福島応援プロジェクト茨城

福島の子ども達の保養のために!原発をなくすために!避難者を支えるために!

「常総市民避難所支援有志の会」炊き出し

2015年09月27日 | 保養


「常総市民避難所支援有志の会」よりのお願い
私たちは、9月17日よりつくば市に避難しておられる常総市水害避難者の皆さんに炊き出しを始めました。
避難所の食事が あまりにも寂しくて野菜が足りないので、皆さんの健康が心配になったからです。

土浦友の会、ゲルソンランチの会、ボランティア協議会、そして私たち福島応援プロジェクト茨城のメンバーと、たくさんのボランティアの方が集まってくだ さって、つくば市前市長藤沢さんのお宅の調理場をお借りして、具沢山の味噌汁やおかず、サラダや漬物を作って、連日運んでいます。

フードバンクさんを通じて茨城県生協連合さんや、有機農業生産者の方々などが食材を無償で提供してくださっています。
それだけでは全く足りないので、募金を求めて食材をまかなっています。
趣旨にご賛同いただける皆様にご協力をお願い申し上げます。

 常総市民避難所支援有志の会 代表 小張佐恵子



以下は報告です。

12日、福島の避難民である木田節子さんが、「お世話になっている茨城県に対して自分も何かしなければならない気持ちなので連れて行って欲しい」と言うことで一緒に出かけた。

着いて入り口でボランティアの登録などを済ませると、玄関に車が到着して、寄贈されたとおぼしき大量のカップ麺が届いた。
玄関ホールには昼食の海苔も巻かれていない、たくあん2切れだけ入ったそっけないおにぎりパックと水や野菜ジュースが並んでいる。
交流センター入口のところにテーブルを並べて運んだカップ麺を置くと、市役所の方が「お箸がない」ので、これは提供できないという。
「いやーお箸くらいなんとかできるでしょう」と私は言って、交流センターの方と一緒に調理室に探しに向かうと、案の定棚の中には大量のお箸があった。
次には「お湯を沸かすのが大変だ。 難しい。」という市役所の方の声。
ちょっと待つうちに、なんとかするという声が出てきた。湯沸かし室に行ってみると、 90度のお湯が出る給湯器があるので、ポットにどんどん溜めるだけですぐに準備ができた。同時に、調理室のヤカンでお湯を沸かすボランティアさんもいる。
湯の準備ができてみると、市役所の男性の方が「お湯をこぼして火傷するようなことがあってはまずいので、やはり提供するのはやめよう」と主張される。この極めつけの発言には心底驚いてしまった。後でみんなで昼飯を食べながら話し合うとボランティアの皆が同じ思いだったのを知ることになる。

基本的に用意されているのは、冷たいおにぎりと冷たい水、野菜ジュース。菓子パンなので、暖かいカップめんがあれば、お汁がわりになって良いだろうと思う。

「気をつけて面倒みてあげればだいじょうぶ! なので、お出ししましょう」と強く提案して、結局各部屋ごとにボランティアさんが1人ついてお世話することになり、ようやく無事に食べていただくことになった。

私は1階の和室の担当で、お湯を注いであげたり、お箸を運んできてあげたりしながら皆さんのお話も聞かせて頂けた。
それにつけても、野菜やおかずの類は一切なしで、炭水化物だけのわびしい食事である。

食事が済んだ頃になって、用の済んだ箸を回収しに2階を廻ってみる。どの部屋も床は固いピータイルで、そこに毛布を引いて夜は休んだらしい。和室なら畳なので、多少は柔らかいと思われるが、それでも毛布だけの寝具では、ゆっくり休めないのではないかと心配だ。


