個別指導塾 ONE-S(ワンズ)のブログ

堺市上野芝にある個別指導塾です。進学から補習、不登校の子どもの学習サポートなど、さまざまな子どものニーズにこたえます

やり残したことがないってすごいんだよ。本当によく頑張った!

2018-02-22 10:35:58 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

今週の火曜日にエンパワメントスクールの入試がありました。塾生の1人が受験しましたが、私も伝えるべきことはすべて伝えましたし、彼もやれることはすべてやったという、やり残したことがない、まったく後悔がないという理想的な受験を迎えることができました。

彼とは2年の付き合いになりますが、ここまで決して順調にきたわけではありません。まず最初に困ったのは、語彙力のなさです。国語の読解問題はほとんどできませんでしたし、数学ではなく算数の文章問題もまったく解けませんでした。それだけではなく、言葉そのものや言葉の意味を知りませんので、勉強を教えるときに、彼がわかる言葉で説明する必要がありました。

これまで何百人という生徒を直接個別に教えてきましたので、どの問題であっても、教え方は何パターンも用意できていましたし、これだけのパターンがあればどんな生徒にも対応できるという自信はありました。ですが、彼には今までの方法が通用しなかったのです。

そこで私が彼に提案したのは、「俺との会話の中で、わからないことがあったら必ず「その意味わからん」と言ってほしい。それは勉強の話であっても、勉強以外の雑談であっても、どんなときでも言ってほしい」というものでした。家族や友だちには今まで質問したくても質問できなかったことが山のようにあったようで、本当にたくさんのことを質問してくれるようになりました。そうすることによって、彼の語彙力・考え方・思考の癖・感情の変化・伝わりやすい表現と伝わりにくい表現など、たくさんの彼の情報が私の頭にインプットされていき、教え方にも変化がでてきました。彼には正攻法の解き方ではなく、こっちの解き方がいいのではないか、こういう言葉を使った方がわかりやすいのではないかと、いろいろな面で効果的な指導ができるようになってきました。

彼と出会えたことで私の講師としての指導の幅がずいぶんと広がったのです。

そんな彼ですが、これまで積み重ねてきたものがほとんどなく、そして決して勉強の能力が高くはなかったので、成績の方はなかなか思うようには伸びていきませんでした。もちろん彼自身の学力は向上して、これまでできなかった問題もどんどんできるようにはなっていたのですが、学校の授業に追いつくというところまでは不可能でした。それでも彼はあきらめず、ある日私に「家での勉強のスケジュールを作ってほしい」と言ってきました。自宅の勉強の時間や、何の勉強をするのかを決めてくれた方がやりやすいというのです。それで私は1週間ごとのスケジュールを組んでいくようにしました。たとえば月曜日は20時~21時半まで、数学の計算・英単語と漢字の暗記、火曜日は20時~22時まで数学の計算・学校の提出物・漢字の暗記といったうように。自分からそのように言ってくるだけでもすごいのですが、彼のお母さんによると、私が指定している時間帯は1分もずれずに勉強しているというのを聞いてさらに驚きました。毎日計画通りに生活すること、ましてや勉強することって本当に難しいと思うのですが彼はそれを3年生の夏ごろから続けました。

12月頃からは自宅での勉強時間も増やして、毎日3時間~4時間は勉強するようになりました。はっきりいって、彼と同じような学力の子どもで彼ほど勉強している子はまずいないと思います。おそらく大多数の子どもは彼と同じほどの勉強をすれば、もっと成績は上がったでしょう。勉強を頑張っても頑張ってもなかなか結果がでなかった彼はどんなに苦しかったでしょう。学校の先生は、彼のテストの点数しかみていませんので、当然彼の点数を見て「勉強不足だ」という判断をしてしまいます。だからどの先生も彼に対しては「もっと勉強しろよ。高校行きたいんやろ?じゃあ、もっと勉強しないと」という言葉をかけます。先生なりの優しさなんですが、彼にとってはこれほど傷つく言葉はありません。「俺、めっちゃ勉強してるんやけど。やってるけど点数とられへんねん。何時間勉強したらできるようになるんかな?」どれほど苦しみ、どれほど不安で、どれほど傷ついたでしょう。

それでも彼は受験の日を迎えるまで、頑張り続けました。1歩ずつ彼のペースで進みながら、合格に向けて近づいていきました。彼も、これ以上勉強しろと言われても、もうできない、私もこれ以上彼に伝えることは何もないというところまで到達できました。

合格できるかどうかは発表があるまではわかりません。もちろん心から合格してほしいと願っていますが、とにかく彼の頑張りには感動しました。

「偏差値の低い高校に合格したところで何を自慢しとるねん」と何もわかっていない人や彼の同級生は言うかもしれません。そんなもん言わせとけばええねん。偏差値が高いとか低いとか関係ないんだ。君がどうしても行きたいと思う高校を見つけることができたこと、そしてそれに向けて本当に一生懸命頑張ったこと、これはめちゃくちゃ素晴らしいことなんだ!胸を張って言えばいい。「俺は全力で頑張ったんだ。まったく悔いはない!」と。どこの高校に合格したとか結果だけで子どもを判断してあげてほしくありません。その過程をその頑張りを、もっと見てあげてください。

これほど頑張った彼は、きっと一番縁のあるところに導かれるはずです。今月いっぱいまだ彼と勉強する時間は残されていますので、勉強はもちろん、いろんなことを彼に伝えていこうと思っています。

ONE-SのHP



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