凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

旅と読書 その6 北海道&沖縄

2005年10月04日 | 旅のアングル
 大好きな北海道と沖縄についての本が書棚に目立つ。そんな本の大群の中から少しピックアップして話してみたい。

<北海道本Ⅰ 大いなる自然>
 北海道は何度行っても素晴らしい。その北海道の魅力を描き、更に北海道に旅立ちたいとの思いを起こさせる書籍がいくつかある。

「北海道の旅」(更科源蔵)
 北海道弟子屈に生まれた著者は、自分を育んだ北の大地の美しさを詩人の感性で刻み込んだ。各地の表情を紹介し観光案内風の装丁をとりながら、北海道の魅力を存分に伝えようと試みられている。「将来どう変貌するだろう。この風と花だけの風土は。」と著者は言う。僕は20年前の北海道を知っているが、既にここに描かれている姿ではなかった…。

「北海道探検記」(本多勝一)
 著者が若き日に北海道に赴任し、道内を「探検」したルポと、その20年後の再ルポを収録。本多氏らしい厳しい視点のルポが多いが、'60年代の知床半島の報告は特に興味深い。羅臼湖に人跡がほぼ無かったころの姿も伺える。 '80年代の知床ルポも収録されていて環境破壊等悲しい現実も語られるが、更にそれから20年経って世界遺産となった現在はどうなのだろう。

「北海道はまだか」(お天気ライダースクラブ)
 北海道に魅せられたライダー達の投書によるコラム集。北海道に対する様々な旅人の体験談そして思いを、幾つかのテーマに分け編集した一冊なのだが、北海道を旅するライダーのナマの声が綴られ、頷いたり笑ったり共感したり、実に楽しい。旅は確かにこんな感じで進んでいくのであります。


<北海道本Ⅱ 役立つガイド>
 北海道のガイドブックというのは、写真は美しいが内容はさほど充実してはいない。それは大変いいことで、旅行者は限られたところに集中してくれる。我々単独旅行者は、もっと北海道らしいところに内緒で出かけようではないか。

「とらべるまんの北海道」(とらべる群団)
 今や伝説となった手書きのガイドブック。当時の普通の旅行案内書には見られなかった穴場が多く載せられ、カニ族等の個人旅行者のバイブルとなった。 20年以上前の冊子であり、今はもう手に入れる事は難しい。その後10年程経ってブルーガイドが「北の大地へ」というパクリのようなムックを出したが、これも3回程改訂して消えたと記憶している。

「なまら蝦夷」(北海道なまら宿35軒)
 「とらべるまん」の内容を引き継ぐように作られたガイドブック。やはり手書きで、「とほ」宿(後述)のオーナーさん達が執筆分担し地域毎に充実したガイドを展開している。コラムも充実していて読み応えあり。とにかく見ているだけで楽しい。これならまだ手に入るはず。
※最新刊は活字が組んであり手書きではない。

「とほ」(とほネットワーク旅人宿の会)
 ひとり旅のための宿情報誌。ここに掲載されている宿のオーナーはもともとが旅人であり、宿は基本的に相部屋制で男女別の、ユースホステル形式で運営されている。「とほ」宿は全国にあるのだが、北海道にほとんどは集中しておりここに取り上げた次第。しかし、僕の持つ「とほ」は定価100円だが、今は420円らしい。内容も充実し大きく分厚く変貌している。一度最新刊読まないと…。


<沖縄本Ⅰ 自然と風土と文化>
 沖縄本は今あふれるほど出版されている。沖縄の文化的な価値にみんなが気がついた結果だろう。もちろん僕の書棚も沖縄関係本は一大勢力となっている。
 沖縄を旅するのに、その文化的背景を抜きにして風土を理解する事は出来ないでしょう。歴史があり、根付いた文化があり、言葉があり、神が宿る。そんな沖縄の深層風景も見てみたい。

「新南島風土記」(新川明)
 著者が新聞記者として石垣島に赴任した時の、八重山の島々のルポです。40年前の情景でありガイドブックの役割は既に果たさないが、観光化される前の先島の姿が生き生きと描かれ、歴史、風土そしてうたの数々に魅せられてしまう。 

「沖縄の歴史と文化」(外間守善)
 歴史散策が好きな僕は、沖縄の旅にもそういう色合いを持たせたいのだが、独立国である琉球王国として教科書で習う日本の歴史とは別の歴史を歩んできたのが沖縄。その歴史的背景を知るのにちょうどいい本。先史時代から尚氏王朝そして薩摩支配から琉球処分へと至る沖縄の歴史がよくわかり、グスク廻りにも深みが増す。文化的記述も充実。

「沖縄ことばの散歩道」(池宮正治)
 沖縄の言葉は内地の人間には相当に難しくわかりにくいが、ここでは79の言葉について、その語源などに遡りながら解きほぐし、そこから独自の文化的側面が顔を覗かせる…という構成になっている。「ティンサグ」「フラー」「チュラカーギー」等、一つ一つの言葉から沖縄が見えてくる。
 この本はひるぎ社発行の「おきなわ文庫」の一冊なのだが、このシリーズはみんな面白く、空港などでも売っていてつい1、2冊買ってしまう。興味あるテーマが満載。


