個別指導塾 ONE-S(ワンズ)のブログ

堺市上野芝にある個別指導塾です。進学から補習、不登校の子どもの学習サポートなど、さまざまな子どものニーズにこたえます

もう少し厳しくしてもいいのでは?

2017-10-31 11:17:19 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

先日、卒業生が久しぶりに会いにきてくれて、あれこれ話をしている中で気になることがありました。それは、以前ブログでも書きましたし、世間一般でも問題になっていますがスマホのことです。

先日ハワイでも「歩きスマホ禁止条例」が施行されたとのニュースがありましたが、急速に普及するスマホに対して制度や法律がなかなか追いついていないのが現状です。スマホが直接の原因となっている事故や事件は年々増加していて早急に対策をとらなければならないレベルになってきています。

話をもどして、その卒業生からの話なのですが、彼の通っている高校でも授業中にスマホで遊んでいる生徒がいるらしいのです。中学校や、高校でも少し荒れている学校ではそういうこともあるという話は聞いたことはありますが、彼の学校はいわゆる進学校で、勉強にとても力をいれている学校ですので、正直驚きました。「もう、そんな時代になってしまったのか」と。教育現場でもスマホ対策が遅れているのです。

先生は気づいてないこともあるし、気づいていても注意しないらしいです。それは、いちいち注意をしていると授業が中断されてしまい、他の生徒に迷惑がかかってしまうからでしょう。確かに真面目に授業を聞きたい生徒にとっては、先生が他の生徒に怒っている時間ほど無駄に感じる時間はないでしょうから、そういった意味では仕方のない対応かもしれません。

しかし本当にこれでいいのでしょうか? 音は出ていなくても、周りでスマホで遊んでいる生徒がいると、やはり気になりますよね。授業に集中できない子もでてくるかもしれません。そして、もちろんスマホで遊んでいる生徒は授業を聞いていないわけですから、勉強がわからなくなりますよね。自業自得なんでしょうが、それをやめさせて、授業に集中させるのも学校の役目なのではないでしょうか。

そもそも学校には校則というルールがあります。スマホを持ってくるのを禁止している学校もありますし、当然授業中の使用を禁止している学校はほとんどです。にもかかわらず、多くの生徒はスマホを学校に持っていき、授業中に使用することさえあるという。いったいどうなってるんでしょう?

私は高校時代2回停学になりました(恥ずかしい話ですが、校則を破ったためです)。校則を破った=停学や退学となるわけではなく、重大な違反だと学校が判断したときになるんです。ということは、校則で禁止してるにもかかわらず、スマホを持っていったり、授業中にスマホをいじっている生徒が停学にならないのは、それくらいは仕方ないという判断なのでしょう。

昔も授業中に漫画を読んだりしてる生徒はいましたから、それが、スマホに変わっただけという見方もできるでしょう。ですが、私は漫画と一緒にしてはいけないと思います。

理由は2つあり、1つ目はスマホが不正に使われる可能性があるということです。現在の高校入試制度では、学校の定期テストやチャレンジテストが内申点に大きな影響を与えます。そのような大事な試験でカンニングなどの不正行為は絶対に許してはいけません。本番の入試は厳重に監視しているでしょうが、各学校で行なわれる定期テストでは、そこまでの監視はできていないと思います。

2つ目は、さらなる依存症を引き起こす原因になるからです。先ほど、昔は授業中に漫画を読んでいた生徒もいたということを書きましたが、漫画とスマホは明らかに性質が違います。漫画の場合も決して褒められたものではありませんが、授業中に退屈で他にすることがなく、漫画だったらバレないかなというどちらかと言えば、消去法的な選択で、漫画を読むという行為にそれほど魅力があるわけではないのです。その証拠に、授業が終われば漫画を読まずに別のことをしますし、家でも特別ずっと漫画を読んでいるわけではありません。一時しのぎとして漫画を読んでいるだけなのです。一方、スマホの場合は、授業が退屈だからというよりも、少し中毒のようなもので、スマホをいじらずにはおれないという傾向があります。ですから、授業が終わっても、歩きながらも、電車や自転車に乗りながらも、家に帰っても、ほとんどの時間をスマホの使用に費やしています。

