origenesの日記

読書感想文を淡々と書いていきます。

ジェームズ・バーダマン『ロックを生んだアメリカ南部 ルーツミュージックの文化的背景』

2008-06-01 18:40:23 | Weblog
アメリカ南部の2大ルーツ音楽であるブルースとカントリー。その2つが、ロバート・ジョンソン、マディ・ウォーターズを始めとする多彩なスターを排出し、やがてはエルヴィス・プレスリーやボブ・ディランに繋がっていく。黒人差別を助長した州知事バーダマンの孫に生まれたという著者は、冷静な筆跡で黒人音楽の歴史を綴る。
著者はブルースが反宗教的な音楽ではなく、キリスト教の教会と結びつきながら発展していった音楽であることを強調する。黒人音楽の歴史的発展に寄与したのはThe Sanctified Churchであったと著者は言う。このThe Sanctified Churchというのは、作家ゾラ・ニール・ハーストンのエッセイの題ともなっているもので、聖別を重視するアフリカン・アメリカンの教会のことを言う。黒人たちが中心となった教会によってブルースは発展を遂げた。ブルースの父といわれたウィリアム・クリストファー・ハンディは、元々は教会の牧師のもとに生まれたオルガン弾きだったのである。

『おかあさん』

2008-06-01 18:30:27 | Weblog
成瀬巳喜男監督の52年時の作品。母親役を演じる主演は田中絹代。長女・年子を演じる香川京子があまりにも美しい。
暖かいホームドラマのような趣があるものの、戦争直後の作品だけあって、家族には常に暗い影が付き纏っている。長男や父親の死を乗り越えて生き続ける家族たちの姿には、戦後を生きる人々の力強さが宿っているように思えた。

『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』

2008-06-01 18:26:49 | Weblog
3部作続けてみたが、やはり面白かった。CGをふんだんに使ったからこそ描けた作品なのだなあと思う。
ただ、全体的に説明不足な感もあり(時間的制約があるので仕方ないけれども)、原作を全く知らないとわけがわからない箇所も多いのではないか。この3作目ではアラゴルンがゴンドールの王となるのだが、なぜ彼が王となったのか、なぜ王が「帰還」したという表現が使われているのか。いまいちわからなかった人も多かったのではないか。私も原作を読んでいなければ理解できなかったに違いない。
ミドルアースの歴史には第1紀・第2紀・第3紀とあり、かつて大魔王モルゴスの誕生以来、善と悪の戦いが何度も繰り返されてきた。この神話的な歴史こそが『ロード・オブ・ザ・リング』を不朽の名作にしているのではないかな、と思った。映画だとその辺りを味わいにくいかも。