日経新聞の「マナーのツボ」という小さな記事に、お正月に使う箸のことが解説してありました。
私の実家ではお正月でも特別な箸は使わなかったような気がします。戦後で貧しくそんなことまできちんと日本の文化を守るだけの余裕がなかったのかもしれません。主婦になって、テレビなどでお節をいただくシーンを見聞きして、なるほどそうするものかと真似てやってはいましたが、浅い知識しか持ち合わせなかったものですから、この記事は有難い解説でした。メモっておきます。解説者はマナーデザイナー 岩下 宣子さんです。
お正月の祝い膳には「中太両口箸」を使います。箸の中ほどが太く、両端が細くなっている栁箸を使います。柳はしなやかで、折れにくいことから縁起が良いとされます。
両端が細くなっているのは、片方は人間、もう片方は、神様がお食べになるためとされています。正月に、年神さまと一緒に食べることで一年の幸せと健康をいただくのだそうです。
箸には使った人の魂が宿ると考えられているので、箸袋には家族の名前を書きます。三が日使うものなので、使うたびに清めて、それぞれの箸袋に入れるのです。
箸の名前の由来は、諸説ありますが人間と食べ物をつなぐ命の架け橋からという説があります。
昔の人は、外で使った箸にも、その人の魂が宿ると考え、そのまま捨てはしませんでした。災いにならないよう、食べ終わった割り箸を折り、箸に宿った魂を自分に戻してから捨てたのだそうです。
現代女性と駅弁を一緒に食べた時、その女性が折って捨てておりました。良く知っているねと褒めたらコンパクトにして捨てるのです、と言いました。現代風な行動だったのです。上に書いたようなことを話したら、びっくりしていました。
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学生時代に、井原西鶴のケチな町人が、太~い柳箸を使い、翌年は削って新しく見せ、また次の年も・・・という話を読んだことを思い出しました。
先に書きましたように、実家にこの文化が伝わっていなくて、知識がなく、京都育ちのお嫁さんに教えられたと言ったことがあります。ゆかしい文化は伝承されるべきですよね。
戦争で途切れそうになった風習も、平和な時代復活してよかったと思います。