個別指導塾 ONE-S(ワンズ)のブログ

堺市上野芝にある個別指導塾です。進学から補習、不登校の子どもの学習サポートなど、さまざまな子どものニーズにこたえます

モチベーションの維持って大変です

2018-02-27 10:30:07 | 教室から
こんにちは。堺市にしくの上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

1.2年生の学年末テストが始まっています。まだまだ受験というものが具体的に見えていないため、目標をどこに置くのかで大きく勉強に対する姿勢が左右されます。

大阪の以前の公立高校の受験制度では、内申点は3年生時のみの評価でした。極端にいうと、1.2年のテストの結果がどれほど悪くても、3年生の成績がよければ、最高の内申点をもらえることが可能でした。ですから、1.2年生時はクラブや遊びが中心で、勉強はテスト前だけサラッとし、3年生になってから本気で頑張るという子が多かったです。

私も3年生になるまでは、それなりの勉強はしていましたが、副教科なんて勉強したこともありませんでしたし、定期テストは1週間前になってから、慌てて対策を始め、テスト前日は毎回徹夜でした。ですから、社会などの暗記科目はテストが終われば、サクッと忘れてしまいますので、範囲の広い実力テストでは、さっぱりの点数になってました。

そんな状態でしたが、2年生の終わりにクラブをやめ、進学したいと思える高校が見つかったので、そこからはほぼ毎日勉強するようになりました。多いときは10時間ほど勉強したこともありましたが、これほど集中して勉強できたのは、「この高校に絶対に合格したい!」という明確な目標ができたこと、そしてもう1つは、本気で勉強した期間が1年間、正確にはハードに勉強した期間は夏休み以降の約半年間だけだったことが大きいです。

同じモチベーションで、同じ勉強量を3年間続けろと言われても、まず無理だったでしょう。続けることができる人はいるでしょうが、大部分の人は途中で息切れしてしまうと思います。

今の中学生は、高校受験の制度が変わり、1年生からの内申点が受験に反映されます。ですから、トップ校に合格するための内申点をとるためには、3年生からではなく、1年生からある程度ガッツリとした勉強をしなければなりません。5教科だけでなく、副教科も当然勉強しなければなりませんし、課題も手を抜くことなくしなければなりませんし、その上クラブ活動も評価の1つとなりますので、一生懸命しなければなりません。そういった意味では、今の中学生はとてつもなく忙しく、とてつもなく大きなプレッシャーの中で学校生活を送っているのです。

人間3年間も頑張り続けるのは難しいですし、まだ12〜15歳の子どもですので、なおさらです。
1年生の時から、限界ギリギリのことを続けてしまって、最も大切な3年生になって息切れしてしまっては、あまりにも残念です。

この制度を導入したことにより、学力が上がったわけでもありませんし、学級崩壊などが減ったわけでもありませんから、早く元に戻すべきだと考えていますが、今の制度の中で頑張っているこどまたちを、なんとかサポートしたいと思っています。

高校という大きな目標ではなく、何か小さな目標を生徒1人1人と一緒に考え、それを目指して勉強していくこと、勉強は楽しいものではないけれど、決してそこまで面白くないものではないこと、うまく時間を使えば遊ぶ時間もたくさんできること。こういったことを子どもたちに伝えていき、少しでもストレスを感じないで勉強できる環境を作ってあげたいですね。楽しいと思えたり、前向きな気持ちになるだけで、勉強の効果はずいぶんと異なってきますので、楽しさを与えることを忘れずに指導していきたいと思います。もちろん学力を上げるために勉強をしていくのですが、どこかホッと落ち着くような、ここに来るのが楽しいと思ってもらえるような、そんな場所にしていくのが理想です。


