ONPaふろく

ONPaふろく

ポータブルマルチトラックレコーダー比較検討会 レポート

2010-03-12 23:50:00 | サラウンド レコーディング

東京藝術大学千住キャンパスで行われた
サラウンドCM研究会レポート。

今回は現在発売されているポータブル マルチトラック
レコーダーを集めて、比較検討してみようという企画。

R0011806

メーカーと輸入代理店の協力で集まったレコーダー。

FOSTEX PD606

TASCAM HS-P82

Roland R-44

SOUND DEVICES 788T

Zaxcom DEVA 5.8

タスカムは新製品。
他の4機種は各方面で活躍中のレコーダーばかり。

R0011831

まず音圧校正器と基準マイクで各レコーダーの
入力レベルを合わせる作業を行います。

P1010925

初めてお目にかかりました。

R0011821

今回使用したマイクロフォンは DPA5100

ピンマイクが5本搭載された小型のサラウンドマイクロフォンで、
ENGなどのフィールド録音を、サラウンドで簡単に行うことが
できる。当社も以前にデモしているので、そのサンプル
参考にしてほしい。

R0011848

天井も高く素晴らしいスタジオです。

R0011854

各機種、私なりの簡単インプレ。


R0011818

Roland R-44

今回唯一のコンシュマー向け製品なのだが、プロの技術者も
かなり使っている。オンパ社も使用。
誰にでもすぐ使える取っ付きやすさ、小型で堅牢、バイクに載せて
ゴムひもでグルグル巻きに縛られたり、過酷に使われているが、
トラブルは全くなし。
手軽にマルチトラック録音を可能にしたコンセプトは
高く評価できる。まずはこの機械でフィールドに出て、
録音の楽しさを味わってほしい。


P1010932

TASCAM HS-P82

初めて見る機械、カタログより実物は小さく感じた。
印象的なタッチパネルの使い勝手は良く、メーターの
視認性は一番。メニューの階層も浅い。
オープンよりもセットでじっくり使いたいレコーダー。
なおオプションフェーダー開発中の噂あり。
録れた音はふわっと雰囲気があり意外に好き。
6マイク入力のコンシュマーモデル DR-680も発売。
DR-100 × 3と言う感じ。価格は10万円を切ってくるはず? 
こちらも期待度大。


R0011846

FOSTEX PD606

本編の現場が似合うレコーダー。台詞録りに特化した機械。
ミキサー使用が前提と思われる仕様。
現場では絶対の安心感がある。これぞプロ機。
PD6で好評だったアナログフェーダーは無くなりデジタルに、
これも時代の流れか。


P1010913

SOUND DEVICES 788T

世界のはてに一台だけレコーダーを持って旅をするとすれば、
間違いなくこれ。肩に担いで録音することが得意な機械。
このコンパクトなボディにメカがぎっしり詰め込まれた作りは
ミニNAGRAを思い出す。CL-8CL-9を追加して
様々な現場に対応。SSDになり振動にも強い。オンパ社使用中。


P1010927

Zaxcom DEVA 5.8

測定器という印象。液晶パネルをタッチペンで操作する。
手を出しにくい機械であることは間違いない。
だが、マイクアンプは優秀、高いだけのことはある。
ウォームな落ち着きのある音が録れるので、
やはり生楽器を録ってみたい。


Aaton_cantar_x_big2

AATON Cantar-X

残念ながら今回は参加せず。
以前レンタルして使用したことがあるレコーダー。
値段も張るが信頼性も最高、おまけに音も素晴らしい。
所有する価値は高い。
軍隊の装備品と見間違えるほどのヘビーデューティー。
砂漠での撮影やアマゾンのジャングルが似合う。
あきれるほど長持ちのバッテリーとともに、僻地でのロケに
真価を発揮する。個人的には一番好き。


R0011903

NAGRA Ⅵ

今回はサラウンド録音ということで、4マイク入力のこの機械は
除外されてしまった。
6 mmテープのNAGRAを使っていた世代にはたまらない
レコーダー。伝統のロータリーセレクターは健在で、
これを回してRECする作業は、快感ですらある。


R0011865

録音したバイオリンの音質をスタジオで聞き比べた感じでは、
やはりと言うか、意外にと言うべきか、各メーカーともに
大きな差はなかった。確かに差はあるのだが、だからどの機種が
良いとか悪いとか言うレベルではない。

オープン用にチューニングされたピンマイクで録音したので、
差が出にくかったと言うべきかもしれない。
かすかに解ったことは、各機種で使用目的を想定した音作りが
成されているという事だった。

この手の業務用レコーダーで重要なのは、緊迫した現場での
明解で確実な操作性や気象条件への順応性、そして一度記録した
音は絶対に消失しないことだと私は考えている。
音質に関しては、録音対象やマイクの種類、録音現場の条件に
よって左右されるものだから、一概には言えない。
すでに一定以上の音質を備えているので、どの機種を選んでも
間違いはない。

東京藝術大学千住キャンパスと各メーカーの方々の協力で実現した
今回の研究会。この場で初めて目にするレコーダーもあり、
実に興味深い内容でした。お借りしたスタジオの設備も素晴らしく
この環境で勉強できる学生さんたちを羨ましく思いました。
皆さんお疲れさまでした。

R0011834

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

koba-p

 


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
koba-p様 (Miki)
2010-03-13 23:14:40
koba-p様
>すでに一定以上の音質を備えているので、どの機種を選んでも間違いはない。

レポートが投稿されるのを楽しみにしていました。大変参考になりました。新機能として、ProToolsのセッション形式でエクスポートできる機能はどうでしょうか。ありがとうございます。
返信する
Mikiさんこんにちは (koba-p)
2010-03-14 20:31:30
Mikiさんこんにちは

私的なレポートになってしまったのですが、少しでも参考になれば
幸いです。
どの業務用レコーダーも一定以上の音質は確保してありますので、
あとは、デモで借りて使用感、自分の好きな音質であるかを確かめることをおすすめします。


返信する
Mikiさん追伸です。 (koba-p)
2010-03-20 18:12:50
Mikiさん追伸です。
どうも私は勘違いをしていたようなので、先頃のコメントを訂正いたしました。新機能については勉強しておきます。よろしくお願いします。
返信する

コメントを投稿