origenesの日記

読書感想文を淡々と書いていきます。

エレーヌ・マリー『ナルニア国の創り手 C・S・ルイス物語』(原書房)

2008-06-16 19:18:46 | Weblog
ナルニア国の作者であるルイスの伝記。子ども向けに書かれたものらしく、なかなか読みやすい。兄との深い絆、離婚した女性との結婚が軸となっている。ルイスが無神論を経て、敬虔な信者になったという話は初めて知った。文名を高めた後でも、大学の友人たちと静かに語り合うのが一番の楽しみだったという。言葉の真の意味で彼はエピキュリアンだったのかもしれない。

加藤和光『英語の語源 AtoZ』(丸善ライブラリー)

2008-06-16 19:14:19 | Weblog
ギリシア・ラテン語などを交えつつ、英語の語源を追っていった新書である。アルファベットがギリシア語のアルファとベータの複合語である、animateがアニマに由来している、英語にはmesmerizeなどの人名を動詞化したものが多い、など様々な知識を学ぶことができた。比較文化的な考察も無理のない程度に含まれており、読書の楽しみを増してくれる。

小谷野敦『聖母のいない国』(青土社)

2008-06-16 19:09:55 | Weblog
著名な比較文学者がアメリカの小説について割合と自由に論じたもの。アメリカを「聖母のいない国」だと表現しているのは、平川祐弘からの影響があるのだろう。厳密な意味での「文学研究」ではないが、現代日本の風俗と照らしあわせつつ海外の文学を読んでいく著者の自由闊達な文章は読んでいてなかなか楽しい。ホーソーンの緋文字を未来の「精子バンク」社会に繋げて読むくだりはまさに著者の独壇場である。
作中で取り上げられていたマーティン・スコセッシの『エイジ・オブ・イノセンス』は見てみたい。