お風呂は市内3カ所で、無料で入れるようになっているらしいが、案内板の掲示がとても小さくて、その情報が行き届いているのかどうかちょっとわからない感 じだ(その後あちこちの入浴施設の一覧表が掲示されるようになった)。廊下を通り掛かりに、携帯電話で知人と話している声が聞こえてきた。「心配しない で、もう大丈夫。食べるものも用意してもらっている。でもほとほと疲れたよ」・・・声の感じでは、さぞかし疲れているのだろうと思われた。
1時過ぎ、先に失礼することにして交流センターをあとにしたが、残ったボランティアの方たちも、やることがないので3時には解散になり、以後ボランティアは必要ないと断られることになった。

一夜明けて考えてみると、これは避難所生活の改善の余地がもっとあるのではないか。「もう少しマシな食事を提供することや、ゆっくり休める寝具を用意することができないのか、模索しませんか」と社協ボランティア連絡会副代表を務める矢沢容子さんと話し合った。

矢沢さんはゲルソンランチの会の代表で、昨日のボランティアも会のメーリングリストで声をかけてもらって行くことができたのだ。ボランティア連絡会のメンバーでなければ、原則的にボランティアも入れないとの事。
避難所のボランティアは、初めての経験だったが、行政の人たち全体に優しさや温かさと言う感じが少なくて、なんだかとても殺風景な感じがして、ホスピタリティーマインドが足りない感じだ。

つくば市が、物心ともにこんなに貧しいサービスしか提供できないのかと思うと、残念だ。

 13日朝一番に、福島応援プロジェクト茨城の代表長田満江さんと、つくば市議の金子かずおさんと3人で、市役所の危機管理課に現在の状況と話を聞きにいった。

つくば市の基本的考え方は、避難所ごとに差が出ないように公平を保つという事を優先順位第一に考えるので、炊き出しをしたいという私たちに、「するなら全 員600人分をやってもらいたい」との事。 600人は普通なかなかできないので、みんなすごすごと引き下がるしかない。
寝具については、改善をする考えも計画も無いとの事。
この日から10日以上経っているが、この「公平」と言う概念がそこかしこで行動を縛るのを目にしてきた。とにもかくにも市役所の担当者には、何とかして避難者の生活レベルを改善しようという意思はないように見受けられた。
どうにかならないだろうかと模索する私たちに、次のハードルが待ち受けていた。つくば市は保健所が厳しいので、検便などをしていない一般の人の炊き出しは無理だろうという声が聞こえてきた。市会議員さんや色んな人に聞いてもらってもらちがあかない。
たまりかねて自分で直接保健所に電話して聞くと、「こういう事態ですから、格別、お腹の具合が悪かったり体調の悪い方が調理しない限り、きちんと火を通して、交流センターのようなところで調理するのなら問題ないので、どうぞよろしくお願いします」

とあっさり言って下さる。誰か本当に保健所に問い合わせてダメだと言われたのか???

それから、交流センター調理室を貸していただけるように問い合わせてもらったが、使わせていただけないとのこと。
昔から懇意にしている藤沢順一さんにお願いして、保健所の許可も得ている、お宅の調理室をお借りすることが出来た。

矢沢容子さんが色々な方に声をかけてくださったことで人手も確保でき、ようやく炊き出しが許可されて、始められることになったのはなんと5日目だったのだ。

16日から準備を始め、 17日からスタートを切る。
夕食は筑波青年会議所がお汁を配っているというので、昼食に野菜たっぷりの味噌汁と野菜の浅漬けを作って届けた。
400食を作って行ってみると、実際には片付けなどに出かけていて4カ所合わせて150人くらいしかいなかったが、とにもかくにも喜んでくださったので、まずは3日続けようと、話し合う。

ボランティアメンバーは、矢沢さんが八方手を尽くして声をかけてくださったので、つくば食生活改善協議会、土浦友の会、ゲルソンランチの会、ボランティア協議会、そして私たちの福島応援プロジェクト茨城のメンバーと、たくさん集まってくださった。
様々なグループの集合体なので、「常総市民避難所支援有志の会」と名前をつけた。