使っていい場所と使っていけない場所、使っていい時間といけない時間の区別がつかない子どもが激増しています(大人でも一部そうですが)。それはルールが甘すぎることも大きな原因だと思います。この状況がプラスになるとは、どう考えても私は思えません。子どもたちの中にはスマホを学校に持っていってもいいというのを条件に志望校を選ぶ子もいます。行き帰りは別に使用してもいいので、朝学校についたら学校にスマホを預けて、帰るときに返してもらうというシステムにすれば問題ないですが、そうではなく、ずっと子どもたちに持たせておくというのは何の意味があるのかわかりませんし、百害あって一利なしだと思います。学校側も、生徒を集めないといけないのはわかりますが、毅然とした姿勢で取り組んでもらいたいものです。

時代の流れなのかもしれませんが、授業の仕方が以前と同じである以上、その邪魔になるものはきちんと取り除いていかないと、授業が授業でなくなってしまいます。スマホの問題をもう少し重いものとして考える必要があるのではないでしょうか。

ONE-SのHP


原因を見きわめないと改善しない

2017-10-28 10:58:13 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

もう10年ほど前になるでしょうか、高速道路で大きい事故に遭いました。弟が運転していて私は助手席、後部座席には母親が乗っていました。

久しぶりの休みで家族で遊びに行った帰りで、車内でもいろんな話題で盛り上がっていました。高速道路は渋滞もなく快調に追い越し車線を走っていたのですが、ふと前方を見ると、遠くに見える前の車がなんだかすごくゆっくり走ってるように見えました。ゆっくり走ってるのではなく、停車してるんだと気付いたときには、もうずいぶん距離が縮まっていて「危ない!プレーキ!」と叫び弟が急ブレーキを踏んでも間に合わず、あっという間に前の車が目前に迫ってきました。ぶつかる瞬間、これはもしかしたら死ぬかもしれないなと思ったことは覚えてるのですが、追突した衝撃で意識を失い、その直後のことは記憶にありません。

警察官が近くにいて、すぐに助けてくださり目が覚めました。目を開けるとそこに見えたのは、グシャッとつぶれた車の姿。母親と弟は大丈夫だろうか、「おかん!いけるか!」後ろの席から「ううう…あかん」血の気が引きましたが、このとき母親は肋骨が何本か折れてしまってたようです。

母親は救急車で病院に運んでもらって、無事だった弟と私は追突してしまった前の車の人のところへ、慌てて走っていきました。中年のご夫婦でしたが幸運にも大きな怪我はされておらず、念のため病院に行ってもらい、私と弟だけ残り、警察と事故の原因についての話をしました。

なぜ前の車が停車していたのかというと、なんと大きいソファが落ちていたのです。それを車線変更で避けることができなかったため、止まってしまっていたようなのです。まさか、高速道路の追い越し車線に車が止まっていると考えていなかった私たちは、プレーキが遅れ追突してしまったのです。

もちろん、プレーキが遅れたのは弟のミスでしょう。ですが、あの状況でしたら弟でなく他の人でも事故になっていた可能性が高いと思います。それなのに、弟は一発免停の処分で、しかも車は廃車に、そして相手方の車の修理や治療費などすべて負担しなければなりませんでした。私は警察に猛抗議しました。この事故の最も大きい原因は、高速道路という特別な場所にソファを落とした人だと思ったからです。一歩間違えれば、この事故で誰かが命を落としていたかもしれません。そうなっていたら、弟はこの先どんな人生を歩んでいたでしょうか。それほど大きな事故なのに、一番責任を負わすべき人は何の罪もないなんておかしいですよね(落下物が原因で事故になった場合は落とした人も罪になるのですが、落とした人が見つかりませんでした)。