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苦手でも嫌でも関わった方がいい

2018-02-24 10:27:12 | 不登校
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

私が大学卒業後にひきこもっていたとき、父親が何度か「英治、なんかしたい仕事ないか? どんな仕事やってみたい?」と聞いてくれました。父親は自営業をしていまして、どちらかといえば顔が広い方でしたので、もし私にしたい仕事があれば、その仕事関係の知り合いに頼んで私を就職させてくれようとしていたのだと思います。当時もそうでしたが、今思い出しても感謝の気持ちでいっぱいです。

ですが私の返事は「だれとも関わらないで済む仕事がいい。1人で仕事がしたい」でした。私に何か特別な才能があれば別ですが、そうでないかぎりそんな仕事あるわけないですよね。両親をずいぶんと困らせていました。

私は人と話すのが苦手でして、人と関わることがめんどくさく感じていました。集団行動も苦手で、一部の気の許せる友人以外の人と関わることはとてもストレスになり、疲れるだけで少しも楽しくありませんでした。そんな私でしたから、どこかの企業の中で仕事なんてできるわけがないと思っていたのです。

塾の仕事を始めてからも、生徒たちやアルバイトの講師の方と話すことはよくありましたが、自分と同年代や目上の方と話す機会は生徒の保護者の方との懇談や相談のとき以外ほとんどありませんでした。私が意識的にそういう機会を敬遠していたところがあったのです。ですから、自分が小さい組織の長となり、その狭い社会の中だけで生きてきたので、私の考え方はかなり偏っていたと思います。自分が考えていることや知っていることは、すべて正しいと大きな勘違いをしていました(今考えると恥ずかしいですが)。

現在は、同じ塾関係の方たちだけでなく、学校関係、行政、そしてNPOなどの各種団体の方々とも交流させていただくようになったおかげで、私の頭もずいぶんと柔らかくなった気がします。

人と接することがないと、世界には自分の意見だけしかないように感じてしまったり、本やネットで得る情報も、自分の都合のよいものばかりに目がいくようになります。そしていつの間にか、自分だけが正しいと思うようになり、反対意見をまったく認めようとしなくなったり、何か自分にとって不都合なことが起きてしまうと、その原因は自分にあるのではなく、他人のせいにしてしまうようになります。

不登校の子どもたちにとって、一番の問題はここにあると思います。不登校といっても、学校に行けないだけで家からは出て、友だちと遊んだりしていたり、あるいはアルバイトなんかしていたりする場合は、それほど問題がないと思います。もちろん学力的には遅れは出てくるかもしれませんが、他者と関わることで気づくことや、見えてくるものがありますので、遠回りになるかもしれませんが、彼らはきっと自分の進むべき道を見つけることができるはずです。

そうではなく、友だちともまったく遊んだり会ったりせず、会話は家族だけ、その家族ともあまり話さなくなってしまうことが問題です。自分の頭の中で考えるだけで、しかもまだ10年やそこらしか生きてきていない経験や知識、そして精神的にもまだまだ成熟していないですので、めちゃめちゃ偏ってしまったり、自分自身を分析することもなく、不満ばかりがたまってしまいます。

そんな彼らに最初に手を差し伸べる先生が、柔軟な頭を持っていなければ、子どもたちの心には何を言っても響きません。しかし、学校というのも、比較的閉鎖的で偏った考え方になりやすい環境であるため、どうしても「こうあるべき。これはするべき。他の選択肢は認めん」といった先生が多いのも事実です。狭い世界で不安でいっぱいの子どもを、さらに追い詰めてしまっているのです。

彼らに必要なのは、何も可能性がなくなったわけではないこと、間違ったことをしているわけではないこと、いろんな道がありいろんな生き方があること、そんなことを伝えてあげれる大人なんです。そういう人と接しているうちに、いろんな考えを認めれるようになったり、自分自身を冷静に見つめ直すことができたり、見える景色がずいぶんと変わってきます。

そして何より、人と関わるということは、とても楽しく素敵なことだということが、ようやくこの歳になってわかるようになりました。あれほど、他人と関わることを避けていた私でしたが、いろんな職業の方、同じ意見や反対の意見を持っている方、興味深い経験をしてきた方、そのすべてがとても勉強になりますし、生き方のヒントをもらえているように思います。一人ぼっちで苦しんでいる子どもたちにも、ぜひ人と関わることの楽しさを味わってもらいたいと、そんな大人の1人になれるように頑張っていきたいと思います。


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やり残したことがないってすごいんだよ。本当によく頑張った!