あちこちに声をかけると食材を寄付して下さる方がたくさんいらしてとても助かる。

もちろんそれだけでは足りないので、立て替えて調味料野菜や肉などを買い足して、募金をお願いすることにする。

20日は休んだが、 21日からも継続しようということになり26日まで9日間、約120人から150人分のおかずやスープ、味噌汁などを避難所に運んだ。
避難所におられる皆さんは、野菜たっぷりの炊き出しを、とても喜んでくださっている。

21日の炊き出しは、肉じゃがと、茹でたブロッコリーのあんかけ。

谷田部体育館で配膳をしていると、茨城県から派遣されてこられた栄養士の方が、

私たちの調理した野菜料理をみて、「何て素晴らしい! これこそ皆さんに食べて頂きたい理想最高の食事です。 ありがたくて泣けてしまいます」と仰ってくださる。
避難者の方からは、一方ならない感謝の声をいただいているが、行政の方からこんなに感謝されたのは初めてのこと。
NHKのニュースで「こちらには、避難所で偏りがちな栄養面、食事のケアを担当する栄養士の方たちもいます。」と報道されていて「野菜等を選んで食べてほ しい」とコメントしていましたが、「そもそも野菜料理はお弁当に入っているほんの小さなもの以外提供されていないのだから、選びようがありませんよね。だ から私たちはこのボランティアを始めたのです」と、言ってしまった。
「私たちには、こういう料理を調理して出してあげることができないので、本当に助かります」と重ねてと仰る。
私が配膳する隣のテーブルには お弁当や 山盛りの バナナの箱、 大量の 飲料水や ジュース。 レトルトパックのお粥などが並ぶが、お弁当やバナナなどは食べきれずに 毎日大量に捨てているとのこと。
このお金や人手の無駄遣いは、 なんとかならないのだろうか?

避難者の体調や気持ちの苦しさについて、心を寄せる様子の、あまりに少ない行政の対応!
根本的には、食の重要性に対する無関心と見ることが出来る。

 行政に、防災対策組織に、女性や専門家の視点と意見が反映されない、システム上の欠陥を感じる。 行政が本気になれば、もっと効率的に快適な避難所の運営が出来る筈。寝具や環境も劣悪なままのところが多いようだ。

食材費を手当てして、市がボランティアを募集してくれればあちこちで炊き出しができ、廃棄の無駄も防ぐことが出来る筈で、避難者の健康と精神の安定維持に寄与できる。

常総市で、「おにぎりと水さえあればいいので、炊き出しは要らない」と 断られた避難所があると知人のボランティアさんから聞いた 。
重大な人権問題だと思う。

炭水化物だけでは、健康は保てないどころか、炭水化物の比率を減らした方が、より健康に良いということが言われている。
野菜の酵素やビタミンミネラルが必須。

つくば市でも、問題は山積だ。

つくば市は被災していないのだから、もっと暖かい支援ができる訳ではないか。

茨城県て、日本て、こんなに貧しかったのか???
いや、違う! 意識と認識の問題だと思う。もっと言えば、思想と哲学の問題だと考える。

常総市の現場もつくば市の避難所も、担当者が日替わりになり、情報化社会と言われて久しい中で、人々の要望や不足物資の情報がなかなか回り切れないと言う実態がある。

311震災時の時も、同じ問題があったと聞く。
災害列島の日本だから、いざという時のために、今回の経験と反省を活かしていかなければと痛感する。

今、ご家族が使われて車がない日はレンタカーまで駆りだして水戸から通い、一緒に全力で頑張ってくださっている富岡町避難民の木田節子さんの「今は福島のこと、いつかはあなたの町のことに」という言葉をかみしめながら、この不条理を放っておけない気がしている。

今日は27日。 2週間以上この炊き出しに駆け回ってきたので、長田さんも私も、
自分の仕事が山積みになって、にっちもさっちもいかなくなっている。

木田さんが「なんとか続けましょうよ」と言ってくれているので、今後の予定を話し合おうと今朝もまた電話をかけまくる事になっている。

9月27日