最近も落下物が原因で不幸な事故のニュースがありました。あの事故から10年も経っているのに、結局何も変わってないのですね。これは、落下物が悲惨な事故を引き起こす原因となるということを甘く考えて、落下物が落ちてるときには注意を呼びかけたり、過積載を厳しく規制したりしてるだけで、落下物そのものを絶対に無くそうという取り組みをしていない証拠です。

私たちは、どうしても結果だけに目がいきやすく、それだけで判断したり評価したりする傾向があります。

子どもの成績においても、「テストの点数が悪い→勉強時間が足りないからだ」とすぐに思いがちです。本当に勉強時間が足りないのが原因なのかを考えなければなりません。子どもに合った勉強方法をしているのか、集中して勉強しているのか。あるいは能力的にこれ以上伸びないのではないかなど。そうでないと、ただ勉強時間を増やしただけでは効果が現れず、結局子どもが苦しむだけになってしまいます。

そうして考えた結果勉強時間が足りないことが原因だとしたら、次はなぜ子どもは勉強しないのかを考えなければなりません。きっと勉強したくない理由があります。これを解決しない限りは、いくら「勉強しろ」と言っても勉強時間は増えませんし、スマホやゲームを取り上げたとしても、それ以外のことに時間を使ってしまい勉強時間が増えることはまずありません。

結果には必ず原因があります。望む結果を出すためには、原因を見きわめることが一番の近道です。そういった原因を見つけ出すのが塾の役割であり、それを本人や保護者に伝えていくことが私たちに求められている最重要課題だと私は思います。

ONE-SのHP

知識は大切な武器です

2017-10-26 10:41:35 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

先日、車を運転していたら助手席のダッシュボードあたりから、「ガタガタガタ」と音が鳴りだしました。何の音なのか確認しようと車を停車させて、ボンネットを開けたりいろいろ見てみたのですが、原因がわからなかったのでそのまま車に乗って帰宅しました。

次の日、車に乗るとまた「ガタガタガタ」という音が。さすがに気になり、いつもお世話になっている車の修理屋さんに電話しましたが、あいにく日曜日でしたのでお休みでした。車で1時間ほどのところに用事があったのですが、ずっと鳴っている音が気になり、車の運転に集中できず、結局その日は車に乗るのはやめました。

2年ほど前に、車で走行中にいきなりボンネットから煙が噴き出し、あわてて車を停車してJAFを呼んだことがありました。そのときとても怖かったので、「また、あの時みたいにならんかなー」と不安になったため、車に乗ることができませんでした。

そして月曜日の朝一に、修理屋さんに車を持って行って、「このあたりから音が鳴るんです。怖くて怖くて。大丈夫ですか?」と言ったところ、修理屋さんは笑っておられました。というのも、ガタガタという音は、何か石かなにかがすきまに入ってしまっているのか、なにかが緩んでしまっているのか、いずれにせよ走行にはまったく影響がないものだったからです。それでも「音がどうしても気になるんやったら、1日かけて車をバラシてみるけど、どうする?」と言ってくれましたが、走行に問題ないというプロの方の言葉を聞けたので、そこからは安心して車に乗ることができています。

私にもっと車の知識があって、自分でその原因を見つけることができていれば、これほど不安にもならず予定を狂わすこともなかったのです。こうして考えてみると、知識があるといろいろな場面でパニックにならずに冷静にいれますし、正しい判断ができ生活がより平穏になりますよね。

知らないことや初めてのことをするときには、だれでも緊張もしますし、冷静になりにくいですよね。私の場合ですと、初めて車で交通事故を起こしてしまったとき。何をどうすればよいのかわからず、半分パニックになってしまいました。相手方とどういう話をすればよいのかもわからなかったし、あわてて父親に半泣きになりながら電話をしました(笑)。この最初の事故は話し合いなどがかなりもつれてしまい、父親にもとても迷惑をかけてしまいましたが、一連のやり取りなどを見ながら「そうか、事故のときはこうすればいいんやな。こういう対応をしていれば、ややこしい展開にはならずにすみそうやな」などと得るものは大きかったです。その後何度か事故を起こしてしまいましたが、一度経験がありますので、初回とはまったく異なって落ち着いて対処することができました。

