
夜通し歩いた。
その間すれ違った人間は二桁に満たなかったと思う。
夕方から寝て夜目を覚まし準備をして23時に出発。
1番怖かったのは漆黒の荒川越え。
飲み込まれそうな闇に震えながら先を進む。
ボロくなった靴は不自然に擦り減り角度をつけカカトにマメができた。
それをかばおうとまた変な歩き方になり違う箇所にもマメが発生。
馬鹿だった。
到着時間を始発が動いてる時間に合わせて行けばよかったのにまだまだ2時間以上もある。
もう覚悟を決めて帰り道を歩き出す。
進むごとに痛みは増し休憩時間も多くなる。
出発から7時間ほどかけてようやく阿佐ヶ谷まで辿り着いた時の安堵感。
しかしその頃は完全に足を引きずって歩いていた。
そんな深夜の一人旅だった。