2018-02-22 10:35:58 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

今週の火曜日にエンパワメントスクールの入試がありました。塾生の1人が受験しましたが、私も伝えるべきことはすべて伝えましたし、彼もやれることはすべてやったという、やり残したことがない、まったく後悔がないという理想的な受験を迎えることができました。

彼とは2年の付き合いになりますが、ここまで決して順調にきたわけではありません。まず最初に困ったのは、語彙力のなさです。国語の読解問題はほとんどできませんでしたし、数学ではなく算数の文章問題もまったく解けませんでした。それだけではなく、言葉そのものや言葉の意味を知りませんので、勉強を教えるときに、彼がわかる言葉で説明する必要がありました。

これまで何百人という生徒を直接個別に教えてきましたので、どの問題であっても、教え方は何パターンも用意できていましたし、これだけのパターンがあればどんな生徒にも対応できるという自信はありました。ですが、彼には今までの方法が通用しなかったのです。

そこで私が彼に提案したのは、「俺との会話の中で、わからないことがあったら必ず「その意味わからん」と言ってほしい。それは勉強の話であっても、勉強以外の雑談であっても、どんなときでも言ってほしい」というものでした。家族や友だちには今まで質問したくても質問できなかったことが山のようにあったようで、本当にたくさんのことを質問してくれるようになりました。そうすることによって、彼の語彙力・考え方・思考の癖・感情の変化・伝わりやすい表現と伝わりにくい表現など、たくさんの彼の情報が私の頭にインプットされていき、教え方にも変化がでてきました。彼には正攻法の解き方ではなく、こっちの解き方がいいのではないか、こういう言葉を使った方がわかりやすいのではないかと、いろいろな面で効果的な指導ができるようになってきました。

彼と出会えたことで私の講師としての指導の幅がずいぶんと広がったのです。

そんな彼ですが、これまで積み重ねてきたものがほとんどなく、そして決して勉強の能力が高くはなかったので、成績の方はなかなか思うようには伸びていきませんでした。もちろん彼自身の学力は向上して、これまでできなかった問題もどんどんできるようにはなっていたのですが、学校の授業に追いつくというところまでは不可能でした。それでも彼はあきらめず、ある日私に「家での勉強のスケジュールを作ってほしい」と言ってきました。自宅の勉強の時間や、何の勉強をするのかを決めてくれた方がやりやすいというのです。それで私は1週間ごとのスケジュールを組んでいくようにしました。たとえば月曜日は20時~21時半まで、数学の計算・英単語と漢字の暗記、火曜日は20時~22時まで数学の計算・学校の提出物・漢字の暗記といったうように。自分からそのように言ってくるだけでもすごいのですが、彼のお母さんによると、私が指定している時間帯は1分もずれずに勉強しているというのを聞いてさらに驚きました。毎日計画通りに生活すること、ましてや勉強することって本当に難しいと思うのですが彼はそれを3年生の夏ごろから続けました。

12月頃からは自宅での勉強時間も増やして、毎日3時間~4時間は勉強するようになりました。はっきりいって、彼と同じような学力の子どもで彼ほど勉強している子はまずいないと思います。おそらく大多数の子どもは彼と同じほどの勉強をすれば、もっと成績は上がったでしょう。勉強を頑張っても頑張ってもなかなか結果がでなかった彼はどんなに苦しかったでしょう。学校の先生は、彼のテストの点数しかみていませんので、当然彼の点数を見て「勉強不足だ」という判断をしてしまいます。だからどの先生も彼に対しては「もっと勉強しろよ。高校行きたいんやろ?じゃあ、もっと勉強しないと」という言葉をかけます。先生なりの優しさなんですが、彼にとってはこれほど傷つく言葉はありません。「俺、めっちゃ勉強してるんやけど。やってるけど点数とられへんねん。何時間勉強したらできるようになるんかな?」どれほど苦しみ、どれほど不安で、どれほど傷ついたでしょう。