また、私は塾の講師と言う仕事をしていますので、教育関係について質問されることが多いです。しかし、教育関係ならすべてのことについて知っているわけではなく(知らないことの方が多いかもしれません)、私の知らないことについて尋ねられた場合は、やはりドキッとしますし、ちょっとあわてちゃいますね。逆に得意分野ですと安心して、必要以上に話すぎてしまうこともあるくらいです。

そういえば勉強がまったくわからなかった大学時代、授業に出席することはもちろん、大学に行くだけでも苦痛だったのは大学の勉強に関する知識がなさすぎて、不安で落ち着かなかったことが原因なんでしょうね。そう考えると、小学生や中学生でも勉強がほとんど分からなくなっている子どもが学校が面白くなく、授業が苦痛になっていることはよく理解できます。授業中に先生に当てられることが怖い子もいるでしょうし、よくわからない言葉が飛び交っている場所で不安を感じている子もいるでしょう。

そういった子どもたちに対しての学習サポートはもちろん大切です。勉強がわかるようになれば、不安感などはなくなるでしょうから、授業や勉強に対しても少しは前向きになり、そうすると成績が伸びてさらに興味がわくという好循環が生まれます。ですが、これは口で言うほど簡単なものではなく、1ヵ月やそこらで成果が出ることなんてほとんどありません。

勉強がわからない子どもであっても、勉強以外で彼らが得意とし、安心できる場があるはずです。学校の勉強の知識がなくても、たとえば映画のことがとても詳しい子どもがいますし、車のことや釣りのこと、サッカーや漫画・食べ物のことなど、私がまったく知らないようなことを知っている子どもはたくさんいます。その話題になったときには、本当に楽しそうに、得意げに話をするんですよね。彼らにとっては、そこが安心できる場所なのですから、成績がよくないからといって、その場所を奪ってしまうことは基本的には良い方法だとは思いません。もちろんバランスは大事ですが、休息する場所というか逃げ込む場所は子どもだけでなくだれにでも必要だと思います。それに、学校で教えてもらうこと以外の知識も、どこかで必ず役立ちます。知らないよりも知っていた方がいいに決まっているんです。決して無駄なことをしているわけではなく、今後の人生に役立つ武器を1つ1つ手に入れているのですから、子どもが勉強以外の話をしても「よくそんなことまで知ってるねー、すごいねー」と言えるくらいの余裕を持ってお子さんと接してみてはいかがでしょうか。

ONE-SのHP


現場や当事者の気持ち

2017-10-24 11:18:39 | 教室から
こんにちは。堺市西区上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

一昨日には衆議院選挙がありましたね。私はこの日午前中から授業がありましたので、いつもより早く起きて投票してきました。台風が接近していて、すでに大雨だったのですが、朝から多くの人が投票に来ていました。若い人も高齢の方もそれぞれの想いを政治家に託すために雨でずぶ濡れになりながらも、ぞくぞくと歩いて集まっていました。このとき思ったのですが、候補者の人たちこそ、この光景を見るべきだと。こんな想いでみんなが自分に投票してくれているとわかれば、その重みがわかり、決してその想いを裏切るようなことはしないのではないでしょうか。

自分を信じて応戦してくれている人たちの気持ちを知ることも大切ですし、何か決まりやルールを作るときには、その現場の声や当事者の意見を参考にすることも必要ですよね。車の運転をしたことがない人が、車の交通ルールを作ることはできないというか、作ってしまってはダメですよね。こういう運転は危険だ・ここの交差点は危ないなど、運転している人間だからこそわかる細かい部分を考慮して交通ルールを作らないと、えらいことになってしまいますよね。

世の中にはいろいろな制度がありますが、それが出来上がっていく過程でどれほど現場の声・当事者の声が反映されているでしょうか?

