい・・・
なんで私は、お金貰ってややウツな気持ちにならなきゃいけないのだろうか・・・そんなことも思ったが、とりあえずその場は和やかに、次のチェックポイントに向かった。
制限時間3時間ちょっとで、どこに行きたい? ってな条件のもと、虎ホウ泉のほかには「観光客が行かない、安くて質のいい茶葉のあるところ」とリクエストしておいた。
パパに案内されたその店は、思いのほか西湖のそばにあったけれど、確かに地元の人が日常の買い物に来るようなエリアで、日本語も英語もまったく通じなかった。品揃え的には見るからにきれいな龍井茶がたくさん。 烏龍茶や花茶はあまり品揃えが良くなく、その分、全体的にお買い得感に溢れていた。
龍井茶が大半を占めるとは言え、パッケージも、品質も、それは様々。 一行は女性が多いため、妙に盛り上がってああでもないこうでもないと品定め。 パパに値引き交渉までしてもらい、相当に楽しんだと思う。 楽しさのあまり、パパの制限時間をわずかに越えた、らしかった。
パパの携帯が突然鳴り、パパは慌てて店から走り出る。 一行から離れたところに行きたいらしい。
通話、3分ほど。
パパ、店内に戻ってきた。
夫、中国語で何か話しをした。
「みなさま! パパは今帰りまーす!」
突然のアナウンス。
買い物を中断し、お礼とお別れを言う一行。
私、ぢっと夫の顔を見る。
(小声で)「パパのカラータイマー、鳴ってるって」
ウルトラマンかよ!
その場はもちろん、私も挨拶に加わり、パパをタクシーに乗せた。
で、夫が言うには、
「最近、ちょっとでも遅れると、即電話かかってきて怒られるって。」
ハナ子、パパだけが結婚式に出ることを、本気で警戒しているらしい。
この日も、パパはハナ子に「午後1時まで授業、それから学生相談、それから夕方まで打ち合わせ、夜また授業。」と申告していたのだけれど、
「だったら夕方帰宅して、家でメシ食え!」
と、命じられたらしい。
授業があるのは毎週のことだし、その間の学生相談や打ち合わせが嘘でも、夕食時にパパが帰宅すれば、自由になる時間は移動時間を考慮して、約3時間だけ。
ハナ子の用意する夕食は、自宅近くの大学の食堂で買ってくるものなんだから、パパが職場で買って食べるものと大差ないのだ。 だったら、週に1度くらい(別の日はシフト違いで夕食時普通に在宅)夫婦別々に食事してもいいだろうに。
要するに、パパに自由時間を与えないように、夕食を口実にアリバイを取っているわけだ。
3時間だってハナ子は警戒しているのだろう。
パパの大慌てで帰っていく姿は、なんだか辛かった・・・
「花婿の、母。サンジュウニ」に続く
㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥㊥
気が向いたらコメントお願いします。
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源泉を見て、水もの観光地にありがちな、「投げ入れると幸せになる」水溜りにコインを放った。 小川には小魚が泳いでいて、魚好きの私にはうれしいこと。
源泉のそばで、お茶を飲むことになった。
水質がどうとか言われてはいても、そこはお約束。
当然、龍井茶。
そこで、一行は改めて挨拶・・・でもないけれど、おみやげの交換会のようなことになった。 日本からのお菓子とお酒をパパに。 パパからは杭州の名産品をそれぞれ。 シルク製品や、その場に来られなかった私の父に、紹興酒「女児紅」など。
う~ん、母・叔母・友人母も、パパもありがとう。
日本から持ってくるの、重たかったよね。
パパは、ハナ子に内緒で用意するの、大変だったよね。
義鳥の結婚式がキャンセルになって以降、パパはハナ子による厳重な管理下に置かれていたという。
ハナ子は、私たちが代替の式を行うこと、かつ、パパだけが呼ばれることを警戒していたらしい。 パパのスケジュールを可能な限り把握し、仕事以外の単独での外出は一切禁止。
だからこの日も、授業の合間の数時間しかパパと行動を共にすることは出来ないということだった。
当然、おみやげを家に入れることは出来ないため、パパは私たちにくれた品物をすべてお店に取り置きしていて、当日取ってきたということだったし、日本からの品物もまた、職場に置いて、同僚と食べるということだった。
私はそのあたりを事前に夫から聞いていて、同僚経由でハナ子にバレるのではないかと心配していたのだけれど、