それでも彼は受験の日を迎えるまで、頑張り続けました。1歩ずつ彼のペースで進みながら、合格に向けて近づいていきました。彼も、これ以上勉強しろと言われても、もうできない、私もこれ以上彼に伝えることは何もないというところまで到達できました。

合格できるかどうかは発表があるまではわかりません。もちろん心から合格してほしいと願っていますが、とにかく彼の頑張りには感動しました。

「偏差値の低い高校に合格したところで何を自慢しとるねん」と何もわかっていない人や彼の同級生は言うかもしれません。そんなもん言わせとけばええねん。偏差値が高いとか低いとか関係ないんだ。君がどうしても行きたいと思う高校を見つけることができたこと、そしてそれに向けて本当に一生懸命頑張ったこと、これはめちゃくちゃ素晴らしいことなんだ!胸を張って言えばいい。「俺は全力で頑張ったんだ。まったく悔いはない!」と。どこの高校に合格したとか結果だけで子どもを判断してあげてほしくありません。その過程をその頑張りを、もっと見てあげてください。

これほど頑張った彼は、きっと一番縁のあるところに導かれるはずです。今月いっぱいまだ彼と勉強する時間は残されていますので、勉強はもちろん、いろんなことを彼に伝えていこうと思っています。

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100点満点ばかり目指してたら、そりゃあしんどいです

2018-02-20 10:42:51 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

オリンピックも始まり、サッカーと競馬以外のスポーツにそれほど興味のない私でさえ、日本人選手の活躍の情報は入ってきますし、嬉しいニュースですね。金メダルをとれるアスリートの人たちは、技術はもちろんが精神面でも私たちが考えてるより、はるかに強いように感じます。銀メダルでも世界2位なわけですから、めちゃくちゃすごいんですけど、多くの銀メダリストは嬉しいよりも悔しい気持ちの方が強いということを聞いたことがあります。金メダルにもっとも近かった人たちですから、「あともう少し。あそこでこうしていたら」などの思いが強いのでしょうね。あらためて、トップアスリートの世界の厳しさや難しさ、凄さを感じることができたオリンピックとなりました。

アスリートだけでなく、私たちは生きていく中で自然と自分以外のだれかと競争しています。あるいは、させられています。兄弟姉妹がいる子は家族の中でも競争があったり、比較されたりします。親はその意識がなかっても、子どもの間ではそういう気持ちを持ってしまいます。私には兄と弟がいますが、たとえば学生時代は兄の進学した高校や大学はどうしても気になりましたし、負けたくもありませんでした。おかげでそれがいい刺激になり、今の私に繋がっているのです。

学校に通う年齢になると、嫌でも競争の中で生きていかなければなりません。「子どもたちに競争させるべきではない」などと、キレイごとを言いたいわけではありません。現代社会というのは競争の社会なのです。高校や大学受験も競争、就職も競争、そして就職してからも競争しなければいけないのですから、子どもたちに競争心を植え付けることは大切だと考えています。「負けたくない。もっと高みを目指したい」そんな気持ちがあるからこそ、人は成長し、大きな成果がでるのだと思います。

ですが注意しなければならないのは、人それぞれ能力の差があるということ、そして求めすぎてはいけないということです。能力が高く真面目な子どもは100点満点を目指そうとします。満点をとれているうちは、周りからも認められ、それがまた自信になります。そしてまた周囲の期待に応えようと頑張ります。いつのまにか、100点満点とることが当たり前のような環境になっていき、100点満点の自分しか自分を認められないようになってしまいます。

