着物や和装品の素材の色味を表す言葉としてよく使われる「もえぎいろ」、あなたは、どんな文字を書いていますか。元々もえぎ=萌木は、木々の芽が出てくるという意味で、「萌木色」と書かれます。一般的な言い方ですが、その「萌木色」と、明るい黄みどりで色にリアリティを感じさせる「萌黄色」の2つが、平安の昔から使われてきたようです。ところが江戸時代に入ると、今度は、「葱」という文字が「木」と「黄」の代わりにあてられ、「萌葱色(もえぎいろ)」として、歩き始めたわけです。ちなみに、その言葉を分解してみると、萌えると、葱に分けられます。イメージされる色はライトグリーンとか若草色ではなく、葱が地上に出て風雪に耐えている部分の緑色。江戸風呂敷等で使われる唐草模様の布地や、歌舞伎の幕間に引く幕に使われる濃い緑色をしています。つまり、浅めの緑の「萌黄色」と、濃厚な緑の「萌葱色」は、色そのものの濃度と明度に、差ができているのです。日本には、こういった明るい黄みどり色の伝統色の葉を持った樹木が沢山あり、目と心に安らぎを覚えることになります。私たちが野菜作りをしている農園を取り囲むように、常緑樹の松や杉、広葉落葉樹の欅やブナ、カラマツなどが四季ごとに、色の変化を見せるのです。毎年栽培している野菜として葱がありますが、葱坊主のついた葱は、まさに「萌葱色」。畑の真中から、木々の緑を見つめる姿がシャキッと目立っていますね(ストロー・ハット)。
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