インディアンデスロックという技は、よく見るようであまり見ない。最近はフィニッシュとしてはほとんど見なくなった。
この技はもう説明の必要もないとも思うが、説明することは実に難しい。仰向け状態の相手の両足を折り曲げて間に自分の足を突っ込み…難しいな。もう投げ出してしまう。相手があぐらをかいているような状況で、そのあぐら状態の中に自分の足を入れて絡めて締め上げると思ってください。実際にやられると実に痛い。足首関節だけではなく、掛ける側が相手の両腿を押し下げるようにすると股関節もやられる。しかしこの技は掛ける側が後ろに体重をかけるようにすると更に効くので、どちらに重点を置くかが個性ではあるが。
有名な場面として、ハリー・レイスがテリーファンクからNWA王座を奪った試合で、レイスはこの技でギブアップを奪っている。後ろに倒れこむようにぐいぐいと締め、テリーはのた打ち回っていた。ちゃんと仕掛ければ効くのだ。レイスは時折この技をみせて相手を痛めつけていた。
また、ジャンボ鶴田が天龍からギブアップを奪った技としても知られる。天龍はこのとき足首を痛めていたとは言え、屈辱の生涯初のギブアップ負け。このあと天龍はSWSへと戦場を移すことになった。
さて、このインディアンデスロック、古い技だとは思うがいつ頃から使用されていたのだろう。これは、書いてある資料もマチマチでよくわからない。ただ、「インディアン」と名称にあるからにはそういう形態でリングに上がっていたレスラーが開発者なのだろう。
インディアン、と言っても、ネイティブアメリカンのことをそう指す場合もあるし、もちろんインド人もインディアンである。ネイティブアメリカン説として、元祖はドン・イーグルであるとも言われている。
ところが、ドン・イーグルというレスラーを僕は全然知らない。調べると僕が生まれる前のレスラーで、本物のネイティブ・アメリカンであった由(ギミックかもしれないが)。わからないのでDon Eagle Indian deathlockで検索をかけたが、当方英語が全く読めないので徒労に終わった。ただしこのキーワードで結構ヒットするので、ある程度認識はされているのだろう。ただ得意技であったことは確かだと思うが元祖かどうかまではわからない。※追記:コメント欄参照
もうひとつ、こちらは本物のインド人で、あの有名なグレート・ガマが元祖であると言う説もある。そうなると相当時代が遡ることになる。なんせ確か19世紀の生まれだ。コミックスの中ではワニと戦ったとされる超人で、アクラム・ペールワンもガマの末裔と称していた。となるとインドじゃなくてパキスタンだが、当時はまだパキスタンはインドから独立してはいなかったっけな。まあ細部はさておき、グレート・ガマが元祖であればそれは相当古い技であるとも言える。僕は以前、フランク・ゴッチのトーホールドが関節技の元祖だろうと書いたが、インディアンデスロックもいい線いくのではないか。
さて、話はちょっとずれてしまうのだが。
インディアンデスロックと見た目が良く似た技として「監獄固め」という技がある。マサ斉藤が例のケン・パテラらとの暴力事件で刑務所送りになったときに、獄中で開発した技とも言われている(もっともこれはギミックで、谷津も自分が開発者だと言っていたような)。この技は、相手が仰向けに倒れた状態で足に関節技を仕掛け、自らは座っているようなポジションなのでインディアンデスロックとパッと見は確かに似ている。ただ、とある書き物に監獄固めはインディアンデスロックの改良形であると書かれていたことがあって、それはないだろうと思った次第。
この技も見た目が分かりにくいのだが、相手のヒザの上にもう一方の足を折り曲げて重ね、さらにその上から体重を乗せる技であって(ヒザを痛めるのが主眼)、これはやはり言うとすれば4の字固めの亜流だろう。痛める部分が全然違う。
さらに脱線するけれども、永田裕二の「ナガタロック」も監獄固めに近いように思う。監獄固めは座って、ナガタロックは横になって仕掛けているが。ただ両者とも(4の字固めも)ヒザ関節に上から圧力をかけて痛めている。またさらに話がずれるが、ナガタロックってなんだか説得力がないような。伸ばした足を引き付けてヒザ関節を破壊するのはわかるが、4の字固めの方がより自然に効くように思えてしかたがない。
さらに天山の足卍固めとかいろいろあるけれども、どこまでインディアンデスロックに近いのかはもうよくわからない。
さて、インディアンデスロックと言えば仰向け状態の相手に仕掛ける技だが、これをひっくり返してうつ伏せの状態の相手に仕掛ける技がある。リバース・インディアンデスロック。インディアンデスロックと言えばこちらを想像する人の方が多いかもしれない。これも誰が始めた技かは知らない。ただこの技の使い手として唯一無二の存在と言ってもいいのがアントニオ猪木である。
