痔瘻の治療について説明します。ここでは最も多い低位筋間痔瘻(IILS)の開放術式を示します。開放術式とは、痔瘻の「膿(うみ)のトンネル」を切り開き、文字通り開放する方法です。痔瘻治療の基本です。歯状線(しじょうせん)近くの膿の入り口(一次口)から、皮膚の出口(二次口)までを切開します。この際切除する筋肉の種類や位置、方向などに十分な配慮が必要です。一般に肛門後方だと筋肉の切除量が少なく、肛門機能への影響が少ないです。開放した傷は縫いません。自然に新しい皮膚が張るように傷を作ります。術後1か月から2か月くらいで皮膚が出来て治癒します。根治度(完全に治る程度)が高いので、よく用いられている方法ですが、肛門側方や前方の場合は手加減が重要です。術後の写真を今度おみせしましょう。
(初出6/17/2009)
(初出6/17/2009)