強盗殺人の罪で囚われた作者には中学時代にたった一度だけ先生からほめられた思い出がありました。美術の担当で彼の絵をほめてくれたその先生に獄中から手紙を出したことがきっかけとなって、彼は自らの命と罪を深く見つめる短歌をつくり新聞にも投稿するようになりました。彼の歌に感銘した若い人との交流や歌人窪田空穂との文通も彼の限られた人生を意味あるものにしたように感じられます。1967年、33歳で刑死。
温(ぬく)もりの残れるセーターたたむ夜ひと日のいのち双掌(もろて)に愛(いと)しむ
『遺愛集』 島秋人 東京美術
『書簡集 空と祈り―『遺愛集』島秋人との出会い』 前坂和子 東京美術
温(ぬく)もりの残れるセーターたたむ夜ひと日のいのち双掌(もろて)に愛(いと)しむ
『遺愛集』 島秋人 東京美術
『書簡集 空と祈り―『遺愛集』島秋人との出会い』 前坂和子 東京美術