100年もない人生の中で、人はそんなにいろいろな経験をできません。圧倒的に経験しないことの方が多いのです。ある分野に限ってはとても詳しいですが、それ以外のほとんどは無知に等しいのです。だからこそ、制度やルールを決定するときには、そういった専門の人の意見を参考にするべきなんです。

しかし、ここで注意しなければいけないのは、その専門家の人たちも経験しているとは限らないことです。たとえば、教育の問題については文部科学省が根本を決めています。そしてそこから全国の自治体へその指示が伝えられ、さらに各学校へと流れていきます。

知人がいないのでわかりませんが、たぶん決定している文部科学省の人たちは、勉強がとてもよくできるのでしょう。有名大学卒業の人たちばかりかもしれません。識者の方々の意見も取り入れているでしょう。しかし、その中に学校の教育現場で指導経験のある人、特に現役の先生はどれくらいいるでしょうか。このような人たちに、不登校の子どもの気持ちや勉強ができない子どもの苦しみがわかるとは思えません。

たとえば学力の低下が問題になっていますが、実際にどれほどの学力低下が起こっていて、どれほど危ない状況なのか直接その子どもたちと接しないとわからないですよね。データでは見えない部分が多いのが教育問題の難しいところです。学級崩壊が起きている学校を見たこともなく、授業の光景すら見たことがないのにどうやって子どもたちにとって適切な学校や授業を用意するのでしょうか?

「学力低下? じゃあ、1クラスの人数を少し減らせばいいんじゃないですか」「国際化?じゃあ、小学校から英語の授業を取り入れればいいのでは」「考える力が足りない? じゃあ、総合学習の時間を入れて、あれこれ学ばせればいいのでは」といった、いわば安易で、現場を知らない頭のいい人が都合よく作っていっているようにしか見えません。

今、子どもたちに起きている問題を一番わかっているのは現場の先生です。そして、子どもたちに勉強を直接教えている塾の先生であり、もちろんその保護者です。この人たちの意見を吸い上げてくれる仕組みには当然今はなっていません。それで子どもたちのための学校なんて作れるはずもありません。

定期的に現場の先生たちの要望や意見をじっくり聞き、意見交換するべきです。不登校の子どもたちの悲痛な声を聞くべきです。勉強がわからず、毎日苦しんでいる子どもたちの顔を見るべきです。子どもたちのために教育があるとするならば、最低限これくらいはしなければなりません。

大人にとって都合の良い制度ではなく、子どもが生きる喜びを感じることができるような、そういった教育になってほしいですし、そうなるように少しでも役立ちたいと思っています。小・中学生、高校生というまだまだ幼い子どもたちが、毎日なんの目的も持たずにただ学校に行き、そこに楽しみや希望を見つけることもできず、ときには苦しみすら感じ、このような若さで人生に絶望し、不幸にも命を失ってしまう子どもさえいます。教育を無償化するといった形だけを変えるのではなく、中身を伴った変革をこれからも期待していきたいと思います。

ONE-SのHP

講師の能力だけでは難しい

2017-10-21 11:49:04 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

ほとんどの中学校で中間テストも終わり、毎日生徒からのテスト結果を報告してもらっています。それぞれが課題を持ってテストを受けていますので、その結果は私もとても気になります。「先生、今回めっちゃよかったでー!」「目標達成できたー」と喜んでいる生徒もいれば、「あかん、もう終わったー」とこの世の終わりのような悲壮感漂わせる生徒もいます(笑)

定期テストというのは、本番の入試でもありませんので、失敗しても次に頑張ればいいんですし、失敗したのならその原因をしっかり見つけておくことが今後の勉強に必ず役に立ちます。何がいけなかったのか、自分でも反省することもできる貴重な経験です。とはいえ、受験生にとってはそんな悠長なことを言ってられないのも事実で、内申点を稼ぐためにはこの時期のテストはもう失敗できないような雰囲気となっています。