すると100点満点をとれなくなってきたときは一気に自信をなくしてしまうでしょうし、またその努力を続けることに疲れがでてくることもあるかもしれません。しかし、100点満点の自分しか認めることができないので、無理してまた頑張ろうとします。そのまま耐えきれる子どももいるでしょうが、多くはエネルギーがなくなってしまったり挫折感で苦しんでしまったりします。

100点満点ではなく、60点でもいいかなと思えることができたら、人生とても楽になるのではないでしょうか。手を抜くとかサボるというと言葉の響きはあまりよくありませんが、「いい加減」というのは私は大切だと思っています。適度に力を抜くことや、自分の能力を知ること、そして自分に完璧を求めすぎないこと、これらは「サボっている」のではなく、「自分らしく生きていくための作業」だと思っています。

現在の私は、競争しているという意識はありません。自分の生きてきた経験やその中で得た知識、今の自分に何ができるのだろうか、何か役に立つことはないのだろうか、そんな気持ちで毎日すごしています。そしてもちろん100点満点なんて目指していません。仕事に関してはもちろんできるだけ完璧にしようと思っていますが、それ以外の面ではめちゃくちゃです(笑)自宅の部屋の掃除もろくにしていませんので、しょっちゅう物を失くしますし、40半ばですが料理もまったくできません。包丁すら握ったことがないんです。しなければいけないことも、期限ぎりぎりまでしないですし、言い出したらきりがないほど欠点だらけです。でも、これでいいのではないでしょうか。自分ができること、やりたいこと、できないこと、したくないこと。それらを全部ひっくるめて「いい加減」に生きていくのは、とても楽しいことだと思います。

全員が同じ競技で金メダルをとれるわけではありません。「努力すれば夢がかなう」なんてことはありません。それを信じるのは成功者の声だけを聞いているからです。しかし、もしかしたら別の競技で金メダルをとれるかもしれないのです。

努力することは大切です。ですから、子どもに努力させることも大切です。しかし、それが行き過ぎないように、そして大人の価値観を押し付けないようにしなければなりません。子どもが疲れてきているな、ちょっとしんどくなっているなということに気づいてあげることや、これからの人生には無限の可能性が広がっていることを子どもたちに教えてあげることも、努力をさせること以上に大切なことかもしれません。

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自信つけるのは大切ですが、それには大人も手伝ってあげなければなりません

2018-02-17 10:30:20 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

先日、ある生徒と数学の勉強をしていたときのことです。その生徒が「 学校の授業でこういう問題を習ったんやけど、学校の先生のやり方と俺のやり方、全然違うねん。それで先生に見せたら、これはおかしいと言われてん。でも、答えは合ってるんやけど、松下先生はどう思う?」と聞いてきました。

この子はテストの点数は決していい方ではなく、学年順位もはっきり言って下から数えた方が早いです。勉強するのも大嫌いで、小学生の頃は宿題をしていかないことが多く、しょっちゅう居残りさせられていたみたいです。

そんな彼が導き出した解き方を説明してもらったところ、とても個性的で、おもしろい!と思いました。念のため、その求め方が正しいということの証明をして確認しましたが、当然教科書にはそのような公式は書いてありません。しかし、彼の方法は圧倒的に速く簡単に答えを求めることができるのです。

勉強が得意でないこの生徒は、正しい方法でこの公式を導き出したわけではありません。学校で授業を聞いていて先生がいくつかの例題を解いているのを見ているうちに、この方法でも答えは一緒になるということに気づき、それ以来学校の先生の解き方ではなく、自分のオリジナルの方法で解いていたのです。