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「あそこんちの奥さん、おそろしいよね~」というような噂話をされることが、世間の夫たちの間でどの程度不名誉なことなのか、私は知らないが。 思うに結構ツラいのではないだろうか。
まあしょうがない。
とにかくパパは私たち皆と茶を飲んだ。
その席で、パパはおもむろに赤い袋を出して、私と夫にひとつづつ、くれた。
ホンバオだ。
つまり、ご祝儀のこと。
二人に一袋ではなく、二人に二袋。
中国人は奇数を嫌う。
私はすぐにひざをついて、「パパが私たちの家に遊びに来てくれたら、朝のお茶を差し上げます。」・・・と言った。 中国語で。 唐突だったせいか(だと思いたいなあ)、イマイチ通じなかったので、すぐ夫が言い直していたけど。
中国人は、伝統的には、「結婚式の朝、義両親にお茶を淹れる」という習慣があるというのを夫から聞いていたからだ。
結婚登録の日は、ハナ子も含めて、上海の同じホテルに泊まっていたんだけど、そのときは「そのうち結婚式あるいはお披露目パーティーをやるのだ」と思っていたらしく、特に何もしなかった。
それで結婚式はこんなことになっていたから、結局お茶をあげていなかった。
ご祝儀は、後で開けてみたら結構な高額であった。
結婚式以前に夫がパパから聞いたところによれば、「二人いる息子のそれぞれに結婚式費用を貯めていたけれど、

ただでさえ、生活費教育費全額をパパひとりで支払った挙句、息子のための結婚費用も貯めて、更にハナ子実家にかなりの額を吸い上げられて、更にその残額まで日々虎視眈々と狙われているというのに。
そのご祝儀は、実際の金額以上に、パパにとっては大金であるに違いない。
長い年月かかって、岩清水を溜めるよに、しとしとと貯めたんだ。
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なんで私は、お金貰ってややウツな気持ちにならなきゃいけないのだろうか・・・そんなことも思ったが、とりあえずその場は和やかに、次のチェックポイントに向かった。
制限時間3時間ちょっとで、どこに行きたい? ってな条件のもと、虎ホウ泉のほかには「観光客が行かない、安くて質のいい茶葉のあるところ」とリクエストしておいた。
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龍井茶が大半を占めるとは言え、パッケージも、品質も、それは様々。 一行は女性が多いため、妙に盛り上がってああでもないこうでもないと品定め。 パパに値引き交渉までしてもらい、相当に楽しんだと思う。 楽しさのあまり、パパの制限時間をわずかに越えた、らしかった。
パパの携帯が突然鳴り、パパは慌てて店から走り出る。 一行から離れたところに行きたいらしい。
通話、3分ほど。
パパ、店内に戻ってきた。
夫、中国語で何か話しをした。

突然のアナウンス。
買い物を中断し、お礼とお別れを言う一行。
私、ぢっと夫の顔を見る。

ウルトラマンかよ!
その場はもちろん、私も挨拶に加わり、パパをタクシーに乗せた。
で、夫が言うには、
「最近、ちょっとでも遅れると、即電話かかってきて怒られるって。」
ハナ子、パパだけが結婚式に出ることを、本気で警戒しているらしい。
この日も、パパはハナ子に「午後1時まで授業、それから学生相談、それから夕方まで打ち合わせ、夜また授業。」と申告していたのだけれど、

と、命じられたらしい。
授業があるのは毎週のことだし、その間の学生相談や打ち合わせが嘘でも、夕食時にパパが帰宅すれば、自由になる時間は移動時間を考慮して、約3時間だけ。
ハナ子の用意する夕食は、自宅近くの大学の食堂で買ってくるものなんだから、パパが職場で買って食べるものと大差ないのだ。 だったら、週に1度くらい(別の日はシフト違いで夕食時普通に在宅)夫婦別々に食事してもいいだろうに。
要するに、パパに自由時間を与えないように、夕食を口実にアリバイを取っているわけだ。
3時間だってハナ子は警戒しているのだろう。
パパの大慌てで帰っていく姿は、なんだか辛かった・・・
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