東京藝術大学千住キャンパスで行われた
サラウンドCM研究会レポート。
今回は現在発売されているポータブル マルチトラック
レコーダーを集めて、比較検討してみようという企画。
メーカーと輸入代理店の協力で集まったレコーダー。
FOSTEX PD606
TASCAM HS-P82
Roland R-44
SOUND DEVICES 788T
Zaxcom DEVA 5.8
タスカムは新製品。
他の4機種は各方面で活躍中のレコーダーばかり。
まず音圧校正器と基準マイクで各レコーダーの
入力レベルを合わせる作業を行います。
初めてお目にかかりました。
今回使用したマイクロフォンは DPA5100
ピンマイクが5本搭載された小型のサラウンドマイクロフォンで、
ENGなどのフィールド録音を、サラウンドで簡単に行うことが
できる。当社も以前にデモしているので、そのサンプルも
参考にしてほしい。
天井も高く素晴らしいスタジオです。
各機種、私なりの簡単インプレ。
Roland R-44
今回唯一のコンシュマー向け製品なのだが、プロの技術者も
かなり使っている。オンパ社も使用。
誰にでもすぐ使える取っ付きやすさ、小型で堅牢、バイクに載せて
ゴムひもでグルグル巻きに縛られたり、過酷に使われているが、
トラブルは全くなし。
手軽にマルチトラック録音を可能にしたコンセプトは
高く評価できる。まずはこの機械でフィールドに出て、
録音の楽しさを味わってほしい。
TASCAM HS-P82
初めて見る機械、カタログより実物は小さく感じた。
印象的なタッチパネルの使い勝手は良く、メーターの
視認性は一番。メニューの階層も浅い。
オープンよりもセットでじっくり使いたいレコーダー。
なおオプションフェーダー開発中の噂あり。
録れた音はふわっと雰囲気があり意外に好き。
6マイク入力のコンシュマーモデル DR-680も発売。
DR-100 × 3と言う感じ。価格は10万円を切ってくるはず?
こちらも期待度大。
FOSTEX PD606
本編の現場が似合うレコーダー。台詞録りに特化した機械。
ミキサー使用が前提と思われる仕様。
現場では絶対の安心感がある。これぞプロ機。
PD6で好評だったアナログフェーダーは無くなりデジタルに、
これも時代の流れか。
SOUND DEVICES 788T
世界のはてに一台だけレコーダーを持って旅をするとすれば、
間違いなくこれ。肩に担いで録音することが得意な機械。
このコンパクトなボディにメカがぎっしり詰め込まれた作りは
ミニNAGRAを思い出す。CL-8やCL-9を追加して
様々な現場に対応。SSDになり振動にも強い。オンパ社使用中。
Zaxcom DEVA 5.8
測定器という印象。液晶パネルをタッチペンで操作する。
手を出しにくい機械であることは間違いない。
だが、マイクアンプは優秀、高いだけのことはある。
ウォームな落ち着きのある音が録れるので、
やはり生楽器を録ってみたい。
AATON Cantar-X
残念ながら今回は参加せず。
以前レンタルして使用したことがあるレコーダー。
値段も張るが信頼性も最高、おまけに音も素晴らしい。
所有する価値は高い。
軍隊の装備品と見間違えるほどのヘビーデューティー。
砂漠での撮影やアマゾンのジャングルが似合う。
あきれるほど長持ちのバッテリーとともに、僻地でのロケに
真価を発揮する。個人的には一番好き。
NAGRA Ⅵ
今回はサラウンド録音ということで、4マイク入力のこの機械は
除外されてしまった。
6 mmテープのNAGRAを使っていた世代にはたまらない
レコーダー。伝統のロータリーセレクターは健在で、
これを回してRECする作業は、快感ですらある。
録音したバイオリンの音質をスタジオで聞き比べた感じでは、
やはりと言うか、意外にと言うべきか、各メーカーともに
大きな差はなかった。確かに差はあるのだが、だからどの機種が
良いとか悪いとか言うレベルではない。
オープン用にチューニングされたピンマイクで録音したので、
差が出にくかったと言うべきかもしれない。
かすかに解ったことは、各機種で使用目的を想定した音作りが
成されているという事だった。
この手の業務用レコーダーで重要なのは、緊迫した現場での
明解で確実な操作性や気象条件への順応性、そして一度記録した
音は絶対に消失しないことだと私は考えている。
音質に関しては、録音対象やマイクの種類、録音現場の条件に
よって左右されるものだから、一概には言えない。
すでに一定以上の音質を備えているので、どの機種を選んでも
間違いはない。
東京藝術大学千住キャンパスと各メーカーの方々の協力で実現した
今回の研究会。この場で初めて目にするレコーダーもあり、
実に興味深い内容でした。お借りしたスタジオの設備も素晴らしく
この環境で勉強できる学生さんたちを羨ましく思いました。
皆さんお疲れさまでした。
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koba-p
どうも私は勘違いをしていたようなので、先頃のコメントを訂正いたしました。新機能については勉強しておきます。よろしくお願いします。
私的なレポートになってしまったのですが、少しでも参考になれば
幸いです。
どの業務用レコーダーも一定以上の音質は確保してありますので、
あとは、デモで借りて使用感、自分の好きな音質であるかを確かめることをおすすめします。
>すでに一定以上の音質を備えているので、どの機種を選んでも間違いはない。
レポートが投稿されるのを楽しみにしていました。大変参考になりました。新機能として、ProToolsのセッション形式でエクスポートできる機能はどうでしょうか。ありがとうございます。