かわいい花とおかわり君

ありふれた日常の中にある小さなタカラを拾い集めて

でんでんむしのかなしみ

2015-11-22 | オススメ♪の[本]と[絵本]
新美南吉と聞けば
私としては教科書で習った
「ごんぎつね」か「てぶくろを買いに」が浮かぶのだが、

「でんでんむしのかなしみ」が一番好きだという人が多いらしい。

「でんでんむしのかなしみ」

聞いたことないなあ・・・ 
その斬新なタイトルに惹かれて
一体どんな話なのだろうと気になり
図書館で借りて読んでみた。

切なく素朴で温かい話だった。

自分の悩みこそ過大に捉えてしまいがちだが、
考えればみんなそれぞれのかなしみを
背負って生きていて、
今自分の抱えているものはよくよく考えれば
そう悲観するものでもないのではないか。

いいこともそうじゃないことも
全部受け止めて我や執着を解放して生きてごらん。

そんな風に感じた。

新美南吉さんは病気で30歳で他界したから、
この作品を20代で書いたことになる。
としたら、その人間性の深さに敬服する。

そもそも18歳で「ごんぎつね」を書いたこともすごいし。

もしバリバリ健康でタフな心身を持っていたら
このはかなくて優しいぬくもりのある文学は
存在しなかったように思える。

常に生死を考えることと隣り合わせにいたからこそ、
じゃなかろうか。
彼の作品を読んでいると、
病気があったからこそ、仏の教えをおそらく学び
それが文学に結びついて道徳観が深いからこそ
一度読んだら、もう一度よみたくなる。

短いが行間に慈悲の心。
コメント
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