沈黙の春

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野田政権、近くTPPへの参加表明か―日中対立も一因

2012-09-25 18:57:21 | 政治、法律など
【東京】長引く領有権争いが日中経済関係に影響を与え始めるなか、日本政府は、中国を含めた貿易協定よりも米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)に少なくとも当面は軸足を移す公算が高まっている。


AFP/Getty Images

TPP参加に反対する農業関係者のデモ(東京、今年4月)

 与党民主党の複数の議員は今回の代表選で再選された野田佳彦首相が内閣改造後、米国主導のTPP交渉参加の決意を発表するとみている。

 以前貿易交渉に関わっていたことのある緒方林太郎・衆議院議員は「私は野田政権が(TPPを)やると言ってくると思う。代表選の後の野田総理の発言はとても注目する必要がある」と述べた。

 また、民主党のTPPタスクフォースを取りまとめる吉良洲司・衆議院議員も、近く予定される内閣改造後に野田首相がTPP交渉参加の決意を発表するとみている。

 日本政府の貿易交渉担当者は、今年は中国との交渉に前進は厳しいとみて、TPPをてこにFTA交渉全体の活性化も念頭に置いている。だが中国との交渉を含めた貿易交渉について正式には何も決まっていないとしている。

 日本がTPP交渉へ参加するとしたら中国がどう反応するかを予想するの難しい。しかし、ある日本の交渉担当者は、中国が一段と反発を強め両国の関係が悪化するのではないかと懸念する。先週、中国の商務省の報道官は、領有権をめぐる対立によって日中韓の自由貿易協定(FTP)交渉が影響を受けるとの見方を示した。ただ年内の交渉開始が立ち消えになるかどうかには言及しなかった。

 今年5月に日、中、韓は3カ国自由貿易協定に向けて年末までに交渉を開始することで合意した。また、先月には、東南アジア諸国連合(ASEAN)が、東アジアと豪州、インドを含むアジア地域内のFTPを日中韓3カ国と11月に開始することで合意した。

 野田首相はこれまで、農村部を代表する議員からの反発を避けるため、TPP交渉への参加を明確にしてこなかった。こうした議員らは、TPPでは加盟国に例外なくすべての関税撤廃を義務付けていることから、豪州や米国などから輸入される安い農産物によって日本の農業が打撃を受けると考え反対してきた。

 次回の総選挙では民主党よりもTPPに慎重な自由民主党の勝利が広く予想されている。吉良氏は「われわれが政権にいる間に(TPP交渉への)参加表明をしなければならない」と述べ、次回の総選挙前にTPP交渉に参加することが重要との見解を示した。総選挙は早ければ11月にも実施される見込みだ。

 日本のTPP交渉への参加には、中国が対日姿勢を再考せざるを得なくなるという効果があるとみられている。中国政府は米貿易圏に対抗して中国を中心とした経済圏を作ることを目指しているからだ。

 中国は今のところ、TPP交渉に参加するアジア主要国が少ないことで安心している。だが、日本がTPP交渉参加を表明すれば、中国は日本や他のアジア諸国と経済関係改善に向けた努力を強化する可能性がある。

 アジアの2大経済大国である日本と中国の間では現在、日本が実効支配し、中国が領有権を主張している尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐって争いが続いている。だが、政治的な緊張とは裏腹に、両国の経済と貿易は密接に絡み合っている。

 欧米の経済成長が鈍化するなか、日本の輸出企業にとってアジアは数少ない成長市場だ。2000年から2011年の間に日本の対中国輸出は3.4倍に増加する一方、対米輸出は35%、対欧州は10%、それぞれ減少した。

 人口が減少し続ける日本にとって、アジア市場の重要性は今後も高まり続けるとみられる。日本政府によると、日本の国内総生産(GDP)が世界に占める比率は1990年の15%から2030年には6%まで減少し、一方で中国の占める比率は同2%から25%に増大すると予想されている。

 主要市場と自由貿易協定を締結することは、雇用を維持し、新規投資を誘致するために不可欠だ。

 繊維メーカー大手の東レは昨年、韓国に新たな炭素繊維の工場を設立することを発表したが、その理由は、韓国が欧米とFTPを締結し、中国とも貿易協定を提案しているためだ。多くの日本企業や欧州企業が同様に日本から韓国に工場を移している。

 日本もそれに追いつくため、今年は2つの主要なFTP交渉の開始が予定されている。1つはASEAN諸国と豪州、インドを含めた16カ国との交渉、そしてもう1つは日本、韓国、中国の3カ国交渉だ。

 一方、中国は、ユーラシア大陸全体の経済統合に向けて取り組みを強化しており、今月始めには胡錦濤国家主席がカザフスタン、キルギスタン、タジキスタンとのFTPを提案した。

 中国の政府系経済紙「経済日報」は最近、中国とドイツがユーラシア大陸の両側でそれぞれの地域統合プロセスにおいて中核国となることを提唱するオンライン記事を掲載している。


。http://jp.wsj.com/Japan/Economy/node_517572



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