<沖縄本Ⅱ 深みにはまる旅人>
 沖縄には青い海をはじめとする素晴らしい自然があり、聴こえてくる人々のうたがあり、おいしい料理がある。そんな沖縄の魅力に迫る書籍をいくつか。

「西表島自然誌」(安間繁樹)
 イリオモテヤマネコに魅せられて、生態研究を最初に手がけた著者の西表島エッセイ。まだ観光とは縁遠かった頃の西表の自然から書き起こされていて、島で暮らす人々と大いなる自然が克明に描かれている。この自然がいつまでも残ってくれるよう切に願う。ヤマネコよりさらに大型の「幻のオオヤマネコ」の話は本当にロマンでいっぱい。
 オオヤマネコの話には、「ヤマピカリャーの島」(小野紀之)という好著もある。

「オキナワン・ミュージック・ガイド」(磯田健一郎・黒川修司)
 沖縄のうたと言えば、三線響く「島唄」となるけれど、どうも沖縄の調べは、古来より伝わる民謡から現在のモンゴル800、Orange Rangeに至るまで、どうも有機的に繋がっているらしい…。全ての音楽の根底に、「おきなわのうた」が確実に流れている。
 ビギナー向けのガイドブックで、大御所嘉手苅林昌から喜納昌吉、ビギンまで解説されています。今すぐ島唄が聴きたくなる一冊。

「おきなわの味」(外間ゆき・松本嘉代子)
 沖縄料理は今やヘルシーな長寿食として流行しており、グルメ本もたくさん出ている。この本はもう15年くらい前に現地で買った料理本。沖縄料理が食べたくて購入し、当時の彼女に奪い取られ、その人が妻となってまたうちに返って来て、今は旨い沖縄料理が家で出てくるようになった。沖縄にはなかなか行けないので、せめて料理を作って泡盛を呑んで、気分だけでも浸ろうではありませんか。


<沖縄本Ⅲ うちなーは発信する>
 沖縄の旅も深みにはまると、その日常的な文化、若者やおばぁの暮らし、食べ物、様々なものに興味を惹きつけられてやまなくなってしまう。地元の出版の動きも活発で沖縄の書店では郷土が出版する書籍が溢れている。

「おきなわキーワードコラムブック」事典編・日記編(まぶい組)
 当時のコピー「青い空と青い海ばかりじゃない」とばかりに、おきなわの観光ではない普段の若者の言葉、やっていること、流行から噂までコラムで積み上げた最高に面白い本。内地の人間にとってはカルチャーショックの連続であり、読むたびに沖縄の深みにはまってゆく。
 この本を企画した新城和博氏は、その後もうちなーコラムを書き続け、「うちあたいの日々」「太陽雨の降る街で」等々次々に沖縄の現代風俗を紹介してくれている。他に、「波打つ心の沖縄そば」「泡盛読本」などもあり読んでいて楽しい。また、キーワードコラムブックも発行以来15年を経過し、「新!おきなわキ-ワ-ド」という本が新たに出版された。これもまた面白い。

「アコークロー」(宮里千里)
 「アコークロー」とは沖縄で夕暮れ時の意味。沖縄そしてアジアにこだわり、沖縄から発信しつづける著者が編んだ個人誌の傑作選。沖縄の香りが充満していて嬉しい。「島軸紀行 シマサバはいて」等の他の著作も面白い。

「山原バンバン」(大城ゆか)
 この本はコミックスです。「山原(やんばる)」とはつまり沖縄本島北部一帯のこと。その山原に暮らす女子高生なつみちゃんの日常を描いた話なのだけれども、山原の風景と人々が淡々と描かれて、なんとも言えずホンワカとしてしまうのだ。かつて沖縄には、「コミックおきなわ」という地元発のコミック雑誌まであり、漫画文化は隆盛の地。その後も、映画にもなった「ホテル・ハイビスカス」(仲宗根みいこ)をはじめ良作が多数輩出している。沖縄の空気がいつも流れていて、少しの悩みなんかは「まーいっか」ってなっちゃうんだなこれが。

 
 「旅と読書」終わります。

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2 コメント

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突然ですが (どーくん)
2005-10-06 14:24:34
こんにちははじめまして。



キーワードに引っかかったというだけで、

他意はありませんが、

TBさせていただきました。

失礼ならばいけないと思い、

報告させていただきます。



今後も末永くお付き合いができれば幸いです。
返信する
突然ですね(汗) (凛太郎)
2005-10-06 23:40:40
いらっしゃいませ。

僕は、TBというものは相手のサイトにリンクを貼る行為ですから、やはりその記事に対して言及なり引用があってしかるべきだと思います。百歩譲っても同テーマで書かれたものであって欲しい。その記事にほとんど関わりの無い記事を、同じ語句を使用しているからと言って強制的にリンクしていくという行為はいかがなものかと思うのです。キーワードによる検索TBということはしばしばなされていますが僕は好きではありません。

自分のサイトに誘導したいのであれば、コメントで当該記事の感想を述べた上で、自分のサイトでこういうことを書いているのでよければ…と話しかけてみるのが正当ではないかと思うのですが。いかがでしょうか。



しかしまあ、この北海道発の沖縄論は面白そうだ。ちょっと伺ってみます(笑)。
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