相手をロープに飛ばし、戻ってくるところをスライディングのレッグシザースで倒し、素早く相手をうつ伏せにして足を畳み、自らの足をその中に差し入れる。この流れるようなスピーディーな所作がいい。猪木のここぞと言うときのスピードは、ロープに振ってのコブラツイスト、またニードロップでコーナーに駆け上がる時などに如何なく発揮されるが、このリバースインディアンデスロックの疾走感はその白眉と言ってもいい。タッグマッチでやるとさらにいい。足を差し入れたらすぐさま仁王立ちとなって両腕を伸ばし、相手コーナーに立つ敵のパートナーを牽制する。これぞ千両役者。そして何度も後ろに倒れ、そしてさらに跪いた状態でギリギリと締め上げる。
実際はこのリバースのインディアンデスロックでギブアップを奪った場面は見たことが無い(僕が知らないだけかもしれないが)。痛め技の範疇だろうが、仁王立ちで見得が切れるために猪木は大事な試合では必ずこれを出す。アピール・タイムである。このリバースインディアンデスロックで相手を牽制しつつ観客にアピールするというのは猪木でないとなかなか絵にならないので、他のレスラーが使えないのではないか。やってもパロディになってしまう危険性がある。
さて、このリバースインディアンデスロックの派生技として「鎌固め」がある。技を仕掛けた状態で、身体をぐっと後ろに反らせブリッジをして、相手のアゴを両手で捉えて持ち上げる。つまりリバースインディアンデスロックとキャメルクラッチ(もしくはチンロックか)の複合技。猪木が若い頃多用していたが、アピールしにくいためか徐々に沙汰止みとなった。これは馳浩、またグレート・ムタが継承している。
猪木は後年、むしろリバースインディアンデスロックからボーアンドアローへの移行を得意としていた。しかし、僕が思うに足をロックしたまま弓矢固めにとるとどうしても不完全になり威力が半減する。ちゃんとロックを外してから改めて掛けるほうが良かったのだが。
もうひとつ派生技として井上京子の「クリスマスツリー」がある。これはリバースのインディアンデスロックに差し込む足を片足ではなく両足とするもので、いかにもバランスを取りにくそうな(足が踏ん張れないため)形状だったが、彼女はこれを仕掛けて仁王立ち、というよりダンスを踊っていた。なるほど、アピールの仕方にもいろいろあるのである。
この技はもう説明の必要もないとも思うが、説明することは実に難しい。仰向け状態の相手の両足を折り曲げて間に自分の足を突っ込み…難しいな。もう投げ出してしまう。相手があぐらをかいているような状況で、そのあぐら状態の中に自分の足を入れて絡めて締め上げると思ってください。実際にやられると実に痛い。足首関節だけではなく、掛ける側が相手の両腿を押し下げるようにすると股関節もやられる。しかしこの技は掛ける側が後ろに体重をかけるようにすると更に効くので、どちらに重点を置くかが個性ではあるが。
有名な場面として、ハリー・レイスがテリーファンクからNWA王座を奪った試合で、レイスはこの技でギブアップを奪っている。後ろに倒れこむようにぐいぐいと締め、テリーはのた打ち回っていた。ちゃんと仕掛ければ効くのだ。レイスは時折この技をみせて相手を痛めつけていた。
また、ジャンボ鶴田が天龍からギブアップを奪った技としても知られる。天龍はこのとき足首を痛めていたとは言え、屈辱の生涯初のギブアップ負け。このあと天龍はSWSへと戦場を移すことになった。
さて、このインディアンデスロック、古い技だとは思うがいつ頃から使用されていたのだろう。これは、書いてある資料もマチマチでよくわからない。ただ、「インディアン」と名称にあるからにはそういう形態でリングに上がっていたレスラーが開発者なのだろう。
インディアン、と言っても、ネイティブアメリカンのことをそう指す場合もあるし、もちろんインド人もインディアンである。ネイティブアメリカン説として、元祖はドン・イーグルであるとも言われている。
ところが、ドン・イーグルというレスラーを僕は全然知らない。調べると僕が生まれる前のレスラーで、本物のネイティブ・アメリカンであった由(ギミックかもしれないが)。わからないのでDon Eagle Indian deathlockで検索をかけたが、当方英語が全く読めないので徒労に終わった。ただしこのキーワードで結構ヒットするので、ある程度認識はされているのだろう。ただ得意技であったことは確かだと思うが元祖かどうかまではわからない。※追記:コメント欄参照
もうひとつ、こちらは本物のインド人で、あの有名なグレート・ガマが元祖であると言う説もある。そうなると相当時代が遡ることになる。なんせ確か19世紀の生まれだ。コミックスの中ではワニと戦ったとされる超人で、アクラム・ペールワンもガマの末裔と称していた。となるとインドじゃなくてパキスタンだが、当時はまだパキスタンはインドから独立してはいなかったっけな。まあ細部はさておき、グレート・ガマが元祖であればそれは相当古い技であるとも言える。僕は以前、フランク・ゴッチのトーホールドが関節技の元祖だろうと書いたが、インディアンデスロックもいい線いくのではないか。
さて、話はちょっとずれてしまうのだが。
