水に浮かび物思う

カリフォルニアの海でカヤックに出会う。キャンプやハイキングの話も。

テキサス州、オースティンへ行くの巻 その3

2007年02月25日 | 旅行

翌日。ぼくは8時に目を覚ました。昨日のように、キッチンへ行って二人分のコーヒーを淹れる。ローカルニュースを見て、トイレを済ませると急にお腹がすいてきた。昨日ちゃんとした食事を一度しかしていないからだ。ぼくと彼女はホテルのレストランで朝食を食べた。

ぼく: サテ、今日は何をしようか?
E(彼女): 何をしようか? 何かしたいことある?
ぼく: ハイキングとかカヤックなんてわりといいかもしれないね(おそるおそる)。
E: Town Lakeでカヤックできるみたいだよ。漕いでくれば?わたしは散歩してるから。
ぼく: ヤッター!

イエーイ。ということで、今日はぼくはカヤックを借りて漕ぐことに決めた。オースティンのダウンタウンのすぐそばにTown Lakeという細長い湖があってそこでカヤックが借りれるらしい。彼女は水に濡れてもいい服がないしー、ということで散歩をしたいという。ぼくとEはPTクルーザーに乗って湖の横の艇庫にやってきた。

艇庫の半分はボートのスペースでもう半分がカヤックのスペースだった。オー、いいねー。こうゆう眺めだけでもぼくは幸せになれる。ドックにはミドルエイジの女性がボートの出艇の準備をしていて、ぼくは彼女と少し会話をした。

ぼく: こんにちは。
女性: こんにちは。わたし、ボートを漕ぐのはほんとに久しぶり。楽しみ。一年前までボートを漕いでいたの。
ぼく: いいですね!ぼくも昔シングルを漕いでいました。ここは漕ぐのによさそうな場所ですね。
女性: そうね。

ぼくは彼女の出艇を手伝った。ボートがぐらぐらしてなんか怖がっているように見える。大丈夫かなと少し心配になるが、不必要に怖がっているうちはなかなか沈はしないものだ。オレってうまくなってきたかも、という気持ちが芽生えたときに人は洗礼を受けることになる。その女性はおっかなびっくりで、ドックからなかなか出られないでいたので、片方のオールを掴んでゆーっくりとおしてあげた。楽しんで。グッドラック。

ぼくは無性にボートが漕ぎたくなってしまい、ショップのお兄さんにボートは借りれますか?と聞いてみたけれど、会員になって講習を受けないとダメとの返事。まぁしょうがない。いや、むしろそうあるべきだろう。ぼくは、分かりました、じゃあカヤックをお願いしますと言って、カヤックを借りた。一時間で10ドルだった(安)。ぼくは裸足になり、ジーンズの下に履いてあったスピードのスパッツ一枚と化繊の長袖の格好で、ライフジャケットを着けた。これで準備完了。いってきまーす。

うーん、気持ちいいなー!いい湖だ。木々が多くて、湖の周りは遊歩道になっていてたーくさんの人たちがジョギングをしたりサイクリングをしたりしている。こんなにいい日だったらジョギングも気持ち良いだろうなー。橋の上からも人々が湖面を見下ろしていて、いかにものどかである。そしてぼくは少しだけ優越感を覚える。

水は割りと綺麗で、冷たい。後で知ったのだけれど、この湖はかのコロラド・リバーに繋がっているという(じゃあなんで「湖」なんだろう?)。冷たいはずだ。ぼくは長さ3mくらいの安定したポリ艇にのって快適にパドルした。ぼくはこの上なく幸せである。途中彼女のEと岸で落ち合った。

E: アヒルがいたよ。
ぼく: え? アヒル?(驚) ほんと?
E: (ぼくの名前)くん、にこにこしてすっごい楽しそうだよ。
ぼく: うん、すっごい楽しい♪
E: ハイ、コレ。そこにいる子がハクチョウにパンをあげてって。
ぼく: ハクチョウ?(驚)

ハクチョウとアヒルってどう違うんだっけ?と思いながら、ぼくは湖を見渡す。あー、いるいる。たしかに二羽のハクチョウが湖に浮かんでいた。Eのそばには小さな男の子を連れたお母さんがいて、少しぼくに申し訳なさそうな表情をして立っている。むろん、パンを握った男の子はカヤックの上のぼくにキョーミしんしんである。ぼくはもらったパンをシートに置いて男の子に目くばせをし、Eからもらったカメラのストラップを口にくわえて、そろーりそろーりとハクチョウに向かって漕いでいった。


おー、近づいても驚かないゾ。よし、パンをあげよう。・・・と思ったもののぼくは一瞬躊躇した。ハクチョウに手を食べられたらイタイかな?と内心ビビッタのはナイショである。手で渡すのはコワイので、ぼくはパドルの上にパンを置いて、そーっとハクチョウの口のところへ差し出した。すると、ハクチョウはパクっと勢いよくパンを食べた!

ハクチョウはぼくのことを友達だと思ったのか食べ物だと思ったのか、パンを食した後もぼくに寄って来て、ぼくのパドルを噛んだりしていた。た、たのしい。彼らの口に目をやると、アパラチアン山脈のようななだらかな突起を持った白い歯が並んでいて、やはり手でパンをあげなくてよかったと内心ホッとしたのもナイショである。それにしても、なんて勇敢な人たち(ハクチョウたち)なのだろう。人をこわがんないんだな。陸を見ると男の子は大喜びで、さっそくEにふた切れ目のパンをあげていた。お母さんはさらに申し訳なさそうな表情を見せ、ぼくも遠くから、いいんですよお母さん、ぼくも楽しいですから、の表情を返したのだった。

ぼくはもう一度同じ事を繰り返し、今度はもう少しながくハクチョウと遊んだ。やがてハクチョウはぼくに興味を失い、自前のイエローパドルですーっと岸の方へ進んでいった。バイバイ。サテ、そろそろカヤックを返す時間である。ぼくはEと打ち合わせして、ドックへ戻った。そういえば先ほどのボートの女性はずっと前に納艇したようだった。やっぱりコワかったのだろう。

オースティン旅行3日目のつづきは、『その4』へ!

あ、そうそう、Eの撮ったアヒルの写真はコレ。



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