学校の先生が、この子の方法を「これはおかしい。きちんと先生が説明した方法でしなさい」と注意した理由はわかりません。ちゃんと彼の方法が正しいのかどうか検討していなかったのかもしれませんし、教科書にのっていない方法だったので邪道な解き方だと判断したためかもしれませんし、それともこの方法では応用が利かないと考えたのかもしれません。

確かに彼の方法では特定の問題は圧倒的に簡単に答えを出すことができますが、応用が利かず、それ以外の問題を同じ方法で解くことができません。教科書のやり方を使うと、少し異なった問題でもその方法を使うことができ、便利です。

しかし、だからといって、彼の方法を無理にやめさせるのはどうかと思います。応用が利かないと言っても、確実に簡単に解ける問題ができたのです。無理に教科書の方法に変えさせて、計算間違いをしたり、逆によくわからなくなってしまう可能性もあるのですから、私はこのままでいいと判断しました。

たとえば、100点を目指す生徒であったら、より効果的で、幅広い問題を解ける方法に変えさせたでしょう。公式の意味を理解することもできるでしょうし、今後挑戦していく問題を解くために必ず必要になってくるからです。しかし、30点ほどの目標にしている生徒には、1つでもできる問題を増やしてあげることの方が大切になってきます。教科書にのってる公式であろうが、オリジナルの公式であろうが、どちらにしてもその意味を理解するまでの学力は今のところまだないのですから、それならばより点数に結びつきやすい方法を選ばせてあげることがいいと思います。

そもそも私自身も、学生時代に使っていた公式の意味なんて理解できていませんでいた。特に高校に入ってからは、とにかく公式の丸暗記で、意味も分からず、ただ公式に当てはめて問題を解いているだけでした。そして大学に進み、またこうして勉強を教える立場になって、子どもたちと毎年たくさんの勉強をするようになって初めて、公式の意味を理解できたこともありました。これまで特に意識もしていなかった問題の解法も、「なるほど。こういう意味やったんやな」と気づくことなんてたくさんありました。

つまり子どもたちにとっては、公式の意味なんてどうでもよく、大事なのは自分が使いやすいかどうかなんです。だから解きやすい方法があれば、遠慮なくそれを使えばいいんです。学力が高まっていくにしたがって、その意味も理解できるようになるでしょうから、そのときそのときに使いやすい方法ですればいいんです。「自分がこの方法が解きやすいから。先のこと考えればこっちの方がいい」というのではなく、今現在の子どもの学力に合った教え方をしてあげるべきですね。

なぜなら、一番大きいのは、それによって自信がつくこと、あるいは興味を持てるからです。この生徒も、ずっとずっと数学は嫌いで嫌いで仕方がなかったのですが、彼のあみだした公式のことを「これはすごいな!何百人という生徒を指導してきたけど、こんな解き方に気づいたのは〇〇が初めてやで!マジですげーな!」とほめたところ、よっぽど嬉しかったのか、もっと問題解きたいから、プリントちょうだいと言ってくれました。なかなかしてこなかった宿題もしてくるようになりました。次のテストでは数学だけは頑張ると言ってました。ここが肝心なんですね。

点数の悪い子は、当たり前かもしれませんが自信を持てていません。それどころか「どうせ自分なんて。どうせやってもできないし。頭のいい子はいいよなー」とそんなことばかり考えています。昔はそんなことなかったのでしょうが、いつのころからかそう考えるようになるんでしょうね。頑張っても点数がとれなかったり、30点が40点に上がっても、ほめてもらえなかったり、どんどん自己肯定感がなくなってくるんです。

ですから、この生徒のようなきっかけは絶対に見落としてはいけないのです。こっちの方法の方が応用が利くなんて、そんな些細な事どうだっていいんです。もっと大切なことを優先させなければなりません。学校ではそういったきっかけを見つけるのは難しいでしょうから、それが塾の役割だと思っています。

この生徒は、数学だけでなく、いろんな科目でも個性的な独特の考え方や覚え方をします。もしかしたら、将来とんでもない才能が開花するかもしれませんね。

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