インディアンデスロックと見た目が良く似た技として「監獄固め」という技がある。マサ斉藤が例のケン・パテラらとの暴力事件で刑務所送りになったときに、獄中で開発した技とも言われている(もっともこれはギミックで、谷津も自分が開発者だと言っていたような)。この技は、相手が仰向けに倒れた状態で足に関節技を仕掛け、自らは座っているようなポジションなのでインディアンデスロックとパッと見は確かに似ている。ただ、とある書き物に監獄固めはインディアンデスロックの改良形であると書かれていたことがあって、それはないだろうと思った次第。
この技も見た目が分かりにくいのだが、相手のヒザの上にもう一方の足を折り曲げて重ね、さらにその上から体重を乗せる技であって(ヒザを痛めるのが主眼)、これはやはり言うとすれば4の字固めの亜流だろう。痛める部分が全然違う。
さらに脱線するけれども、永田裕二の「ナガタロック」も監獄固めに近いように思う。監獄固めは座って、ナガタロックは横になって仕掛けているが。ただ両者とも(4の字固めも)ヒザ関節に上から圧力をかけて痛めている。またさらに話がずれるが、ナガタロックってなんだか説得力がないような。伸ばした足を引き付けてヒザ関節を破壊するのはわかるが、4の字固めの方がより自然に効くように思えてしかたがない。
さらに天山の足卍固めとかいろいろあるけれども、どこまでインディアンデスロックに近いのかはもうよくわからない。
さて、インディアンデスロックと言えば仰向け状態の相手に仕掛ける技だが、これをひっくり返してうつ伏せの状態の相手に仕掛ける技がある。リバース・インディアンデスロック。インディアンデスロックと言えばこちらを想像する人の方が多いかもしれない。これも誰が始めた技かは知らない。ただこの技の使い手として唯一無二の存在と言ってもいいのがアントニオ猪木である。
相手をロープに飛ばし、戻ってくるところをスライディングのレッグシザースで倒し、素早く相手をうつ伏せにして足を畳み、自らの足をその中に差し入れる。この流れるようなスピーディーな所作がいい。猪木のここぞと言うときのスピードは、ロープに振ってのコブラツイスト、またニードロップでコーナーに駆け上がる時などに如何なく発揮されるが、このリバースインディアンデスロックの疾走感はその白眉と言ってもいい。タッグマッチでやるとさらにいい。足を差し入れたらすぐさま仁王立ちとなって両腕を伸ばし、相手コーナーに立つ敵のパートナーを牽制する。これぞ千両役者。そして何度も後ろに倒れ、そしてさらに跪いた状態でギリギリと締め上げる。
実際はこのリバースのインディアンデスロックでギブアップを奪った場面は見たことが無い(僕が知らないだけかもしれないが)。痛め技の範疇だろうが、仁王立ちで見得が切れるために猪木は大事な試合では必ずこれを出す。アピール・タイムである。このリバースインディアンデスロックで相手を牽制しつつ観客にアピールするというのは猪木でないとなかなか絵にならないので、他のレスラーが使えないのではないか。やってもパロディになってしまう危険性がある。
さて、このリバースインディアンデスロックの派生技として「鎌固め」がある。技を仕掛けた状態で、身体をぐっと後ろに反らせブリッジをして、相手のアゴを両手で捉えて持ち上げる。つまりリバースインディアンデスロックとキャメルクラッチ(もしくはチンロックか)の複合技。猪木が若い頃多用していたが、アピールしにくいためか徐々に沙汰止みとなった。これは馳浩、またグレート・ムタが継承している。
猪木は後年、むしろリバースインディアンデスロックからボーアンドアローへの移行を得意としていた。しかし、僕が思うに足をロックしたまま弓矢固めにとるとどうしても不完全になり威力が半減する。ちゃんとロックを外してから改めて掛けるほうが良かったのだが。
もうひとつ派生技として井上京子の「クリスマスツリー」がある。これはリバースのインディアンデスロックに差し込む足を片足ではなく両足とするもので、いかにもバランスを取りにくそうな(足が踏ん張れないため)形状だったが、彼女はこれを仕掛けて仁王立ち、というよりダンスを踊っていた。なるほど、アピールの仕方にもいろいろあるのである。
余談になってしまいますが、京子は元気な赤ちゃんを産んでくれると良いですね!!!!!!
彼女の勇気ある決断に拍手を送りたい一方、心配もあります。
に「倒立式インディアンデスロック」なる技が・・・。
地味に見えても奥が深いのですね・・・この技も。
井上京子、順調に行けば秋ですね。何事もなければ良いのですが…。
それに、リンク貼ってくださっている記事によりますと、ドン・イーグルがこの技の元祖ということになっていますね。つまりイーグルは倒立式を編み出したので、実際のインディアンデスロックの元祖はやはりグレート・ガマというのが正しいのかもしれませんね。
いやー記事を書き直そうかとも思いましたが…一応そのままにしておきまして、註をつけます。
ちゃんと検索して調べて書かないとダメですね(汗)。反省。