そんな受験生のうちの1人の話です。彼がONE-Sに入塾してから約1年半となりますが、入塾当初は驚くことばかりでした。まず、中学2年生とは思えないほど低い学力で、中学校の勉強はまったく理解できていませんでしたし、小学校の算数の計算が割り算以外がなんとかできるだけで、他の科目の知識はほとんどなく、一番困ったのは国語でした。語彙力がなさすぎて、国語の問題はもちろん、他の科目の問題も、問題文の意味がわからず、私との会話もスムーズにいかないこともありました。

どこから勉強していこうか、とても悩みましたが、このまま中学校の授業で習っている勉強をしても効果がないと判断し、小学校までさかのぼることにしました。小学生用の問題をするのですから、本人は「今さらなんで、こんな小学生用の問題をしないといけないのか」と当然疑問を持ちましたし、プライドが傷つけられたと思います。しかし、この勉強の必要性をしっかりと説明し、また小学生の勉強ばかりでなく、計算は他の能力に比べてできましたので、数学の計算問題だけは中学校の授業で習っている勉強をすることで本人も納得してくれました。

初めの3ヶ月ほどは、なかなか効果も現れず、彼も苦しかったと思います。私も彼の能力を完全に把握するのに時間がかかり、毎回「ああ、ここもわかってないな。この言葉も知らんねんな」など新しい発見ばかりでした。ですが、だんだんと彼の能力、考え方や性格など、勉強だけでなくいろいろな話をしていく中でわかり始めました。それから彼に合った勉強方法を試したり、私が説明するときの言葉も彼が理解しやすい言葉を使うことによって、ようやく変化が表れてきました。

ある日、塾に来た時に「今日の数学のテスト授業わかったで」と言ってくれたときには嬉しかったですね。小学校の3年生頃から、授業で理解できたことはなく、ずっとひたすらノートを写し続けてきただけの彼にとっては拷問のような授業だったのに、初めて黒板に書かれていることが理解でき、授業中に先生が出題した問題を解くことさえできたのです!その解けた問題を嬉しそうに私に見せてくれました。

ですが、まだまだ安心できるようなレベルでもなく、喜んでばかりはいられませんでした。毎月のように本人だけでなく、保護者の方とも懇談を繰り返していくにしたがって、次は家庭での過ごし方も変えていかなければならないということがわかってきました。それを保護者の方に伝えて、家庭でも彼の勉強に協力してもらうようにしました。勉強しやすい環境にしてもらうだけでなく、実際に宿題を一緒にしてもらったり、勉強以外でも彼にとってプラスになることをできるだけ多くしてもらいました。ご自身も働いておられ、忙しい中でしたが私がお願いしたことをすべてしてくれました。

もちろん、この1年半の間すべてが順調にきたわけではありません。予定通りに勉強が進まなかったり、成績が上がらなかったり、気持ちが凹んで勉強に対するやる気がなくなってしまったり。それでも、本人はなんとか必死で頑張り続け、またご家族も彼を励ましたり、勉強しやすい空間をつくってくださったり、みんなが1つにまとまって同じ方向を目指したことにより、今回の中間テストでも十分に高校進学できる点数をとれるようにまでなりました。

毎日5時間ほど、先生がつきっきりで勉強を教えることができれば、ほとんどの子どもは勉強ができるようになるでしょう。しかし、実際には塾で過ごす時間なんて平均して週2回だけです。その他の時間は学校や自宅で過ごすわけです。そのような状況で、講師だけの力で子どもの力を引き出しすことはかなり難しいです。もちろん、わからないところだけを教えて、どういった勉強をするのかの指示をし、それを宿題に出すだけで、どんどん成績が伸びる子もいます。ですが、勉強が得意な子ばかりではないのです。そういった子どもは、学校での授業の受け方、そして自宅での過ごし方から変えていかないと、なかなか結果に結びつきません。ただそれには、学校の先生やご家族の協力が必要となります。本人の努力は当然一番大切ですが、それをサポートする塾、そして家庭・学校が協力することで、子どもの力を引き出すことができ、子どもが前向きな気持ちになることができるのです。

受験まであと数ヵ月となりましたが、ここで気を緩めることなく最後まで頑張っていきましょう。

ONE-SのHP